表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢には異世界がお似合い  作者: 瀬名 冬乃
ロレーナのデビュタント
18/36

アデレー国の舞踏会へ

 レベッカは、魔王に妹のデビュタントを見るためアデレー国へ一時的に戻る事を伝えた。

 その話を聞いたダミアンは、レベッカも舞踏会に参加するなら、エスコート役が必要なのではないかと聞いてきた。


「レベッカ嬢、もしよければ私にエスコート役をさせてもらえないでしょうか?」


 レベッカは、ダミアンがエスコートしてくれたら、多くの令嬢達が羨ましがる事が想像ついた。それは、レベッカの自尊心を満たすだろう。

 しかし、レベッカは首を振る。


「ありがとう、ダミアン王子。気持ちは嬉しいわ。でも、貴方が舞踏会に参加すれば、目立ちすぎるわ。今回の舞踏会の主役は、ロレーナでないといけないの。」


 ダミアンの美しすぎる顔に、魔界の王子という話題性、デビュタントであるロレーナが霞んでしまう可能性が高い。

 レベッカは、エスコート無しで舞踏会に参加する覚悟を決めた。


「そうですか……貴女と踊ってみたかったです。」


 残念そうなダミアンに、レベッカは笑いかけながら言う。


「機会さえあれば、いつでも貴方と踊るわよ。」


 レベッカの言葉に、ダミアンは花が咲いたような笑顔を見せる。


「本当ですか!では、今度カポネで開かれる舞踏会に一緒に行っていただけませんか?」


「魔界でも舞踏会があるのね!私で良ければ喜んで。」


 舞踏会好きのレベッカは、目を輝かせ喜んだ。魔界の舞踏会では、自分が主役になれるかもしれないと思ったからだ。




 レベッカは、舞踏会に参加するためのドレスを選んでいた。

 普段のレベッカなら、豪華で目立つドレスを着ただろう。しかし、今回の主役はロレーナでないといけない。

 目立たないドレスで、それでも地味すぎない物……レベッカは、深緑色の上品なドレスを選んだ。彼女のエメラルドグリーンの瞳と良く合っていた。


「レベッカ様、絶対に魔界に戻って来てくださいね!」


 アデレーへ向けて出発しようとするレベッカを呼び止めたアナベルは、レベッカに抱きつきお願いしてくる。


「妹のデビュタント姿を見てくるだけです。すぐに戻りますよ。」


 レベッカは、アナベルを抱きしめ返しながら優しく言う。

 アナベルやダミアンに見送られながら、レベッカは黒色のペガサスが引く馬車に乗り込む。

 せっかくのドレスが乱れないように、ドラゴンではなく馬車に乗りたいと言えば、ロック宰相は心良く馬車を貸してくれた。

 馬車の座席は、程良い沈み心地で快適だった。

 馬車の窓から見える魔界の空は、炎のように赤く美しい。馬車だと空を見て楽しむ余裕があるのも良い。

 今度から魔界へ行き来するには、ドラゴンではなく馬車にしようと思うレベッカだった。


「アデレー城が見えてきたわ。」


 魔界から出て、青空から夕焼け空に変わる頃にアデレー城が見えてきた。

 レベッカは、唾をごくりと飲む。自分が緊張している事を感じた。

 久しぶりのアデレー国の舞踏会で、レベッカは人々にどのような目を向けられるのか不安だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