紅茶から取り出したエネルギーで戦艦を動かして都市一つを消し炭にするほどの砲撃を行うって、そもそもどんなシステムなんだよ! どこぞのコーラで動く船大工じゃあるまいし!!
ルーグラン王国への攻撃開始日は異世界ジェッソでの全世界放送後、戦争に参加する陣営の代表が協議して決めていた。
そしてルーグラン王国の命運を決める運命の開戦日当時。
クリフォート魔族王国の魔都にある新魔王城の中庭は各陣営の戦力が集結していた。
まずは、ルーグラン王国に対して宣戦布告をした大日本皇国。
政府関係者からは内務省異界特異能力特務課所属臨時職員の庚澤無縫と、内閣総理大臣の大田原惣之助、防衛大臣の逢坂詠を筆頭に、内藤龍吾率いる異界勢力制圧特殊部隊『雷霆』所属の武闘派職員二十名、鬼斬機関から局長の桃沢真由美、鬼斬の桃沢日和、鵜木春臣、桜庭愛莉、陰陽連から陰陽頭の賀茂幸成、陰陽助の蘆屋天涯、陰陽師の在原芳房、西嶋美遊、春風藤翔、式神の飯綱ちゃん。
異世界アムズガルドの魔王国の王女であるヴィオレットと、フェアリマナの妖精であるシルフィアをここに含めていいかどうかは微妙だが、この二人を無縫の身内と考えれば大日本皇国側の陣営に組み込むべきなのかもしれない。
続いて虚界の独立国家ロードガオン。
フィーネリアが率いる独立国家ロードガオン地球担当第一部隊がやはり主力メンバーとなる。
ワーブリス兵と多くの怪人達という雑兵を合わせれば間違いなく参戦者が最も多い陣営であると言えるだろう。
また、独立国家ロードガオン地球担当第二部隊からドルグエスとマリンアクアも参戦することが決まっており、ガラウスを除く独立国家ロードガオンの地球担当部隊の幹部達がほとんど集結している。
大日本皇国を侵略の恐怖で震え上がらせた者達が、そのままルーグラン王国に牙を剥くという状況はルーグラン王国に召喚された勇者達を恐怖させることになるだろう。
続いて異世界アムズガルドのイシュメーア王国。
第一王女のミシャエリーナ……は魔法が扱えるものの基本的に非戦闘員のため参戦せず。その代わりとして、イシュメーア王国最強の近衛騎士であるディオン・ローフェス、女性騎士のみが所属できる王女麾下の護衛騎士団「白百合騎士団」の団長を務めるディアマリー・ローフェスのローフェス侯爵家の父娘を参戦させる決断を下した。
冒険者ギルドに依頼して凄腕の冒険者を参戦させるのはどうかという話も国内で上がったが、「今回は対魔物ではなく対国家の戦争であることから冒険者にいらない罪を背負わせるべきではない」と大日本皇国が断ったため、冒険者の参戦はない。
その代わりに最古の古世竜として神話にも登場する『龍皇』ファディロス=ブランディッシュが「若い古世竜を討伐してくれたお礼だよ」と言って参戦を宣言した。
続いて同異世界の魔王国ネヴィロアス。
現魔王であるノワール、次期魔王のリリス、魔王軍四天王であるヴァルフレウ、ヴェノゼラ、エルゼビュート、リアムのいつもの六人が参戦を表明している。それ以外の多くの陣営から参戦するため、量よりも質を重視すべきであるという方針により参戦はしないこととなった。
続いて異世界ハルモニアのルビリウス王国。
こちらも第一王女のエリザヴェート=ルビリウスも魔法が使えるものの基本的には非戦闘員のため参戦せず。
その代理としてルビリウス王国最強の騎士団である『純黒騎士団』の団長コルタール=ブラックオニキスと副団長のジェーン=アトラティスの二名が参戦することとなった。
コルタールは戦災孤児で、傭兵上がりで騎士となった男で、変則的で型破りな彼の剣技は敵味方問わず恐れられた。
ローフェス侯爵家の父娘が王道の騎士であるとすれば、コルタール達『純黒騎士団』は王道を外れた実践で磨かれた実力者である。
美しさなど欠片もないトラブルと勢いに任せたく型破りな方法で数々の任務を成功させてきたコルタール達であれば、今回の戦争でも活躍してくれるだろうとエリザヴェートは考えているようである。
続いて異世界アルマニオスのミトラシスコロニーからはミトラシスコロニー技術研究局局長のローヴマルク、ミトラシスコロニー技術研究局秘書室長ミモザ、ミトラシスコロニー技術研究局副局長のアルエットとナガファス。
