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【12/1より第二部第五章更新開始】天衣無縫の勝負師は異世界と現実世界を駆け抜ける 〜珈琲とギャルブルをこよなく愛する狂人さんはクラス召喚に巻き込まれてしまったようです〜  作者: 逢魔時 夕
第一部第一章「Welcome to gesso」

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異世界に移動してみんながファンタジーな職業を得る中、一人だけ別ゲームというか、宇宙人狼やっているガラウスさん。

「では、恒例行事のステータスチェックやっていきましょうか?」


「何それ知らないんですけど!」


 ガラウスのツッコミを無視して、スマートフォンを取り出して無縫はディープウェブにアクセスし、内務省異界特異能力特務課のサイトを開いた。

 入力画面にIDとパスワードを入力した無縫は目的の項目を開いてQRコードの画像をダウンロードする。


「今更ですけど、開示しちゃって大丈夫ですよね? 内藤さん」


「えぇ、問題ないと思います。知られて困るようなものでもありませんし」


「では、フィーネリアさんとドルグエスさん、このQRコードを読み取ってアプリをダウンロードしてください。ステータスチェッカーという内務省異界特異能力特務課が開発したアプリで、写真で撮った相手のステータスを表示することができます」


 鑑定系のスキルを解析し、内務省異界特異能力特務課で開発されたのがこのステータスチェッカーというアプリである。

 写真を撮るだけで自分以外のステータスも瞬時に知ることができるためステータスプレートの上位互換のように思えるが、ステータスチェッカーでは写真を撮った瞬間のステータスしか確認することはできず、ステータスプレートのようにリアルタイムの成長を知ることができないという欠点があるため、どちらかがどちらかの下位互換という訳ではない。


「完全に私のことは無視する方向ですか、そうですか!」


「ちょっと貴方、なんで私のことをこれ見よがしに仲間外れにするのよ! つくづく性格が悪いわね!」


「いや、なんで逆にお前はアプリ入れてないんだよ、阿呆アイドル! というか、バイトにもIDとパスワード配られているんだし、自分でやればいいんじゃないのか?」


「誰が阿呆アイドルよ、この社会不適合ギャンブラー! いいじゃない、これまで必要無かったんだし」


「……ところで、無縫君? もしかしなくても、彼女って人気アイドルの朝比奈茉莉華さんよね? なんでそんなに仲が悪いのかしら? 彼女って明るくてキラキラしていて歌も上手くて踊りも上手でグループの仲間達からも信頼されていて、私が貴方に散々負けて心が折れ掛けていた時に心の支えになってくれた憧れの存在なのだけど」


「フィーネリアさんってコイツのファンだったんですね。でも、コイツ性格悪いし、暴言吐きまくるし、反りが合わないし、本当に嫌な奴なんですよ。アイドル業界も競争激しいみたいですから、舞台の上の姿なんて幻想で、気の強くて性格の悪い奴しかいないと思いますよ。まあ、瑞稀さんも霞さんもコイツと違って良識のある方々ですけどね」


「はぁ〜? 貴方こそ幻想見過ぎじゃないかしら! 霞はゆるふわ系みたいに振る舞っているけど明らかに腹黒だし、瑞稀は方向音痴で東京でのライブなのに北海道に行くくらいだし、真面なのは私くらいよ!」


「というか、コイツって魔法少女プリンセス・カレントディーヴァの正体ですよ。フィーネリアさん達も何度か交戦して敗北しているじゃないですか。その辺り、恨みとかないんです? というか、マッチポンプじゃないですか」


「それを言うなら、無縫君相手に負けている方が圧倒的に多いわよ。それとこれとは話は別。茉莉華さん、もしよければ後でサインをもらえないかしら?」


「うーん、どうしようかしら? ファンなのは嬉しいけど、グループのファンなのか私のファンなのかということでも変わってくるわね。【スターライト・トゥインクル】の中で一番の推しは誰かしら?」


