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【12/1より第二部第五章更新開始】天衣無縫の勝負師は異世界と現実世界を駆け抜ける 〜珈琲とギャルブルをこよなく愛する狂人さんはクラス召喚に巻き込まれてしまったようです〜  作者: 逢魔時 夕
第一部第一章「Welcome to gesso」

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「再戦! 侵略種デモニック・ネメシス!」後篇。

激流の束縛(ハイドロ・バインド)! からのォ! 水槍の流星群ストリーム・ミーティア!! って逃げられているしッ!?」


 デモニック・ネメシスを一体引き受けた魔法少女プリンセス・カレントディーヴァだったが、龍吾達のグループと同様に状況は芳しいものではなかった。

 水の魔力で即座に水の縄のようなものを生成してデモニック・ネメシスを捕らえる……までは毎回成功するのだが、短距離瞬間移動(ショートワープ)で逃げられてしまいなかなか攻撃が当たらないのである。


 まあ、魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの攻撃テンポはかなり早く、デモニック・ネメシス側もなかなか反撃に移れない状況が続いているので、龍吾達ほど追い詰められている訳ではないのだが。

 とはいえ、千日手状態をいつまでも続けてもジリ貧である。


「こうなったら、【波動砲】スキルを使うわ!!」


 業を煮やした魔法少女プリンセス・カレントディーヴァは【波動砲】スキルを発動して、波動砲を生成。宇宙人狼の某村でメンバー二人が起こした事件みたく銃を乱射し、デモニック・ネメシスに容赦なく波動砲を連発した。


 僅かな隙も逃さず、小さな銀河を二つ生成し、敵を挟み込むように銀河面吸収帯を衝突させることで敵を粉砕する擬似的なグレート・アトラクターを発生させようとしていたデモニック・ネメシスだったが、魔法の発動よりも先に波動エネルギーの奔流が迫り、慌ててグレート・アトラクターの発動を中止する。

 降り注ぐ無数の水の槍に、乱射される【波動砲】――更に苛烈さを増した魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの攻撃に、グレート・アトラクターは少しずつだが確実に追い詰められていった。


 発動までに時間を要するグレート・アトラクターなどの大技はリスクが大きい。そのため、デモニック・ネメシスは半月状の斬撃や太陽と見紛う無数の巨大火球で攻撃を仕掛けてくるが、前者は魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの動体視力でも回避できるレベルの攻撃であり、後者は魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの得意属性の水とは相性最悪の炎である。

 無数の槍を回避され、火球を全て消火され、デモニック・ネメシスは徐々に、徐々に、壁際へと追い詰められていった。

 そして――。


「【極大波動砲】!!」


 魔法少女プリンセス・カレントディーヴァが生成した巨大な波動砲から放たれた波動エネルギーの奔流がデモニック・ネメシスの胴体を消し飛ばした。



「初手『超重力暗黒天体(ブラックホール)』からの、半月状の斬撃を放つ『半月降槍(ハーフムーン)』と周囲を薙ぎ払う『満月降槍(フルムーン)』、無数の巨体火球を生成する『極大擬似太陽デッドリー・サンライズ』、槍からレーザーを放つ『槍先光条(ホーリー・パルサー)』、無数の流星を降らせる『流星嵐(メテオロス・ストーム)』……これらを基本攻撃としつつ、ディメンションゲートを出現させる『時空穴(ディメンションホール)』や『短距離瞬間移動(ショートワープ)』、ワープゲートを複製する『時空穴複製(ホール・コピー)』などを組み合わせて攻撃を複雑化させてくる。更に、小さな銀河を衝突させる『銀河衝突グレート・アトラクター』や、無数のディメンションゲートを生成してその中に無数のレーザーを放ち、全方位から敵を焼き尽くす『天焦がす波の奔流(メーザー・スター)』のような大技も織り交ぜてくる……まあ、こんなところだな。他にも技を隠し持っている可能性もあるが」


 並外れた幸運と魔法少女の動体視力でデモニック・ネメシスの攻撃を躱し続けてきた魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスは観察によってこれ以上の情報収集はできないと判断すると、防戦を切り上げて『天焦がす波の奔流(メーザー・スター)』のエネルギーに魔法で干渉した。

 『天焦がす波の奔流(メーザー・スター)』のエネルギーの制御を丸々奪い取った魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスは容赦なくデモニック・ネメシスに向けて放つ。


 流石に自分の技を自分に跳ね返されるとは考えてもみなかったのだろう。デモニック・ネメシスは無防備を晒したまま自らの攻撃をその身に受け、肉片の一部を残して焼失した。


「――ッ!? なるほどね(・・・・・)。そう来なくっちゃ、面白くない」


 しかし、ここで魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスの想定していなかった事態が発生する。龍吾達と戦っていた筈のデモニック・ネメシスが魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスの前に現れたのである。

