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無法都市にヴィオレットとシルフィアが行ったら大騒動になるに決まっているのに、そこで、よりにもよって二人にカジノを勧めるマフィアは戦犯以外の何者でもないでしょ!!

 大日本皇国内閣総理大臣である大田原惣之助、独立国家ロードガオン地球担当第一部隊隊長のフィーネリア=レーネ、クリフォート魔族王国魔王テオドア=レーヴァテイン、異世界アムズガルドのイシュメーア王国のミシャエリーナ・ルーモス・イシュメーア第一王女、異世界アムズガルドのイシュメーア王国の魔王国ネヴィロアスの魔王ノワール=ノルヴァヌス、異世界ハルモニアのルビリウス王国のエリザヴェート=ルビリウス第一王女によるクリフォート魔族魔族王国の異界間共同防衛条約と異界間通商網条約をもとに組織された異世界同盟と呼ばれる互助組織への加盟を宣言する通称、六頭会議が間近に迫っている。


 既にクリフォート魔族王国では対ルーグラン王国と白花神聖教会の戦争に向けて戦力の見直しが進められており、内務省や鬼斬機関、陰陽連でも選抜が進められているようだ。

 軍部からの参加はないが、逢坂詠が参加するため戦力は十分である。


 科学戦隊ライズ=サンレンジャーの参戦はなく、大日本皇国の防衛……主に対地底人のために大日本皇国に残ることになる。

 ログニス大迷宮の攻略に参加した玉藻楪や三栖丸雪芽は戦争に参戦はしないものの、大日本皇国側が襲撃を受けた場合は防衛に協力してくれると約束してくれた。


 ロードガオン組も参戦するメンバーの選定及び、投入する怪人やワーブリス兵の最終確認を進めており、フィーネリア、ミリアラ、マリンアクアの三人は忙しそうに宿屋『鳩の止まり木亭』と大日本皇国にある独立国家ロードガオン地球担当第一部隊の拠点を行き来している。

 一方、その頃、ドルグエスは主に『頂点への挑戦(サタン・カップ)』の本戦に出場するクラスのクリフォート魔族王国の希望者や各騎士団の希望者、ルキフグス=ロフォカレ学園の生徒達と共に大迷宮に挑んでいた。


 頭脳労働が苦手なドルグエスはこの期間を修行に充てるつもり満々で大迷宮へと向かった訳だが、これを好機とオズワルド、エスクード、ゼグレイン、アルシーヴの四人がドルグエスと交渉して希望者を送り込むことになり、更にその話を聞きつけた『頂点への挑戦(サタン・カップ)』本戦出場クラスの猛者達が雪崩れ込んだという形である。

 ちなみに、特に四人の間で交渉があったという訳ではなく、四人が話をしていたら「うむ、それはいいことだ。共に大迷宮で鍛えようではないか」とあっさりと挑戦が決まってしまったということらしい。


 「ああ、やっぱりこの人脳筋で、能天気でお人好しな人だなぁ」と全く同じ感想を抱いたオズワルド、エスクード、ゼグレイン、アルシーヴの四人だった。



 一方、無縫はというと、忙しそうにしているフィーネリアを時空の門穴ウルトラ・ワープゲートで拉致し、ある場所に向かっていた。

 ヴィオレットとシルフィアがそんな二人を尾行し、嫌な予感がしたレフィーナとレイヴンが二人が飛び込んだ時空の門穴ウルトラ・ワープゲートにギリギリのタイミングで飛び込み……結果として、無縫とフィーネリアが向かった場所にヴィオレット、シルフィア、レフィーナ、レイヴンの四人も合流することとなった。


「ふう、久しぶりの無法都市ですね! ……で、尾行されていることに気づいていなかったと思いましたか?」


 いつの間にか魔法少女ラピスラズリ=フィロソフィカスの姿に変身し、青いワンピースに着替えていた無縫が時空の門穴ウルトラ・ワープゲートから飛び出した直後に物陰に隠れていた四人にジト目を向ける。


「……いや、そんなつもりはなかったでござるが、お二人を止めようとして」


「レイヴンさんと同じよ。……まあ、失敗してしまったようだけどね」


「うむ、ギャンブルの匂いがするのじゃ!」


「まさに繁華街じゃな!!」


「……レフィーナさん、レイヴンさん、私はこれからフィーネリアさんと友人に会ってきますのでこの二人のことをお願いしますわ。それと、ここでは瑠璃の名前で通っていますから、その名前で呼んでくれると嬉しいわ」


