第3章 共同作戦 ③ 猫に小判、犬と冷蔵庫
しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!!
ずんっ ずんっ ずんっ ずんっ
ん? 自律振動系冷蔵庫 , , , ?
しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!!
ずんっ ずんっ ずんっ ずんっ
キライ家の連中との待ち合わせに向かっていると、遠目にナニカ達が蠢いている
しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!!
ずんっ ずんっ ずんっ ずんっ
規律正しく屈伸する冷蔵庫
それらの熱気が、 運動エネルギーが陽炎を生む
しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!!
ずんっ ずんっ ずんっ ずんっ
オレンジを基調とした冷蔵庫なんて2010年から製造されてなんかない
間違いない、、、
キライ家の連中か
しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!! しょいっ!!
!?
隊長格と思わしき筋肉が即座に叫ぶ
「 敬礼------!! マケドナルドの指揮官っ! ご来訪っ!! 」
ヴぉぉォォォおオおオ ーーーーーー !!!
オレンジ色の筋肉たちがアピールの場といわんばかりにはちきれ飛び騒ぐ
申し訳程度に着ていたタンクトップを破るもの、
申し訳程度に着ていたルーズソックスを限界まで引っ張って破るもの、
上着なしなのにサスペンダーをつけていた男が
優しくつまむように ばぢんばぢん と無意味な拘束具を胸板に引っ張っては打ち付ける
、、、 かなり強力なゴムを思わせる
ー ー ー これを引き連れんのかよ
瞬きの法則が俺を30秒別世界へリンクさせる
隊長格が歓迎するように握手を求めてくる
「 自分が今回のコーズウェイ隊を任されましたベナンドナーです!! 」
ヴぉぉォォォおオおオ ーーーーーー !!!
彼らの熱気に木々が、 大地が三唱する
あ、 その辺の羊が警戒して逃げてった。。。
、、、あ、 あの よろしくお願いいたします
キライ家との共同調査 開始 ちょっと無理かも、、、
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キョロキョロ辺りを見回す
ー ー ー みかさんはいないのかな
こういう時、知り合いがいるとすごく安心する
しかも、いくら異世界慣れしてるとはいえ、
俺に指揮権があるなんてかなり重荷なのだ
、、、みかさん いねーのかよ!!
チェンジだよ! チェンジっ!!
「 ゆーぅがっ おひさっ♪ 」
そんな不安をよそに、みかさんが声をかけてきた
!!!!?
飼い主がやっと帰ってきたレトリーバーの如くみかさんにぴょんぴょんする
「 みかさんっ! あれからどうでしたかっ!?
ケガはもう大丈夫なんですかっ?! 」
元気そうなみかさんを見て安心する
へッ へッ へッ へッ
いろんなことがあって、
ほんとにいろんなことがあって、
次から次へと言葉が溢れる
「 今は元気なんですかっ?!
え、 え、 なんで今回の調査隊にいるんですかっ?! 」
みかさんの周りをぐるぐる周って確かめる
クンっクンっ クンっクンっ
「 うんっ! 大丈夫っ 大丈夫だよ!
ー ー ー ゆうがくん
ほんとに ありがとねっ!! 」
あれだけのことを一緒に経験しただけに、
久しぶりに会うと感極まってしまう
元気そうで良かった !!!
嬉しくってみかさんの両肩に手を置き、
へッ へッ へッ へッ ってしてしまう
みかさんの周りをぐるぐる周ってしまう
クンっクンっ クンっクンっ
もうっ! そこは嗅がないのっ
両エラに指を突っ込まれ、 強烈な膝打ちを鼻づらに喰らう
ぎゃんっ キャンキャンっ きゅぅ ~~ ん
蛇口の開いたお鼻畑からケチャップがとめどなく流れる
でもさ、ゆーがすんごいじゃん! 今回の調査隊の指揮官だなんてっ!
今日はよろしくねっ たぁいちょ~殿っ
みかさんが両の手のひらの水を優しく差し出す
嬉しくってがふがふ飲む
がふっ がふっ がふがふっ
Stayっ! ゆうがっ Stayっ!!
へッ へッ へッ へッ
興奮する気持ちを押し殺して平静を装う ふっ ふっ ふっ
あっけらかんとしたみかさん 好きだ
、、、ほんと いっつも通りだなあ なんだかすごく安心する
早く周りをぐるぐるしたい気持ちと、ペロペロしたい気持ちをこらえるために
わざと遠くを眺め へッ へッ へッ へッ ってする
とにかく俺は、もてる情報をキライ家の皆に共有し、
生還率を上げるための作戦を立て、必死こいて調査を進めることにした




