第2章 引率 ② 嵐の前に
RED SEALS
こいつらはアイスクリームを専門に展開する企業だ
『たくさんの商材を扱えばいいってもんじゃない』を体現する代表格の1つだ
「 ねぇ パ~イセ~~ン 」
聞くところによると、『 そういう特性 』を持った人材かつ
やる気のあるやつしか採用しないことでも有名だ
「 おぉい パイセンっ 聞ぃっ てんのかよぉっ?! 」
野郎が蹴り上げたジャリが俺の裾を汚す
~~っ!! 黙れ!!
聖社員様ともなると、こういうナレーション業も同時にこなさないといけないんだよ! 社会に生まれたての若造は黙って聞いてろっての!
非常にむかっぱらがたつ
「 だっるっ いっつまで歩くんすかぁ パ~イセぇン 」
「 もうそろそろナゲットが生息する地域に到着するので
もうしばらく我慢してくださいね 」
苦笑するパイセン
は?
カランっ カランっ
こいつはどっから借りてきたネコだよ 気味が悪ぃ
こいつ ほんとにあのパイセンか?
じろじろパイセンの顔面を見る 一体こいつは誰だ?
叩けば直るか? 、、、
くそみたいなバブルガムブラザーズにへりくだるパイセンの背後に忍び寄る
こいつは壊れたテレビだ きっと叩けば治る
ハンマー投げの要領で木製を握る 目指すはこいつの後頭部だ
空気中のノイズを感じたのか、 ぐるりと振り向くパイセン
小声でドスの聞いた声が甘く囁く
「 殺すぞ? そろそろナゲット域だ おめぇも気ぃ抜くんじゃねぇぞ? 」
目と目の間 その距離 およそ10cm
胸倉を急に引っ張りあげられる
男なら1度も閉めたことがない第1ボタンがブチブチ引きちぎられる
女なら第1ボタンまでしめ、さらにその上、シャツをズボンにINしやがる
それが昨今の流行のようだ
男ならダサいことこの上ないが、なぜか女性だと可愛く魅える
よくわからんが『男』と『女の人』には、隔絶した『何か』があるのだろう
突然の第1ボタンの喪失、 突然のハプニングに思考停止する
そんな中、犯罪を犯すことに抵抗感を感じられない眼力が睨みつけてくるんだ
ノイズ対策にコンデンサをかますべきだったか、、、
知ってたか?
眉毛にも右利き、左利きがあるんだよね
ヒトが犯罪を肯定する際、「 あぁん?? 」みたいな感じになるよね
一般的には左の眉毛が下がり、右の眉毛が頭頂部と一体化するほど跳ね上がる
ー ー ー だがパイセンはその逆だ
利き眉が強烈に下がっている
力強く下げられた眉からは眼球が飛び出しかねないほどの怒りを感じる
!!!!!!! 魍魎っ!?
今のパイセンなら黒揚羽はおろか朧童幽霊だって圧倒するだろう
本気のパイセン注意報を確認し、嬉しくって飛び上がる
八つ当たりされたとしても おんなじ気持ちだったんだ!
つい嬉しくなってしまう
パイセンだっ! パイセンはちゃんとここにいたっ!!
吊り橋効果なんだろう
このパイセンになら殺されてもいい!
パイセンはおんなじ!! パイセンはおんなじ気持ち!!
嬉しくってパイセンの後ろをぴょんぴょんしながらついて歩く
$$$$$$$$$$$$$$$$$$$
「 あ、仄暗様 」
及第点のやつがつぶやく
目線の先を見てみると木のウロ(樹洞)に仄暗さんがうずくまっている
感心したように RED SEALS の美冬を見つめるパイセン
仄暗さんは『 食材 』ではない
岩場の影や、洞窟、こういう仄暗いウロにたまに現れる天気予報みたいな役割の
よくわかんない無害な存在だ
なんで天気予報なのかっていうと
「 きんめぇ~~w ちょっ、こいつなんなんすかぁ? 」
、、、なんで『 天気予報 』なのかっていうと
その日に雨が降るのか雪が降るのか晴天なのか、
はたまた地震や突風、終焉などの災害の予想確率を教えてくれる
ありがたい存在なのだ
「 ねぇ パイセ~ン ひっきー系?こいつ異世界に逃げ込んだひっきー系?w 」
「 やなことがあってもよ!もうちょい元気出していこ~ぜぇ 兄弟 」
パシンっ 仄暗さんの頭をはたくチャラ男B
~~っ!!
異世界を『 引率 』するってのが今回のお仕事なら、さすがにこれは我慢の限界だ
目がすわる パイセンに後でぼっこぼこにされても我慢するさ
何かあれば責任をとってこの仕事を辞めればいい
ギュッと木製を握る
「 ちょっと!! いい加減にしなさいよ!
あんたたち仄暗様がどんな役割の存在なのか研修で受けたでしょ! 」
すんごい剣幕で怒る及第点
、、、「 悪かったよぉ そ~んな怒んなって 」
チャラ男Aも申し訳なさそうに謝る
少しおとなしそうだった及第点のあまりの剣幕に怒りが急速にしぼむ
先を進む前にお供えしておく
結構ゲンかつぎはしてしまうタイプなのだ
「 仄暗さん、あいつら今回が始めてなんですよ
許してやってくださいね でもほら、これ、めちゃうまそうっしょ?」
今日のために凪折りさんが急遽握ってくれた3つあるうちの1つのおにぎりを仄暗さんの前に置いておく
凪折りさんって細かな部分までこだわる人でさ、笹の葉に包まれてんだよね
見た目的にも絶対おいしそうじゃん
、、、少し笑う こいつもたまにはいいとこがあんだよな
「 おい、ゆうが 行くぞ 」
「 はい! 」
「 本日の天気。晴天。1日を通してよく晴れるでしょう。突発的な雪や地震の確率5%。終焉との遭遇率7%。生誕者の顕現率2%。新たな出会い率10%。新たな、、、%、、、 」
仄暗さんがウロの中でぶつぶつ何かしらの予報をしている
この確率なら、、、 たぶん大丈夫だろう
今回の難易度と依頼料、違約金を考える
たかが7%のために中断するのはもったいなさすぎる
いつもより気を引き締めてナゲット域に向かった




