表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
縄に絡まる 【翠2】  作者: 國村城太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/6

5話 縄に癒され

 城先生と縄床に行く。

 先生は私の手を取るがすぐには後ろに回さない。ゆっくりと私の息に合わせて、そっと手を後ろに回す。

 手首を縛られて動けなくされると、縄を胸の上で二重に巻かれる。素肌に触れる縄が、心地良い。

 

 さっきの刺激する為の縄とは違う、優しい縄の感触。緊張が解け身体の力がぬける。すっと先生の身体が私の身体が倒れないようにさりげなく支えてくれるのがわかる。きちんとこちらを見てくれている事がわかって、安心して身を委ねられる。こちらの様子をみながら、縄をしてくれている事が嬉しい。嬉しい気持ちが、身体が素直に縄を受け取れるようにしてくれて、優しく縄が触れるだけで、気持ちよくなる。ちいさく「あっ」と声が漏れる。


 縄で胸をやさしく圧迫されて、小さく吐息が漏れる。その瞬間先生の動きがゆっくりになり、こちらの息が整うのを待ってくれる。心が通じ合う縄・・・これで私は縄が好きになったんだ。あらためてそう理解した。

 技術だけじゃなくて、私の気持ちを知ろうとしてくれる、見ていてくれているこの安心感が必要だったのだ。

 

 上半身を縛り終えて、先生が優しく私のからだを横たえてくれる。そのまま腰から下半身に向かって、どんどん縛られていく。

 

 じわじわと脚が締め付けられて、折り曲げられて、どんどん動けなくされていく。

 きついはずだけど、全然きついとは思わなくて、ゆるゆると暖かい縄に包まれて、途中苦しいとかきついとかあったはずなのに、すべてがほわほわした先生の魔法みたいな優しさに包まれて、温もりと気持ちよさ、心地よさの中でいっぱい縄を受け取った。

 

 縄が全部終わって、一息ついて冷静になった。なんで、あんなくだらない男に馬鹿げたくだらない感情を抱いたのか、それがあまりにバカバカしくなって、笑いがこみあげてきて、笑ってしまっていた。ちょっとおかしな人みたいだけど、先生はそんな私を何も言わず、そっと見守っていてくれた。

 

 終わって抄妓しょうこさんにお礼を言う。

 

「先生の縄をすすめてくれてありがとうございます。すっきりしました」

 

「自分を笑い飛ばせるくらいになった?あんな男引きずったりしたら勿体ないわよ。ユキちゃんはもっといい男捕まえないとね」

 

 抄妓しょうこさんも笑っている。私も笑っている。

 

「きちんと話をしてくれてありがとうございました。でもよく素性までわかるもんなんですね」と抄妓しょうこさんに聞くと、笑いながら話してくれた。

 

「ああ、あれね、竜さんが関東の知り合いに連絡しまくって聞いてくれたのよ。チャラチャラした男にユキちゃん引っかけられて心配だったみたい。どんな奴か調べるって、ものすごい真剣だったわよ。まぁ、あの人、さんざん向こうで女引っかけ回って悪評が広まってたみたいだから、すぐに誰だかつながったみたいだけど」

 

 竜さんがあわてて寄ってきて言い訳をする。

 

「あ、あれは、この会に変なやつを出入りさせたくなかっただけで、こいつの為にやったわけじゃないですからね」

 

「えぇ?ウチの可愛い女の子に変な虫がついたらどうしてくれるんですか、早く教えてくださいって、えらい剣幕だったじゃない?」とまるでチャシャ猫のような顔で、抄妓しょうこさんが竜さんをからかっている。

 

「二人ともそのくらいにしておきなさい」突然ふわりと城先生があらわれて二人の肩をたたく。

 

 先生に言われると二人ともハイと言って竜さんは照れながら離れていった。

 

「あまり、急かさないでね。あれはあれで繊細だから。誰かの為に感情を出せるようになったのは進歩だと思うけどね」と抄妓しょうこさんを諭すように先生が言っている。

 

「ユキちゃん、落ち着けたみたいでよかったね。竜は、いいやつなんだけど、素直に女の子に向き合うのは、まだたぶん時間がかかると思うんだ。無理に追いかけすぎないでいてくれると助かる。理由も話さずに何を言ってるんだと思うかもしれないけれど、すまない、私から代わりに謝る」とそう言って先生が頭をさげてくれる。

 

「なんだかわからないですけれど、わかりました。私、先生と先生の縄を目指している竜さんや、先生の縄を習ってる皆さんがとても好きです。あの……先生、私も縄を習ってみてもいいですか?」ふと思ったことを尋ねてみる。

 

「うん?誰でも習いたい人は歓迎しているけど、急にどうしたの?」

 

「皆さんの縄が好きだから、どうしてこんな風にできるのか知りたいって思って、知るには覚えるのが一番かなと・・・。そ、それと、縄を教わる話なら、竜さんも素直に私と接して、話してくれますよね?きっと」

 

「キャー、ユキちゃん乙女、素敵」といいながら、がばっと抄妓しょうこさんが抱きついてきた。

 

「来月の教室から来るといいわよ。専属の受け手さんを連れてこないと、生徒同士で交代して縛る事になるから、それだけは了承しておいてね。相手は女の子とは限らないし、その日、その日で先生が決めてペアになって練習してもらうわ」教室の説明を抄妓しょうこさんから受ける。

 

「よろしくお願いします」私は先生と抄妓しょうこさんに頭を下げてお願いした。

 

「頑張ってね。覚えたら、いろんな人を縛って幸せにしてあげようね。私が遊びに来てくれる男の子や女の子を、縛ってるように。受け方をわかってる人は、縄筋覚えたらすぐに縄で遊べるようになるから、楽しみだわ。いつか、私も縛ってね?」と抄妓しょうこさんからお願いされてしまった。

 

「は、はい。頑張ります」と返事をする。

 

「頑張るのもいいけど、楽しんでやってね。努力するのは当たり前、人の身体を預かるんだから、その上でしっかり楽しんで。縛ってる側が楽しめない縄を受けてる側が楽しめる訳ないからね」そう、先生が静かに話してくれる。

 

 すると抄妓しょうこさんが竜さんを引っ張ってきた。

 私の前に連れて来て、竜さんに話す。

 

「じゃ、竜さんは新しい後輩に、縄はこうやるんだって、いいところを、見せてあげてくれる?」といって抄妓しょうこさんは竜さんの手と私の手をつながせてぎゅっと上からにぎった……。

完結まで毎日0時ちょうどに更新します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