「わ、分かったでござる」


「分かったわ。……二人のことは頑張ってなんとかするつもりだけど、私のできることにも限界があるからあまり期待しないでもらいたいわね」


「ところで、ここはどこでござるか?」


「人間の街……無法都市と呼ばれる場所ですよ」


「それって……やっぱり魔族は目立つでござるよね」


「まあ……そうでしょうね」


 無縫改め瑠璃はフィーネリア、ヴィオレット、シルフィア、レフィーナ、レイヴンと共に無法都市を歩く。

 メンバーの大半が純魔族とエルフとよく分からない妖精――明らかに人間じゃない見た目ということで街は「魔族が襲撃してきた!」とプチパニックになっていた。


「……なんだか申し訳なくなってくるわね。騒ぎになって軍や騎士団が来ないといいのだけど」


「あー、この都市にそういうのはありませんわ。ここは元王国、その都市を紆余曲折があって今はマフィアが統治しています。国家の法が通用しない、犯罪がそこかしこに溢れている都市――それ故に無法都市と呼ばれています。少し前までは奴隷も当たり前のように売買されていました」


「そういえば、む……瑠璃殿は魔族の奴隷を解放してくれたと聞いたことがあるでござる。その奴隷は……」


「ああ、元々はこの都市で売買されていたものですよ。……まあ、私が三つあった犯罪組織の一つを壊滅させ、残る二つの組織のボスに直談判をしたので現在、この都市では奴隷売買は禁止されています。その売買を率先して禁止するように動いているのが二つの犯罪組織ですから、この都市で奴隷売買が行われる確率はかなり低くなっていると思いますわ」


「犯罪組織も縦社会みたいなところがあるものね。強い組織の反感を買ってまで危険なビジネスに手を出すような輩はいないでしょう」


「フィーネリアさんの言う通りですね」


「……それで、今はどこに向かっているのかしら?」


「あっ、そういえば説明してませんでしたね。その噂の犯罪組織――ミル=フィオーレ・ファミリアと「黄金の塔(トーレ・ド・オーロ)」のボスに挨拶をしておこうと思いまして」


「……挨拶? まだ帰国までに時間はあるわよね?」


「そっちじゃなくて、これから起こる世界情勢の激変についてですよ。流石に、お知らせせずに始めるのは申し訳ないかな、と思いまして」


 魔族が現れたことで生じた街のパニックは広まり続け、どこかの国の貴族が持っているツテを使ったのか複数人のスーツ姿の明らかにマフィアだという出で立ちの屈強な男達が姿を見せる。


「――何者だ!! まさか、この都市に襲撃を仕掛けてきたのか!?」


「いえ、違いますわ。……貴方、どちらのマフィアの所属かしら? ミル=フィオーレ・ファミリア? 「黄金の塔(トーレ・ド・オーロ)」? それとも、どちらかの組織の傘下かしら? まあ、なんでもいいですけど、貴方達のボスに伝えてくださる? 瑠璃とフィーネリアがお話ししたいことがあって参りました、と」


 その名を聞いた瞬間、マフィア達の顔が青褪めた。


「た、大変失礼致しました! ご、ご気分を害されたと存じますが、ど、どうか命だけは……」


「私達ってなんだと思われているのかしら?」


「敵に回すと危険な人達、ってことは間違いないでしょうね」


「ボ、ボスにお伝えしてきます! そちらの方々はお連れ様ということでよろしいでしょうか? ボスやミル=フィオーレ・ファミリアのトップとお二人が会談している間、特にやることがないということであれば、是非、我らファミリーが誇る至高のカジノ、『カジノ・オメガ』で遊びませんか?」


「――ッ! それだけは、絶対に――」


「ほう、それは是非遊ばなくてはな!」


「賛成! そこのマフィアさん、いい趣味しているね! 私達がカジノ大好きなことお見通しなんだ! じゃあ、そういうことで!」


「おい待てこら!! てめぇら!!」


「――ッ! 止めるでござるよ! レフィーナ殿!!」


「えぇ、あの莫迦達を止めるわよ! 全く、何とんでもないことしてくれているのよ! 貴方達! 何をやったか分かっているのかしら!! 滅ぶことになるわよ! 貴方達が誇っているそのカジノとやらが!!」


 先手必勝と言わんばかりにマフィアの一人を抱えたヴィオレットがシルフィアを肩に乗せて『カジノ・オメガ』へと向かう。

 その後を慌てたレフィーナとレイヴンが追いかけていく。


 一先ず、魔族達が敵意を持っていないことは分かったため、騒ぎは一旦落ち着いたものの、ヴィオレットとシルフィア、それを追うレフィーナとレイヴンによる逃走劇が開始され、別の意味で無法都市は騒がしくなった。

 どっちが勝つかに賭けるギャンブルまでもが周辺のカジノを中心に始まってしまい、ますます街は混沌としていくことになる。


「……あれ、もしかして俺達って戦犯?」


「否定はしませんよ。……アイツらが負債を作ったら、覚えておいてくださいね。では、申し訳ありませんが、オスカーさんとベアトリンクスさんにご連絡お願いします」


「はっ、はいい!! 承知しました!!」

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