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悪役令嬢には異世界がお似合い  作者: 瀬名 冬乃
レベッカ、悪役令嬢となる
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アーノルド王子の自室にて

 アーノルドは、彼の自室でオーウェン侯爵家の嫡男のマルクスとボードゲームを嗜んでいた。

 二人は身分の差はあれど、二人きりの時はお互いに名で呼び合うほど仲が良い。ボードゲーム中の会話は、アーノルドにのとって悩みの種となっているレベッカとの一件だ。


「レベッカ嬢が君にしでかした事は、もう世界中に広がってるさ。彼女の取り巻きの一人が、パーシバル商会のマリッサ嬢に話してしまったからね。」


「マリッサ嬢は影響力もあるし、噂好きだからね……」


 パーシバル商会は、世界各国と貿易関係にある。マリッサは、そのパーシバル商会で主に化粧品やアクセサリーなど、女性の好む物を担当している。世界の流行は彼女が作っていると言っても過言では無い。

 アーノルドも商人のとしての彼女の能力は高く評価していた。しかし、大の噂好きなのは玉に瑕だ。彼女は世界各国に素晴らしい商品を広めながら、沢山の噂話を広めてきた。

 それに、レベッカは良くも悪くも目立つ存在だ。公爵家の娘で才色兼備の彼女に嫉妬していた令嬢は多い。

 彼女達により噂は尾鰭がつき、レベッカは稀代の悪女となってしまうだろう。


「はあ、レベッカ嬢の悪評がこれ以上広がらないように手を打たないと……」


溜め息を吐いた後、アーノルドが話した事にマルクスは驚き目を見開く。


「アーノルド、君はレベッカ嬢に侮辱されたというのに彼女を助けるつもりかい?」


「侮辱されたといっても、私が太り過ぎなのは本当の事だからね。」


 そう言いアーノルドは、ぽんっと自分のぽっこりしたお腹を叩く。


「健康にも良くないし、ダイエットをしよう。レベッカ嬢には良いきっかけを貰ったよ。」


 アーノルドがついつい食べ過ぎて太ってしまうのは、王城の料理人達が腕を振るって作った料理を残すのが申し訳ないと思うからだった。

 今日から量を減らしてもらい、ヘルシーな物中心の食事にするよう頼もうと決めた。


「アーノルド、君の前向きなところ凄く素敵だと思うよ。」


「ありがとう。はい、チェックメイト。」


「えっ?いつの間に……」


 先程までマルクスの方が形勢が良かったのだが、見事に逆転してしまっていた。


「マルクス、君はお喋りに気を取られすぎさ。そのおかげで勝利する事ができたよ。」


 アーノルドはお喋りをしながらも気を抜かず、着実に勝利への道を歩んでいたようだ。

 マルクスは、盤面を見ながら腕を組む。常人なら思いついてもリスクを考え止めておくだろうところでアーノルドは攻めていた。

 しかし、それは無鉄砲だからではない。マルクスが気を抜いた隙をついて攻めている。穏やかな顔をして抜け目のない人だ。


「やっぱりアーノルドには敵わないな。」


 アーノルドはマルクスと二人でボードゲームの片付けをしながら頭をフル回転させて考え、レベッカの事で良い案を思いついた。


「レベッカ嬢の事なのだけど、良い事を思いついたよ。」


 アーノルドから思いついた事の内容を聞き、マルクスは難しい顔をした後、首を傾げる。


「レベッカ嬢自身がどう判断するかは分からないけど、コルトレーン公爵家はレベッカ嬢をとても大切にしているだろう?断られるのではないかな……」


 マルクスは、心配してアーノルドの方を見るが、彼はどっかりと椅子に腰を下ろして至って落ち着いていた。


「コルトレーン公爵家の人達を説得できるかどうかは、私の腕次第さ。」


 アーノルドには自信があるようで、心配する親友を安心させるため、彼の肩を優しく数回叩いた。


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