 デモニック・ネメシスは魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスに一瞥も与えず肉片を飲み込むと、再び転移――瞬く間に残るデモニック・ネメシス二体の遺骸を喰らってしまった。


『ヒュラララーン!!』


 見た目こそ変化していないが、魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスはデモニック・ネメシスの魔力がこれまでとは比べ物にならないほど高まっていることを感じ取った。


「さあ! 第二ラウンドと行きましょうか! ――内藤さん、ここからは俺に任せてください!」


「了解です。さあ、みなさん下がって……無縫君の邪魔にならないように」


 デモニック・ネメシスは最早魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカス以外は眼中にないとばかりに吠えると、大きく羽搏いて地上を睥睨した。


瑠璃色の陽光スタッフ・オブ・ソーダライト


 魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスも魔法少女の杖に横乗りして飛翔、デモニック・ネメシスと同じ高度に留まってデモニック・ネメシスと対峙する。

 百層での戦いはデモニック・ネメシスに見下される構図だったが、今回は魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスとデモニック・ネメシスの高さは同じである。そこには、実力を全て出し切って対等に戦うという魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスの意思が現れていた。


 デモニック・ネメシスの全身が炎を帯びる。燃え盛る炎をその身に纏ったデモニック・ネメシスは無数の巨体火球を従えるように配置して『短距離瞬間移動(ショートワープ)』――無縫へと肉薄する。

 『死の巨星行軍デッドリー・レッドジャイアントグレーザー』と呼ばれるこの技は仲間の一部を吸収する以前のデモニック・ネメシスの『極大擬似太陽デッドリー・サンライズ』とは比較にならないほどの高エネルギーを宿していたが、どれだけのエネルギーがあっても無縫にとっては同じこと。


 魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスが魔法少女としての固有魔法「操力の支配者オーバーロード・オブ・マクスウェル」を発動すると、デモニック・ネメシスを纏うエネルギーが、従えていたエネルギーが、総て一斉にデモニック・ネメシスへと牙を剥いた。

 膨大なエネルギーは空間を捻じ曲げるほどの超重力の力場を発生させ、マイクロブラックホールと化してデモニック・ネメシスの身体を呑み込んでいく。


 反撃も脱出もできないままデモニック・ネメシスは暗黒天体に飲み込まれて消滅し、デモニック・ネメシスが倒されたことで二つの門が同時に開いた。



 八百層のエリアボスの間を抜けると、そこには小部屋があった。

 これまでの洞窟のような雰囲気から一変し、壁には奇妙な光が幾筋も走り、どことなく近未来の世界を感じさせる空間である。


 中心にはこれまた奇妙な金属製の機械のようなものが置かれていた。

 高さ二メートルで横幅一メートルほど、明らかに古代の迷宮にそぐわない装置に無縫は躊躇なく近づいた。


『八百層攻略オメデトウゴザイマス』


「……人感センサーのようなものがついているようですね」


「人感センサーって……ここって古代の迷宮じゃないの? なんでSFみたいな装置が出てくるのよ?」


「いや、俺に聞かれても知らんよ」


 みんなの疑問を代表するように口にした魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの言葉に、魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスが「俺が知る訳ねぇだろ? 阿呆じゃねぇの?」と言いたげな雰囲気を醸し出し、再び魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスと魔法少女プリンセス・カレントディーヴァのしょうもない喧嘩が始まりそうになったのだが、その喧嘩は謎の機械が次に発した言葉によって防がれることとなった。


『ミナサマノ情報ヲ記録致シマシタ。転送装置ガ使用可能ニナリマス』


「……転送装置ですか。まあ、確かに八百層以上ある迷宮であれば、あってくれた方がありがたいですね。無縫君、詳細は分かりましたか?」


「どうやら、一層、百層、二百層、三百層、四百層、五百層、六百層、七百層、八百層、九百層、一千層にそれぞれ転送装置が置かれているようですね。転送装置のある階層に到達することでそれ以前に通過した全ての階層との行き来が可能になるようです。ただし、この感じだとボスを倒さない限り扉は開かないので、ボスを倒さない限りは転送先の小部屋から出られないという状況になりそうですが。……しかし、転送装置なんて全く記憶にないですが、もしかしたら一層に巧妙に隠されていたのかもしれませんね」


 小部屋の先の扉は開き、ボスの間の入り口から小部屋の先――八百一層へと続く階段がある小部屋まで全てが開放されている。

 しかし、開放条件がボスの討伐であった場合、転送先の扉が全てアンロックされている可能性が高い。


 まあ、そもそも無縫達に上の階層に戻る必要などないのだが。

 寧ろ、無縫が死亡していないということを悟られないよう迷宮が未攻略のまま保持される方が都合がいい。


「無縫君? モールさん達の依頼だけど、今後は共闘せずに部屋の外で待ってもらった方がいいんじゃないかしら? 今回みたいに扉が全て開放される仕組みなら、わざわざ危険を冒す必要はないでしょうし」


