第3章 共同作戦 ⑩ 受け継ぐもの 魔王とゆうが CM 3
ザザッ 前に2人、そいつらの後ろにさらに3人 それらが俺の行く手を阻む
「 お前が魔王だな ?! 今日こそ年貢の納め時だっ!! 」
ムカつく野郎どもだ またこいつらか
こいつらを今までに散々 散々 ぎったぎたにしてきた
それなのにいつまでもいつまでもいつまでもいつまでもいつまでも
流れ作業のように薄汚く湧いて出、 流れ作業のようにぎったぎたにしてきた
俺は マオ・ウー マオっ⤴ ・ ウーだ
こいつら頭のおかしい外来種に、俺の国のネイティブな発音を求めても無駄だ
なんせ世界は広いし、同じくらい文化や言葉の壁はでかい
誰だか知らんが マ・オウ⤵ をひどく探しているらしい
迷惑な人違いだ
風を頼りになぜか俺の居場所を特定し、 どんどん湧き出る便所虫ども
昨今のSNSはほんとに怖いと感じる こいつらも怖いが特定班も怖い
どうやって俺の居場所を調べ上げているんだ? もはや感動すら覚える
ってか『 せ 』と『 世 』って似てんな
ひらがなとカタカナの『へ』ぐらい絶妙だ
生きていれば気づくことも増えてくる
、、、が ぶっ殺してやりたくなるぐらいどうでもいい
ー ー ー 話を戻そう
誰しも家庭菜園をしたことがあるだろ?
俺の場合なら大好きな大好きなカイワレ大根だ
すぐに育つし健康にもいい 最近は納豆に刻んで混ぜるのがMyブームだ
そして頑張って育てた植木鉢を持ち上げるといつの間にか湧くこいつら
どこからか自然とやってきていつの間にか湧く便所虫ども
ー ー ー これがそいつらだ
「 今日こそお前を倒して 世界を平和にする!!!!」
はぁ、、、
どいつもこいつも出会えばおんなじことをピーチクパーチクと、、、
その上、群れて粋がりやがる こいつらはだいたいは五人組だ
1人、、、 過去に1人や2人で挑んできたやつもいたっけか
なかなかガッツがあるやつだった 今もうっすら覚えている
まぁ 基本的にこいつらは数がそろうと現れる
こいつら外来種は徒党を組んだ途端になぜかその国の自治体ルール、お国ルールに目覚めて布教活動をするらしい
どうやら年貢を納めないやつを相互監視し、密告して報酬を得る生業のようだ
こいつらの性質は こいつらとの数えきれない邂逅から少しわかってきた
ー ー ー 群れた途端 粋がりやがる
右手で チョイ チョイ する
言葉はいらん 今までそうだった ずっとそうだった
だから慣れた手先で挨拶を送る
これだけは『 共通 』で分かり合えるようだ
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いつものように年貢を取りそびれた屍に腰を下ろし、 少し物思いにふける
はじめの頃は、なぜいきなり戦いを挑んでくるのか問いただしたことがあった
何か誤解があるのかもしれない 何かちょっとしたボタンの掛け違いのせいで
不要に、 無駄に憎しみられてしまっているのではないか、、、
憎しまれる? 憎しみられる? 、、、どうでもいい
とにかくだ なぜ無駄に喧嘩したがるのか、なぜ無駄に死にたがるのか、
ほんとに ほんとうに不思議だった 何度か対話の努力を続けてみた
だが、今や乾いた笑いばかりだけがあいつらの墓標に木霊する
初めて出会った頃だったか、対話の努力を続けていた昔を思い出す
だが会話にならない まるで会話にならなかった
やれ 「 なぜ侵攻するんだ 」 だの
やれ 「 町の人々は苦しんでいる 」 だの、、、
俺は侵攻なんてしてないし、
町の人々が苦しんでいるのはその領主の采配次第、その国の仕組み次第だろうがよ
そして言葉の壁はでかい その上こいつらの気性や法制度にも問題がある
おそらくだが年貢の再分配がうまく機能しない場合は他国への強制援助を是としているお国ルールなのかもしれない
それらが輪をかけて分かり合うことを困難にしている
いくら糸を紡ぎ合わそうともそれは布にはならない
ほどけて、たこ結びになっていくばかりだ
はははっ 笑える 笑ってしまう
つまるところよ 結局のところよ 上辺ではあーだこーだ戯言を言ってよ?
これだろ? 結局 本音はこれ
『 従え この国に貢献しろ 金をよこせ 』 そう結論付けた
強制的なお布施を求め、 それを断ると戦闘しなくては気がすまない教義、
そういう国民性とかお国ルールとかなんだろう?
ばからしくてあほらしくて笑える 根絶やしだ 根っこから絶やすしかない
こいつらとの幾度もの出会いを 幾度もの戦闘を繰り返すうち、
対話は無意味だと感じたころ チョイ チョイ をするようになった
会話は無駄なのだ
ー ー ー こいつらに対話は無駄だ
はぁ、、、 また次のお客さんだ
いつものように チョイ チョイ する
俺から金を巻き上げたきゃよ? 力づくで黙らせてみろよや あぁん 笑
ズッ ドドド ゴキャ ぱきん ぶちぶちぶちっ
いつものように外来種との日々が今日も繰り返される
そんな日々、 そんな日常を繰り返す
一体どんだけ繰り返してきたのか、 一体自分がいくつなのか
わからないし、 気に留めるような生き方でもない
当たり前にそんな日常を繰り返す日々
たまたまだ たまたま成り行きでフルドラの滝近くにいた際、
そいつらと出会った
外来種にしてはなかなか ガッツ があんじゃねぇかよ
俺だっていつもならこねぇよ こんなとこ
にしてもよ、 てめぇ
何 、、、泣いてんだよ
外来種にも感情とか事情とかあんのか?
お、 俺の ぐすっ 俺の大好きなおじいちゃんが
死にそうなんだよ ぐすっ ぐすっ
急に目頭が熱くなる
ひどい毎日だった ひどい世界、 ひどい日々、
延々と続くムカつく人生 そんな日々を生きてきたせいか
ちょっとした感動シーンを見ただけで目頭が熱くなる
最近じゃ道端の羊の出産を見ただけで『いいね』を押してしまう
涙もろくなったのか? ひよったのかよ、、、
なんでこいつら外来種にこんな感情が湧き出んだよ
マオ・ウーとゆうが、 ルーテーが
深淵で縁をつなぐ
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