第3章 共同作戦 ① 空っぽの冷蔵庫
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい!
ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ
ようやく戻ってきた望んでやまない『本来の日常』
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい!
ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ
今日も絶好調だ
パイセン不在こそが最も大きい 今のうちに影響力を高めるのが吉だ
そしてこれこそ『導き手』としての本来の在り方だ
未だパイセンは入院中のため、 俺がこうして、 正社員様として
迷える『社会人初心者』に対し、厳しくも徳のある熱烈なエールを送る
、、、控えめに言っても最高だ
「ほら! この手拍子にあわせて! さっさと刈るぅ!!
君たちはこの日々が『当たり前』だと勘違いしてるんじゃないかぁ!?
それは違う! まったく違うんだよぉ?!
『安全な場所』で働けることがどれだけ幸せなのかわかってんのぉっ?!
高校生と大人ではまるで世界が違うの!! ぁあん?
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい! ぱんっ ぱんっ ぱんっ
はぁい!
ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ ぱんっ
社員様の音頭に合わせて一生懸命に下準備をするバイト生たち
その様子を見て、凪折りはため息をついて店長を見る、、、
苦笑する店長
「 まだ適材適所がわかっていようだなぁ、、、 あともう少し欲しいよね 」
どうやら店長も同じ気持ちのようだ
先ほど店長から依頼されていたことは
やはり彼にやってもらおうと決める
前回の引率はどうやら悪い方向に成長させてしまったようだ
「 ねぇ、ゆうがくん 」
調理場でレタスやトマトをカットしていた手を止める
「 ? 凪折りさん どうしましたか? 」
先ほどまでの愚行を意にも介さず、媚びるような笑顔の後輩
以前は手を叩いて音頭を取っていただけだが、
一応、他の業務にも率先して取り組むようになった
だが、もう1歩足りない
まだ大事なことがわかっていない後輩に言う
「 あのね、 最近、うちでもキライ家でも取り扱っているミノタの
収穫がかなり減っているのは知ってる? 」
「 え? そうなんですか? 」
取って付けたような回答をする後輩
「 うん それでね? この商材を多く取り扱っているキライ家から
共同調査の依頼がきているんだよね 」
少し思い当たる節があるような仕草をし、後輩が応える
「 確かに、、、 ミノタ産の商品がすぐに売り切れになる理由って
これだったんスね 」
少し間をためて言う
「 収穫減の共同調査依頼、ゆうがくんが受けてくれたら
、、、うれしいなぁって 」
反応はすぐだった
「 まっかせてくださよぉ!! 」
目を爛々と輝かせ、胸を ドンッ と叩く後輩
「 んで、いつからっスか? 」
「 今すぐ、 かな 、、、ゆうがくんが主導でね」
数秒経たないうちに壊れた古時計のように思考する後輩
キライ家との共同作戦 開始