「それは勿論、茉莉華さんですよ!」


 茉莉華が内心ガッツポーズをしているのが、無縫には読心系のスキルを使うまでもなく分かった。


「私はファンは大事にする主義なの! 後で色紙にサインを書いてあげるわ。それと、東京でのツアーが終わったら次に西京都でツアーをするのだけど、希望日があれば特等席のチケットをプレゼントするわ!」


 フィーネリアが憧れの推しからのプレゼント宣言に感動し、茉莉華も満更ではなさそうな顔をして喜ぶ中、無縫は生欠伸を噛み殺して心底つまらなさそうな顔をしながらスキルの索敵範囲を広げて魔物の動向を探った。



 その後、一通りステータスの確認が終わったところで天職の情報のみが共有されることとなった。


「内藤さんは暗殺者(アサシン)ですか。記憶上映師(メモリー・マスター)魔弾狙撃手(デア・フライシュッツ)と合わせてこれで三つ目ですね」


「なかなか使い勝手のいい天職が連続で当たってくれているのは嬉しいですね」


「滝ノ瀬さんは魔弓士(マジック・アーチャー)義賊(シーフ)探索者(レンジャー)、松嶌さんは施療神官(クレリック)と治癒師と雷炎術師(プラズマ・マンサー)、旗幟さんは剣士と高位付与術師(ハイ・エンチャンター)ですね。二つ以上の天職獲得はなかなか無いので幸先良いですね」


「私は反魂魔術師と操鞭師、闇魔術師ね。とりあえず、鞭の扱いが得意になって、魔法が使えるようになったという感じかしら?」


「フィーネリアさんのイメージにピッタリですね」


「吾輩は網羅武器士と勇者と武闘王だな!」


「……それ、侵略者が持っていていいのか? っていうものばかり集まっていますね。まあ、獅子王家の人間が持っていたくらいですし、誰が持っていても不自然ではありませんが」


「私は守護戦士(ガーディアン)巫女(カンナギ)だな。魔槍術師にはない強みがある天職が来てくれたか」


「……波動砲使いウェイブカノン・マスター偶像乙女(アイドル)……少なくとも波動砲使いウェイブカノン・マスターの方はゴミ天職ね」


「そんなこともないと思うけどな。茉莉華には勿体無い素晴らしい天職じゃないか」


「いや、だって無縫を倒すのには全く役立たないじゃない」


「ああん? やんのか? 魔法少女に変身して杖構えろや!」


「無縫君、茉莉華さん、二人ともそこまでです! ここで争ったって何も生み出しませんよ」


 無縫と茉莉華がバチバチとやり合い、龍吾が二人を眺めていると、ガラウスがガックリと項垂れた。


「天職は変身術師(シェイプ・シフター)とパン屋って、どこの宇宙人狼だよ!」


「なんですか? それ?」


「無縫殿は知らないんですか!? あの世界的ゲームを」


「ギャンブル関連じゃなければ、昔触ったレトロゲーム以外だとアイツらに薦められたゲームしかしないからな。もしかしたら、ヴィオレットとシルフィアが知っているかも」


「聞いたことくらいはあるわね。霞が野良で参加しているって言っていたかしら?」


「人狼の存在は聞いたことがあるが、誘われたことはないし、遊んだこともないな。宇宙人狼とはその亜種だろうか?」


「私、乙女ゲーム専門だから、そういうのは守備範囲外ね」


「はははっ! 吾輩は武器のコレクションと身体を動かす方が好きだからな!! 頭を使うのは苦手だ!!」


 上から無縫、茉莉華、リリス、フィーネリア、ドルグエスの言葉である。ちなみに、内藤達も存在を知っている程度で遊んだだことはないらしい。


「というか、乗員(クルー)詐欺師(インポスター)職を両方ってどっち陣営なんだよ!」


「お前は侵略者(アグレッサー)だろ、忘れたのか? しかし、変身術師(シェイプ・シフター)はまだ変身できるからマシとはいえ、パン屋は本当に戦い使える要素がないな。これは、転移者最弱かもしれない。とりあえず、おめでとう」


