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悪役令嬢には異世界がお似合い  作者: 瀬名 冬乃
カポネ公爵兄妹
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危機一髪

 音楽が鳴り出し、レベッカはカポネ公爵と踊り出す。

 正直、カポネ公爵の方が舞踏会慣れしているからか、アーノルドよりもダンスは上手だ。

 しかし、レベッカはカポネ公爵と踊っても少しも楽しくなかった。

 アーノルドとティーナがどうしているのか、それが気になって仕方がなかった。

 ダンスが終わると、カポネ公爵は意外とあっさりレベッカから離れて行った。

 一人になったレベッカは、ハロルドに呼び止められる。


「レベッカ嬢!アーノルドとティーナ嬢が会場から出て行った。二人を探さないと。」


「アーノルド王子が洗脳されているなら助けたいけど……彼の意思でティーナ嬢と一緒にいる可能性だってあるわ。」


「おいおい、レベッカ嬢。アーノルドが本当にティーナ嬢に好意を持っていたとしても、それで簡単に引き下がっていいのか?俺だったら、当たって砕けるぐらいの気持ちで行く。」


 レベッカは、ハロルドの言葉で目が覚めた。

 公爵令嬢らしくないなど陰口を叩かれるかもしれないが、レベッカはドレスを両手でたくし上げて走り出す。

 ぶつかった貴族に文句を言われるが、そんなものは無視だ。

 舞踏会会場を出て、廊下を走る。

 ティーナは、ヴィンセント公爵邸に詳しくはないだろう。そのため、ティーナはアーノルドを外に連れ出すのではないかと考えた。 

 レベッカの考えは当たっており、夜になり暗くなった森の中、二人は佇んでいた。

 ティーナが動き、アーノルドの首に噛みつこうとしていた。


「アーノルド王子!」

 

 レベッカの叫び声に驚いたティーナは、アーノルドから離れ、レベッカの方に振り向く。

 レベッカは、ティーナに向かって小瓶を投げつけた。

 小瓶に入った液体、セドリック・オーウェンの痺れ薬が弧を描き、ティーナに降りかかる。


「キャー!」


 ティーナは、体に痺れが走って地面に疼くまる。


「た、助けて……」


 ティーナの声は、全身に走る痺れによって震えている。

 洗脳が解けたアーノルドは、きょとんとした顔をした後、ティーナの心配をする。


「ティーナ嬢?いったいどうしたのですか?」


 レベッカの後に森へやって来たハロルドが、冷たい声で言う。


「アーノルド、ティーナ嬢を心配する必要はない。アーノルドはティーナ嬢に洗脳しされていた。それを、レベッカ嬢が痺れ薬を使って助けてくれた。」


 ハロルドの説明で、アーノルドは直ぐに状況を理解した。


「なるほど。私はティーナ嬢に洗脳された事によりヴィンセント公爵邸を出て、森にいるわけか。そして、痺れ薬によってティーナ嬢の洗脳は解けてしまったという事か。」


「セドリック叔父様の痺れ薬は強力ですからね。魔族でも痺れによって魔力を使うどころではないでしょう。」


 ハロルドの後ろから顔を出して、マルクスは自慢げに話す。


「さて、ティーナ嬢をどうしたものかね……レベッカ嬢のおかげで魔界とは良い関係を築けそうだったのだが、王族である私を洗脳しようとするとはね。」


 アーノルドは、腕を組み難しい顔をする。そうする事により、これは国際問題レベルの事案だとティーナに自覚させる。

 ティーナは、まだ痺れ続ける体で這いつくばって動き、アーノルドにすがる。


「ごめんなさい、私が勝手にした事なの。魔界はもちろん、カポネ公爵家も関係ないわ。」


 レベッカは、ティーナ一人が勝手に行ったわけではない事は分かっていた。

 舞踏会の際に、カポネ公爵とティーナは手を組んで、アーノルドとレベッカを引き離した。

 しかし、兄を庇って一人で罪を背負おうとするティーナの気持ちに共感してしまい、レベッカは何も言わなかった。

 もしも、レベッカが似たような状況に置かれたら、可愛い弟や妹を庇った事だろう。

 レベッカは、ティーナの家族思いのところには好感をもった。

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