第2章 引率 ⑨ 賭ける願い
「 美冬さん どうもやつの『攻め』の方が1枚上手だ
このまま『受け』に回ると、救援が来るまで持ちこたえられるか微妙なところだ
さっきのあの2人のように、もっと強力に『 動けなくする 』能力はあるか?
こっちは別に『 勝たなくていい 』 時間稼ぎさえできればいいんだ 」
鋭利な雨がようやく止み、少し離れた距離にやつはいるが
油断なく挙動に注意を払う
この出血量、、、
一刻一刻と死に近づいているのは明白だ
時間稼ぎどころか、封殺しないとだめね
そうしないときっと、、、
「 、、、 氷結 」
このままでは『 まずい 』箇所だけを処置する
本当は全身を凍らせたいほどだ、、、
だが、現状『 要 』のこの引率者がこの場から離脱するのは有り得ない選択肢だ
「 、、、試してみてどうかにはなってしまいますが、、、」
確かにこのままでは押し切られる未来が見える
支援系能力を使い続けているため疲労がひどい
だが出し惜しみしたせいで、救援がくる前に全滅するなんてばかげている
かと言ってこれから『 試す 』作戦が失敗した場合、間違いなく窮地に立たされる
、、、いえ、 たぶん 、、、死ぬわ
自身の『 能力 』を過小評価するわけではないが、
待雪と水仙の連携術はその辺の同期と比べ、間違いなく1つ上にいる
その技がなんなく『 ほどかれた 』
自分の考える作戦が本当に通用するのか、、、
もしダメだったら、、、 引率してくれた彼らまで巻き添えにしてしまう
「 やっちゃいましょうよ このままだとジリ貧なんすよね? 」
、、、
選抜試験を合格したとは言え、少し頼りない引率者があっけらかんと発言する
身体能力、待雪が襲われた際にとっさに見せたあの判断力
評価はできるが彼の意見を決め手にするにはだいぶ迷いが生じる
悩む、、、 どうしても決断が鈍ってしまう、、、
「 どうせこのままだと俺らお陀仏なんでしょ?
死ぬかもしんないですけど、
このまま終わるなんてちょっと自分には堪えられない、、 です、、、 」
うつむく頼りない引率者
、、ぶはっ 笑
二刀の十手があちこち欠け、何が面白いのか吹き出す要の引率者
「 おめぇよぉ 実力も経験も伴ってねぇくせに
いっちょ前なことゆーじゃねぇかよ 面白れぇやつだなぁ 」
息も絶え絶えに苦笑している
こんな状況の中どうしてこんな余裕でいられるの?
これが『 負けど 』精神ってやつなのかしら
今回の引率者たちの評価を下げる美冬
こいつらの社訓に付き合って死ぬなんて馬鹿げている
『 去る者は追わず来る者は拒まず 』 体を表すように
他企業に比べ圧倒的に『 入れ替わり 』が多い
こんな奴らに付き合ってリタイアなんて、、、
「 すみません 美冬さん、、、
たぶん美冬さんならもうわかっていると思いますが、
笑えるほどコイツの言う通りなんですよ
一応 『 俺ら 』は『 マケド 』なんでね
、、、良かったら付き合っちゃくれねぇか? 」
、、、どうせなら『 悔い 』はない方がいい きっぱり割り切る
「 わかりました 死んでも文句言わないでくださいね 」
ー ー ー 覚悟を決める
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「 待雪! あと1度だけ援護なさい! 」
「 、、、w 、、、ちょりっス 人使いがパないっスよ、、、」
死にかけてる陽キャが、最後の陽光を振り絞る
「 水仙! もし私に何かあったら、待雪と自分だけを守って!
彼らからは了承を得たわ 」
「 、、、っス 」
こんな美冬先輩は過去にたった1度しか見たことがない
さすがにどれだけの窮地にいるのか理解してうなずく水仙
水仙に全てを託すよう体を預ける待雪
その手を取り、活路を美冬へ託す
、、、2人が振り絞る
「「 ポインセチア! 山茶花! 」」
心が燃える 燃えている あの人にすべての幸運を、、、
この苦境を、 この困難を、 覆すあなたを信じる、、、
朽葉色と金青色の色彩が
2人を中心に 周る! 渦巻く!! 重なる!!!
混ざりあう2つの色が 美冬に覆いかぶさるように踊る
既に地面に文様を書き終えた美冬が叫ぶ
チマタノカミ
道 俣 神 !!!
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昔のことだ 語り継がれるほどに昔のこと
今なお語り継がれる昔のこと 今やネトフリで4Kでありそうなストーリーだ
実写化されてそうなありふれたストーリー
少し、 我が国の昔話をしてみよう
それはそれは大昔 とある里に1人の青年がいた
その青年は山に入り、 猟を行い生計を立てていた
不運にもウパシカムイと出会う
共に狩りに出ていた仲間親族はみな凍り付いた
さも当たり前のように、、、 ありふれた日常のように、、、
だが青年は 青年だけは事なきを得る
何の気まぐれか、 神の化身が、 情が宿るほどの美丈夫だったのか
何の因果かその青年は『 身に余るソレ 』と家庭を築いた
それはそれは当たり前に幸せの日々だった
だが悲しいことに自身の迂闊さで離縁するというお話だ
わらかないことは多い なんせ大昔の出来事だ
『 絵本 』の世界で語り継がれる物語
ドラマチックだ
だが本質はそこじゃない そこじゃないんだ
冬の化身と生きてこれた『 加護 』 これに尽きる
っ ゴォォオオオオオオオオアアアアアアア!!!!!
青く薄い、 透明な、 吹雪く風が、 その加護が
庇護するように平次とゆうがに纏う
荒れ狂う『 力 』、それぞれの武具に、そして身体にかかる倍化のバフ
「 、、、こ! こいつ!! こんなのを平気で纏ってんのかよ!!?? 」
「 ごめんなさい、、、 無理にお願いして『 借りた 』だけよ
1分継続できるかどうかね、、、 」
ー ー ー 笑う平次
ここで『 マケド 』を魅せられねーなら『負けど』じゃねぇ
ー ー ー なぁ そうだろ ? ゆうが
荒れ狂う『 冬衣 』を纏う平次とゆうが
第3ラウンドのゴングはとっくに鳴っている