「殺されたら、『今日からはもうおいしいパンが食べられません。』っていうメッセージが流されるのか? ……流石にそんな訳ないか。……って、誰が最弱職だ!」


「まあ、珈琲師と違って戦いに活かせる要素皆無みたいですからね」


「あら? 珈琲とパンって最高の組み合わせじゃない。とても愛想良さそうな組み合わせね。良かったわね、無縫」


「誰がガラウスと相性最高だって!? 目にガラス玉(ビードロ玉)でも嵌ってんのか?」


「ああン! 少なくとも私の方が貴方より審美眼はありますけど! 幸運と勘で正解引き当てている貴方とは違って」


「誰だったっけ? 二人が正解する中、間違いばっかり引きまくって三人纏めて映す価値なしまで転落させた戦犯さんは」


 またしても喧嘩を始める無縫と茉莉華。

 龍吾は遂に宥めることを諦めたのか、それともいっそ喧嘩するだけさせて納得させた方が良いと判断したのか、無縫達を放置して廉、紬、遊大の三人(部下達)にテキパキと戦闘に向けた指示を出した。


「さて、そろそろ敵が来るみたいですね。皆様、準備をよろしくお願いします」


「こうなったら無縫! どっちが魔物を多く倒せるかで勝負するわよ!! 勿論、逃げないわよね?」


「勝てる勝負をわざわざ降りる訳がないだろう? そっちがその気ならこっちにも断る理由はない! 変身!」


「ま、魔法少女の姿になるなんて反則よ! だったらこっちだって! 変身!!」


「無縫君、茉莉華さん、競争するのは構いませんが、我々にも戦う魔物を残しておいてくださいね!」


 龍吾の言葉が聞こえているのか聞こえていないのか、魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスと魔法少女プリンセス・カレントディーヴァはほぼ同時に杖を片手に魔物に向かって駆け出した。

◆ネタ等解説・二十五話目

魔弾狙撃手(デア・フライシュッツ)

 元ネタはカール・マリア・フォン・ウェーバーが作曲した全三幕のオペラ。

 台本はヨハン・アウグスト・アーペル、フリードリヒ・ラウンの『怪談集』を元にヨーハン・フリードリヒ・キントが執筆した。

 本作では「意のままに命中する弾」という設定のみを踏襲して因果干渉系スキルに改変しており、悪魔云々は関係ない。イメージ的には『魔法少女育成計画』のリップルの魔法「手裏剣を投げれば百発百中だよ」の弾丸版である。ただし、因果干渉系のため、同じく因果に干渉する能力が発動されている場合は必中効果が消滅する。

 佐島勤氏の『魔法科高校の劣等生』に登場する七草家が開発した魔法「魔弾の射手」は間違いなく関係ない。


波動砲

 元祖はアニメ「宇宙戦艦ヤマトシリーズ」に登場する架空の兵器。作者のイメージは『ファイナルファンタジー』シリーズに登場する暗闇の雲やオメガなどが使用する技のイメージ。

 片手で装備して放っているため、宇宙人狼『Among Us』のインポスター役職の一つである波動砲のイメージが近いかもしれない。


宇宙人狼

 InnerSlothによって開発されたオンラインマルチプレイヤー・ソーシャルディダクションゲーム『Among Us』のこと。

 パン屋は会議終了時にパン屋が生存してると追放画面に追加で「パン屋さんが美味しいパンを焼き上げました」と表示されるクルー陣営の役職で、変身術師(シェイプ・シフター)はインポスター陣営以外のクルーメイト全員に一定時間変身することができるインポスター陣営の役職。


◆キャラクタープロフィール

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朝比奈(あさひな)茉莉華(まりか)

性別、女。

年齢、二十一歳。

誕生日、三月三日。

血液型、O型Rh+。

出生地、千葉県浦安市舞浜。

一人称、私。

好きなもの、歌、ダンス、ファンのみんな。

好きな飲み物、アイリッシュコーヒー、マティーニ。

嫌いなもの、マスゴミ、週刊誌記者。

座右の銘、私の歌でみんなを幸せにする!

