カポネ公爵兄妹の策略
「おーい、マルクス!」
舞踏会会場は人が多いが、ハロルドは難なく友人を見つけ出す。
「お招きいただきありがとうございます。ハロルド殿。」
「だから、殿ってのはやめてくれよ。」
婚約者と友人のいつものやり取りを横目に、ザーラはレベッカにカポネ公爵の妹、ティーナを教える。
「あそこにいる、ピンクと白のフリルのドレスの人がカポネ公爵の妹、ティーナよ。」
「あら、カポネ公爵とそっくりな顔しているわ。」
レベッカは、ティーナを一目見た瞬間、気に食わないと思った。
なぜなら、彼女は多くの者達の注目を集めていたからだ。
「あの綺麗な方は誰かしら?」
「もしかして、カポネ公爵の妹、ティーナ嬢か?魔族だけど美しいな。」
私の方が絶対に美しいわ。レベッカは、ティーナに対抗意識を燃やしていた。
舞踏会会場に音楽が流れる。
アーノルドにリードされてレベッカは、踊り出す。この時だけは、ティーナへの対抗意識は忘れる。
そのおかげか、アーノルドとレベッカのダンスは多くの者の目を引く。
「やっぱり、レベッカ様のダンスは美しいわ。」
「レベッカ嬢、さらにダンスが上手になったのでは?アーノルド王子との相性も良いようですね。」
ティーナは、楽しそうに踊るアーノルドとレベッカを踊りながらも横目で見る。
「やっぱり、レベッカ様はカポネ公爵家に相応しいわ。私達、絶対に仲良し姉妹になれるわよ。」
ティーナのダンスパートナーは、彼女に完全に洗脳されてしまっているので、彼女の言葉は耳に入っておらず、ただ恍惚とした表情で彼女を見つめていた。
音楽が終わり、 ダンスのパートナーを変える者は動き出す。レベッカは、アーノルドと再び踊るつもりでいたのだが、カポネ公爵に声をかけられる。
「レベッカ嬢、今度は私と踊っていただけませんか?」
レベッカは、アーノルドと踊ると言い断ろうと思ったのだが、いつの間にかティーナがアーノルドの隣に立っていた。
「お久しぶりですね、アーノルド王子。」
ティーナは、アーノルドに喋りかけると同時に彼の手に優しく触れる。
レベッカは、軽々しくアーノルド王子に触れないでと、ティーナとアーノルドを引き離そうとしたのだが、それをカポネ公爵に止められる。
「レベッカ嬢、今日、着ていらっしゃるワインレッドのドレスはとても貴女に似合っていますね。」
和かに会話を楽しんでいる様に見せて、カポネ公爵はレベッカの手を取り、どんどんアーノルドと引き離していく。
レベッカは、無理やりカポネ公爵の手を振り払ってアーノルドの元へ戻ろうと思った。
しかし、ティーナと楽しそうに話すアーノルドを見て、気が抜けてしまった。
既に洗脳が始まっているから、あんなに楽しそうなのか、それともティーナの事を本当に気に入ってしまったのか……もし後者ならレベッカが戻る事で邪魔をする事になる。
カポネ公爵は、揺れるレベッカの心を見逃さない。
「ティーナとアーノルド王子、なかなか相性が良さそうだ。私もアーノルド王子なら大切な妹を任せられる。」
レベッカは、アーノルドとティーナから目を逸らしてしまった。




