レベッカ、思いを自覚する
音楽が止み、レベッカとアーノルドは離れる。レベッカは、自然と微笑み「ありがとう」と口にしていた。
アーノルドは微笑み返してくれ、手を振り王城へと帰っていった。
レベッカは、王城まで戻るアーノルドを見送り馬車に乗り込んだ。
アーノルドとレベッカは、窓から多くの者が見ている事に気づいていた。
アーノルドは、質問攻めに合う事を予想して溜め息を吐く。
レベッカは、アーノルドに謝る事ができた事とダンスを純粋に楽しめた事で胸いっぱいで、皆の反応などどうでも良かった。
レベッカを乗せた馬車は、コルトレーン公爵邸に向かい走っていた。
舞踏会後すぐに魔界へ帰るとなると大変なため、今日は自宅で休む事にしていた。
自室でネグリジェに着替え、布団に潜り込もうとしたところで、扉をノックする音がする。
「誰かしら?」
もう夜も遅い。使用人達ではない事は確かだ。家族の誰かだろうが、何の用事だろう。
レベッカが扉を開けると、現れたのはロレーナだった。
「お姉様、ごめんなさい。寝るところでしたよね?」
「構わないわ。話があったのでしょう?」
レベッカは、部屋にロレーナを招き入れる。レベッカはベッドに腰掛けて、ロレーナには椅子を勧めた。
ロレーナは、椅子にちょこんと座る。
「お姉様は、アーノルド王子の事をどう思っていらっしゃるのですか?」
レベッカは、ロレーナからの質問で、彼女も窓からレベッカとアーノルドのダンスを見ていたのだと気づく。
そして、思い出すのは、皆からお似合いだと褒められていたアーノルドとロレーナの踊る様子だ。
「ロレーナは、二回目のダンスの時アーノルド王子と踊ったでしょう。その時、皆が二人はお似合いだと言っていたわ……それが辛かった。」
レベッカは、ロレーナの目を真っ直ぐ見つめて言う。
「私、ロレーナに嫉妬したの。アーノルド王子とお似合いだと言われる貴女が羨ましくて仕方がなかった。」
「お姉様、アーノルド王子の事が好きなのね。」
「過去の自分を殴ってやりたいわ。アーノルド王子の告白を断っただけでなく、彼を侮辱しただなんて……」
今日は泣いてばかりだ。過去を後悔して、涙が止まらない。
「お姉様……」
ロレーナは、レベッカを慰めようとぎゅっと抱きしめた。
「お姉様はアーノルド王子とダンスを踊る時、とても楽しそうだったわ。それは、アーノルド王子も同じよ。王子も楽しそうだったわ。」
「アーノルド王子も楽しんでくれてたのなら嬉しいわ。」
今日のアーノルドとのダンスで、レベッカとアーノルドが不仲だという話は消えるだろう。
しかし、レベッカがアーノルドの事を侮辱した事実は消えない。
多くの者はレベッカの事を性格悪いと思っており、アーノルド王子と不釣り合いだと考えるだろう。
それでも、好きだと自覚してしまったのだからどうしようもない。
レベッカは、少しでもアーノルドの力になれるように頑張ろうと決めた。