尊敬する人、皐月凛花(女優、アイドル)。

嫌いな人、庚澤無縫(内務省での同僚)。

ライバル、庚澤無縫(内務省での同僚)、皐月凛花(女優、アイドル)。

好きな言葉、最後に愛は勝つ(KANの曲、愛は勝つの一節)。

嫌いな言葉、特に無し。

職業、人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】のリーダー、魔法少女。

主格因子、無し。


「人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】のリーダー。幼少の頃にテレビで見たアイドルの皐月凛花に憧れ、弛まぬ努力を経てアイドルになる。その一方で、妖精と契約して魔法少女プリンセス・カレントディーヴァとなり、人知れず人々の生活を守るために戦ってきた。無縫のことは本人も理由は分からないものの、魂のレベルで反りが合わず、会う度に喧嘩ばかりしている。無縫さえ絡まなければどんなファンでも大切にするアイドルの鑑である」

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藤宮(ふじみや)瑞稀(みずき)

性別、女。

年齢、二十歳。

誕生日、五月三日。

血液型、A型Rh+。

出生地、西京都中央区心斎橋(ミナミ)。※ただし、三歳から千葉県で育っている。

一人称、私。

特技、方向音痴。

好きなもの、アイドルチームの仲間達。

嫌いなもの、バラエティ番組の鬼畜企画。

座右の銘、弛まぬレッスンがファンの感動に繋がる近道。

尊敬する人、朝比奈茉莉華(チームリーダー)、天音霞(チームメンバー)。

嫌いな人、南雲菊(ダンスレッスンのコーチ)。

好きな言葉、特に無し。

嫌いな言葉、特に無し。

職業、人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】のメンバー。

主格因子、無し。


「人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】のメンバー。高校生の頃にスカウトされ、アイドルデビュー。その後、事務所の方針で茉莉華と霞と共に【スターライト・トゥインクル】を結成することとなった。極度の方向音痴だが、本人に自覚はない。ダンスは苦手だが、天性の歌唱力を持つ」

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天音(あまね)(かすみ)

性別、女。

年齢、十九歳。

誕生日、六月九日。

血液型、B型Rh+。

出生地、埼玉県さいたま市。

一人称、私。

好きなもの、チームメイト。

嫌いなもの、枕営業を迫ってくるスポンサーやテレビ関係者、芸能界の闇全般。

座右の銘、己が身を守るのは己だけ。大切な仲間を守れるのも己が力だけ。

チームメンバーからの印象、腹黒。

尊敬する人、朝比奈茉莉華(チームリーダー)、藤宮瑞稀(チームメンバー)。

嫌いな人、多過ぎて書ききれない。

好きな言葉、特に無し。

嫌いな言葉、特に無し。

職業、元人気子役、人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】のメンバー。

主格因子、無し。


「元人気子役で、父親はアイドルプロデューサー、母親はアイドル上がりの女優。幼少の頃から芸能界の負の面を見て育ってきた。子役卒業後は母の意向でアイドルとして活躍、紆余曲折あって【スターライト・トゥインクル】のメンバーとなる。その裏では様々な駆け引きが行われていたらしい。幼少の頃から仕事獲得の対価として性的奉仕を要求する所謂枕営業を強要されることがあったが、のほほんとした態度でのらりくらりと躱してきた。人気アイドルグループ【スターライト・トゥインクル】の仲間である茉莉華と瑞稀のことが凄く大好きで、二人の身に危険がないように立ち回っているが、当の本人達からは腹黒だと思われてしまっている」

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