表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢には異世界がお似合い  作者: 瀬名 冬乃
カポネ公爵兄妹
28/36

カポネ公爵邸の舞踏会

 赤い絨毯が敷かれた廊下を歩くダミアンとレベッカを見て、魔族達は何やらひそひそと会話をする。

 以前のレベッカなら注目を集められて嬉しかっただろう。しかし、今のレベッカは複雑な気持ちだった。

 ダミアンと恋愛関係にあると勘違いされるかもしれないからだ。


「ダミアン王子はよく舞踏会に参加なさるのですか?」


「あまり参加しません。今までエスコートをしたいと思う女性がいなかったので。」


「ダミアン王子にエスコートしてもらいたい人はいっぱいいるでしょうけどね……」


 突き刺さる視線の中には、嫉妬を含むものも多いだろう。嫉妬如きで弱るレベッカではなかったが、少し申し訳なさを感じる。

 魔族の女性達の憧れの的であるダミアン王子に好意を寄せられている。しかし、レベッカは、それに応える事ができない。

 ダミアンが他の人を好きになってくれたら良いのになどと考えてしまう。

 舞踏会ホールは、大きなシャンデリアがいくつもあり、とても煌びやかだった。

 アデレー城の舞踏会ホールよりも豪華かもしれない。


「公爵家の舞踏会ホールにしては豪華すぎるわ……」


「カポネ公爵家は、派手好きなのです。」


 ダミアンの口調が少し嫌味っぽく聞こえた。

 レベッカは、ダミアンは派手な物が苦手なのか、それともカポネ公爵家を良く思っていないのか、どちらだろうかと考えた。


「ダミアン王子!今日は舞踏会に参加してくださりありがとうございます。令嬢達がとても嬉しそうにしていますよ。」


 金髪にピンク色の瞳をした男性が近づいてくる。甘い顔立ちで垂れ目が印象的だ。


「カポネ公爵、お招きいただいていたのになかなか参加できず申し訳ない。」


「いえいえ、今日はぜひ楽しんでいってください。コルトレーン公爵令嬢もね。」


 そう言い、カポネ公爵はレベッカに向かってウィンクをする。

 レベッカは、何てキザな人だろうと思い笑顔が引き攣る。

 ダミアンは、去って行くカポネ公爵の背中を嫌悪感丸出しで睨みつけている。


「レベッカ嬢、あの男に近づいてはいけませんよ。碌でもない男ですから。」


「カポネ公爵はとてもキザな方ですね。私は苦手ですわ。」


 レベッカは、苦笑しながら応えた。




 音楽が流れ、ダミアンとレベッカは踊り出す。

 あまり舞踏会に参加しないというダミアンだが、そのエスコートはとても自然で上手だった。

 ダミアンとレベッカは、二人とも容姿が優れている事もあり、踊る姿はとても絵になった。

 しかし、レベッカはアーノルドと庭園で踊った事を思い出していた。

 音楽が終わり、次の演奏が始まるまでの少しの間だったのだが、積極的な魔族の女性がダミアン王子に群がる。


「ダミアン王子、今度は私と踊ってくださいませんか?」


「お久しぶりです、ダミアン王子。私はブリオン伯爵家のサイラです。どうか私と踊ってくださいませんか?」


 人間界とは違い、魔界は女性からも積極にダンスの誘いをするようだ。

 レベッカは、そっとその場を離れて窓際へ行く。壁の花になっても良いと思っていた。

 しかし、魔界でもレベッカはモテてしまうようで、レベッカにも多くの声がかかる。

 レベッカは仕方なく、誘ってきた者の一人とダンスをする。

 誘われるがまま、いろいろな魔族と何曲か踊れば、広い舞踏会ホールでダミアンが何処にいるのか分からなくなってしまった。

 レベッカが、ダミアンを探して辺りを見回しているとカポネ公爵と目が合う。レベッカは、何故か彼から目が逸らせなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