「フィーネリアさんの言う通りですね。モールの皆様、それで大丈夫でしょうか?」


『ももも、もふふもふふ!』


「ええっと……そういうことなら、私達は一旦集落に戻ると言っています。全ての部屋を攻略してから集落に来て頂けたら報酬をお支払いしたいということです」


 モール達は魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカス達に伝えることだけ伝えると来た道を戻っていった。

 デモニック・ネメシス相手には全く歯が立たないが、他の魔物であれば討伐できる実力があるモール達であれば心配はないだろう。


「では、みなさん。気を取り直して先に進みましょうか?」


 魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカス達はモール達と分かれ、迷宮の新たな階層へと足を踏み入れた。

◆ネタ等解説・三十二話目

宇宙人狼の某村でメンバー二人が起こした事件

 めめんともり主催のAmongUs村、通称めめ村で起きためめ村銃乱射事件のこと。

 村民みぞれがエアシップメインホールにて銃を振り回し最終的にはSレイマリに斬られたみぞれ銃乱射事件と、その後メテヲも宿舎前で同じよう銃を乱射、ぐさおをキルした結果会議で吊られたメテヲ銃乱射事件からなる。


銀河衝突グレート・アトラクター

 近傍宇宙の大規模構造の一つであり、いくつかの銀河および銀河団の特異運動からその存在が予測されている銀河間空間内の重力異常のこと。

 技の元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリスの強化形態、魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ……ではなく、正田崇氏の作品で神座万象シリーズ第二弾に数えられる『Dies irae』のラスボスを務めるコズミックニートことメルクリウスが使用する占星術の一種。


超重力暗黒天体(ブラックホール)

 元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリスの強化形態、魂沌新種カオス・エフィリスが第二形態移行後すぐに使用する技の一つ「ソレデハご覧ください」。


満月降槍(フルムーン)

 元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリス及び、その強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「フルムーン」。


極大擬似太陽デッドリー・サンライズ

 技のイメージの元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリスの強化形態、魂沌新種カオス・エフィリスの第二形態が使用する技の一つ……ではなく、秋氏の小説『魔王学院の不適合者 ~史上最強の魔王の始祖、転生して子孫たちの学校へ通う~』に登場する魔法「獄炎殲滅砲(ジオグレイズ)」。

 過去作のソウル系のボスが使用する『デッドリーサン』が技名の元ネタになっている。


槍先光条(ホーリー・パルサー)

 元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリス及び、その強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「軌道性パルサー」。


流星嵐(メテオロス・ストーム)

 元ネタは自作『文学少年(変態さん)は世界最恐!?』に登場する同名の魔法。

 初登場時は時空属性最強魔法と銘打たれていた流星雨(メテオロス・レイン)の更に上位互換の魔法で、流星(メテオ)流星群(メテオラ)流星雨(メテオロス・レイン)の更に上位互換の魔法ということになる。

 元ネタの元ネタは『デスマーチからはじまる異世界狂想曲』に登場する魔法「流星雨」。


時空穴(ディメンションホール)

 技の着想は『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリス及び、その強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「カイパーベルト・ウェーブ」から得ている。


短距離瞬間移動(ショートワープ)

 技の着想は『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリス及び、その強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが戦闘中に行う高速移動から得ている。

 技自体の元ネタは『週刊少年ジャンプ』にて二〇〇四年二十六号から二〇一二年五十号連載された天野明氏の漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』に登場するイェーガーなどの復讐者(ヴィンディチェ)達が使用する夜の炎を利用した瞬間移動(ショートワープ)


時空穴複製(ホール・コピー)

 技の着想は時空穴(ディメンションホール)と同様に『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリス及び、その強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「カイパーベルト・ウェーブ」から得ている。


天焦がす波の奔流(メーザー・スター)

 元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリスの強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「メーザー・III」と「メーザー・X」。


死の巨星行軍デッドリー・レッドジャイアントグレーザー

 元ネタは『星のカービィ ディスカバリー』のボスラッシュのハードモードである「TheアルティメットカップZ」に登場するフェクト・エフィリスの強化形態である魂沌新種カオス・エフィリスが使用する技の一つ「デッドリーサン・グレーザー」。


転送装置

 元ネタは「チョコボの不思議なダンジョン『時忘れの迷宮』」に登場した不思議のダンジョンの0Fに存在し、チェックポイントを通過することでその地点まで瞬間移動することができる装置。

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