ここに、異世界ジェッソ出身の元奴隷のエアリスとミゼルカも同行している。彼女達は異世界ジェッソを守るために暴走気味なローヴマルクを止めようと奮闘し続けているようだが、努力も虚しく上手くいっていないようだ。
続いて異世界ジェッソのクリフォート魔族王国。
夜の神ベンタスカビオサ、初代魔王ジュドゥワード、二代目魔王ベンマーカ、四代目魔王テオドアといった歴代の魔王に加え、元魔王軍四天王のコクリコ、宰相シトラス、レイン、アルルーナ、緋月、ゼグレインといった魔王軍四天王の面々、メープル、エスクード、アルシーヴ、ラピス、ヴィトニル、イリア、マラコーダ、ベークシュタイン、白雪、ジェイドといった魔王軍幹部の面々などクリフォート魔族王国を代表する戦力が参戦することが決まっている。
ちなみに、対人間族魔国防衛部隊からオズワルドとヴィクターの二名が参戦することが決まったが、これに伴い対人間族魔国防衛部隊の戦力が低下することが危惧された。それに、ラーシュガルド帝国への奇襲によって釘は刺しておいたものの、戦争の隙に乗じて攻め込んでくる者がゼロとは言い切れない。
そのため、【悪魔の橋】の防衛戦力の層を厚くするために魔王軍即応騎士団からジュラキュールやコンスタンスといった戦力が、魔導近衛騎士団からディージスや蒼といった戦力が派遣されている。
『頂点への挑戦』挑戦者の多くも【悪魔の橋】の防衛に加わるため【悪魔の橋】に終結を始めているようだ。
その一方でルキフグス=ロフォカレ学園は、戦争に子供達を関わらせてはならないと参戦を固く禁じた。
ただし、詠に大きな借りを作ってしまったレイヴンはアルシーヴが止める前に連れ去られてしまい、強制的に参戦することになってしまった。詠曰く、「折角の実戦の機会だ。無駄にするなど愚かだ」ということらしい。
ミリアとシエルは内務省への恩義から参戦を表明している。彼女達はクリフォート魔族王国の人間ではあるものの、大日本皇国側での参戦のため、大日本皇国側の戦力として数えるべきなのかもしれない。
その他、レフィーナが参戦を表明している。無縫は「 『頂点への挑戦』と違って、これは命の奪い合いなんだから。日向にいるべき人がわざわざ手を汚す必要はない」と声を掛けて止めようとしたのだが、「無縫君への恩もあるし……それに、貴方のこの異世界ジェッソの旅の結末をこの目で見守りたいの。覚悟はできているわ」と頑なに譲らなかった。
……なお、レフィーナが担当する役割は戦場で補給係として活動するブルーベル商会のリリィシアの護衛が大部分を占めるため、彼女が直接手を汚す場面は他の者達に比べて少なくなるだろうと想定されている。
できればレフィーナには人殺しの咎を背負って欲しくないなぁ、と思っている無縫だった。
そして、最後が神界である。
右近衛大将のウコンと左近衛大将のサコン率いる天使と悪魔総勢二百人による混成部隊が参戦を表明した。
中にはメタトロンやサンダルフォン、ミカエル、ガブリエル、ルシファー、ベルフェゴール、ベルゼブブ、マルコシアスといった有名な天使や悪魔も含まれているようだ。
◆
多くの者達が初対面――種族も暮らしていた世界も全く異なる者達は開戦前で緊張していてもおかしくない状況にも拘らず、この機会に異文化交流を楽しもうと言わんばかりにさまざまな場所で交流していた。
中でも注目を集めていたのは異世界アルマニオスのミトラシスコロニーから来た面々だと言えるだろう。
やはり、あの調印式の場に戦艦に乗って現れたミトラシスコロニーのインパクトは凄まじまかったのだろう。
それに、その戦艦のシステムもミトラシスコロニーの高度に発達した技術が用いられており、その技術への注目も高まっているようだ。
「この戦艦のエネルギーには、様々な飲み物が使用可能です。基本的には紅茶から取り出した紅茶エネルギーを利用して戦艦を動かしたり、主砲から打ち出したりすることができます。……ちなみに、飲み物は珈琲、ビール、クラフトコーラ、メロンソーダ、カレーなどでも問題なく動きます。ただ、エネルギーとして使う分には問題ありませんが、主砲から打ち出す際には性質が変わります」
「……ほう、とんでもない技術ですね。興味深い」
中でもローヴマルクの説明に最も興味を示していたのがベークシュタインだった。
始まりの大穴の攻略に役立ちそうだとでも考えたのだろうか?
そんなマッドサイエンティストっぷりを発揮するローヴマルクとベークシュタインにすっかりドン引きしているエアリスとミゼルカはジリジリと二人から距離を取っていた。
「……ナガファスさん。あれは、戦後に作られた技術なのですか? 何故、飲み物からエネルギーを取り出すなんて突飛な発想をしたのでしょうか?」
「残念ながら戦中から既にあった。侮れない兵器で紅茶エネルギーをフル充填した紅茶式ネルソン砲は都市一つを消し炭にするほどで恐れられていたんじゃ」
「……まさか、それをルーグラン王国に撃ち込むつもりでは、ありませんよね?」
「流石に今回の戦争には味方も多く参戦する。味方にも被害を出すような攻撃はしないと思うが」
歯切れの悪いナガファスの言葉に揃って項垂れるエアリスとミゼルカだった。
◆ネタ解説・二百十三話(ep.214)
・蘆屋天涯
蘆屋は平安時代の非官人の法師陰陽師である蘆屋道満から。本作では彼の子孫という設定である。
天涯は空の果て。また、故郷を遠く離れた土地。……という意味だが、佐崎一路氏のライトノベル『吸血姫は薔薇色の夢をみる』の登場人物の名前から取った。
・『純黒騎士団』
着想元は百門一新氏のライトノベル『最強の黒騎士♂、戦闘メイド♀に転職しました』に登場する黒騎士部隊。
・紅茶式ネルソン砲
ワシントン海軍軍縮会議の結果、条約型戦艦のうち16インチ砲戦艦2隻の保有権を獲得したイギリス海軍が建造した超弩級戦艦の艦級であるネルソンが元ネタの一つ。
実際は、きららファンタジアに登場したメカこけしの技「かどまつ型ネルソン砲」が直接的な元ネタとなっている。
また、システムは尾田栄一郎の漫画「ワンピース」に登場するサウザンドサニー号に搭載されたコーラを燃料としたシステムを参考にしている。
◆キャラクタープロフィール
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・蘆屋天涯
性別、男。
年齢、二十一歳。
誕生日、六月二十一日。
血液型、A型RH+。
出生地、京都府。
一人称、俺。
好きなもの、休日、レトロゲーム。
嫌いなもの、働かない上司。
座右の銘、特に無し。
尊敬する人、賀茂幸成。
嫌いな人、特に無し。
職業、陰陽連の陰陽助。
主格因子、無し。
「在野出身で、伝説の陰陽師・安倍晴明のライバルと呼ばれるに至った蘆屋道満の子孫。若くして頭角を表して陰陽助に任命されるに至っている。少し生まれるのが早ければ陰陽頭に選ばれてもおかしくは無かった。なお、当人は上に立つよりも人を支える方が得意であると考えており、陰陽助の立場を気に入っている。幼少の頃に賀茂幸成の美しい陰陽術を見て彼への尊敬の念を抱く。その気持ちはすっかり堕落してしまった賀茂幸成の姿を見ても全く変わっていない模様。とはいえ、やはりちゃんと仕事をして欲しいとは思っている」
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・ディオン・ローフェス
性別、男。
年齢、四十八歳。
誕生日、九月九日。
血液型、A型RH+。
出生地、イシュメーア王国王都フィオーレ。
一人称、俺。
好きなもの、剣術。
嫌いなもの、特に無し。
座右の銘、特に無し。
好きな人、妻のアイラーネ・ローフェスと娘のディアマリー・ローフェス。
嫌いな人、特に無し。
職業、イシュメーア王国近衛騎士団団長。
主格因子、無し。
「イシュメーア王国最強の近衛騎士で、近衛騎士団団長を務める男。愛妻家で更に娘を溺愛しているが、公私混同はせず一騎士としては娘と対等に接している」
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・ディアマリー・ローフェス
性別、女。
年齢、二十五歳。
誕生日、四月一日。
血液型、AB型RH+。
出生地、イシュメーア王国王都フィオーレ。
一人称、私。
好きなもの、剣術。
嫌いなもの、男尊女卑。
座右の銘、雨垂れ石を穿つ。
尊敬する人、ディオン・ローフェス。
嫌いな人、特に無し。
職業、イシュメーア王国白百合騎士団団長。
主格因子、無し。
「女性騎士のみが所属できる王女麾下の護衛騎士団『白百合騎士団』の団長。偉大なる父ディオン・ローフェスの背中を追いかけて騎士となった」
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・マルグヴァルド=ルビリウス
性別、男。
年齢、四十五歳。
誕生日、八月九日。
血液型、A型RH+。
出生地、ルビリウス王国王都コランダーム。
一人称、我。
好きな人、妻のミラニア=ルビリウス王妃。
嫌いなもの、特に無し。
座右の銘、緯武経文。
尊敬する人、特に無し。
嫌いな人、特に無し。
職業、ルビリウス王国国王。
主格因子、無し。
「異世界ハルモニアにあるパングェーア大陸にある六つの人間国家の一つ、ルビリウスの国王。庚澤無縫達が異世界転移した際には真っ先に騎士団を派遣したが、これは周辺の人間の国々との紛争に勝利して平穏を手にした直後で国が緊張状態にあったからであり、平時においては賢王と呼ばれるほど優れた王である。時空災害への対処では異世界人である無縫達の力が必要不可欠と考えて貴族達を説得して共闘関係を実現した立役者となった。タタラの一件でも優れた技術者としてではなく一人の少女として気遣い、彼女のルビリウス王国の庇護からの解放を快く受け入れる点から分かるように民の心を重んじられる心優しい王でもある」
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・コルタール=ブラックオニキス
性別、男。
年齢、四十歳。
誕生日、九月六日。
血液型、AB型RH+。
出生地、ルビリウス王国辺境のスラム。
一人称、俺。
好きなもの、騎士団の仲間。
嫌いなもの、特に無し。
座右の銘、特に無し。
尊敬する人、特に無し。
嫌いな人、特に無し。
職業、純黒騎士団団長。
主格因子、無し。
「ルビリウス王国最強の騎士団である『純黒騎士団』の団長。戦災孤児で、傭兵上がりで騎士となった男で、変則的で型破りな彼の剣技は敵味方問わず恐れられた」
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・ジェーン=アトラティス
性別、男。
年齢、三十九歳。
誕生日、六月八日。
血液型、B型RH+。
出生地、ルビリウス王国アトラティス侯爵家。
一人称、俺。
好きなもの、相棒と過ごせる時間。
嫌いなもの、特に無し。
座右の銘、特に無し。
尊敬する人、特に無し。
嫌いな人、特に無し。
職業、純黒騎士団副団長。
主格因子、無し。
「純黒騎士団副団長の副団長にしてアトラティス侯爵令息。堅苦しい貴族社会に嫌気がさし、剣一本で戦える騎士の道を選んだ。コルタールの親友を公言し、最高の相棒であると語っている」
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