第2章 引率 ①
「 ちょり~~っス 」
「 おねしゃーっス 」
「 本日はよろしくお願いいたします 」
え、 なんでこいつこんな爽やかな笑顔なの?
こいつらのことではない
このにこやかなふざけたつらしているこいつのことだ
なんでこいつはにやついてんだ?
パイセンの初めて見る『 ビジネスライク 』な笑顔
いやいやいやいや、さすがにこれはなめすぎでしょ
最後の奴はいいとして、残りはまさに腑抜けたアルバイト生だ
パイセンの初めて見る笑顔と相まって俺はかなりムカムカしている
今日はどうやら『 引率 』らしい
飲食系の企業は門戸が広いマケドとは逆に
『 どうしてもこの企業で働きたい 』という輩しか採用しない
ニッチな企業も存在する
もちろん『 どうしてもこの企業で働きたい 』だけではだめで、
その企業に見合った実力や適性が求められる
キライ家のみかさんやリュウタッキーのかなさんがまさにその部類だ
だが、そうやって選り好みをすると、自然と少数になってしまう
少数になってしまうと、
自然と『 異世界を引率 』する人員不足になってしまうのだ
そう、 そこでマケドなのである
門戸が広いため、比較的多くの人材がおり、異世界を案内する人材に事欠かない
引率依頼が他企業からくることも珍しくない
「 パイセ~ン、 今日は何する系っすかぁ? 」
くっちゃくっちゃガムを噛んで質問してくる RED SEALS の若造
!!!???
ハァッ ハアッ はっ ハァッ ハアッ ハァッ
背に握っていた木製を ギュッ と握る
「 、、、先輩、自分いつでもOKっすよ? やるんすよね? 」
右手に木製、震える左手の人差し指と親指で和平を意味する輪っかを作る
過呼吸が抑えられない
コテンと首をかしげ、おねだりするようにパイセンを見つめる
真剣であればあるほど瞬きが減る法則が、まさに自分を30秒支配する
この法則の真骨頂は『 相手に違和感 』を与えないことにある
自然な笑顔でいつでも、 命令してくれればいつでも木製をフルスイングれる
「 い、 いつでもいいよ? い、 いつでも お、 OK, , , 」
すでにシュミレーションはOKだ コソコソ耳打ちする
シュミレーションだのシミュレーションだのは今は非常にどうでもいい気分なのだ
暇なやつが勝手にコメント欄で争っておけばいい、、、
とにかく俺はムカついているのだ
ハァッ ハアッ はっ ハァッ ハアッ ハァッ
やるんすよね?
おねだりするようにパイセンを見つめる
, , , べろ り
社害製品のこいつらから視線をそらさず、 ゆっくり丁寧にグリップを舐めあげる
不思議そうに首をかしげ、 まっすぐ見つめる
違和感を感じさせない自然な体で木製のグリップをべろべろ舐める
人数的には分は悪いが、 出会い頭になめられたままなんてマケドじゃない
先輩がキレたら俺はいつでも加勢できる準備をする
俺だってパイセンを目の前に『 パイセン 』呼ばわりしたことはない
、、、地獄を見せてやる
「 今日はナゲットを狩っていきたいと思います
何度かここで調達経験がある人もいれば、今回が初めての人もいますね?
私たちがしっかりサポートはしますが、油断しないようお気をつけください
よろしくお願いします 」
は?
カランっ カランっ
どこから借りてきたネコだよ
思わず用意していた木製を落としてしまう
こいつ ほんとにあのパイセンか?
じろじろパイセンの顔面を見る 一体こいつは誰だ?
バチン!!
「 痛 っ っ た!!! 」
俺の後ろ太ももに衝撃が走る
2匹のちょろすけと一応及第点なやつが見えない立ち位置から、
パイセンが俺を小突いたようだ
突然の俺の大声にポカンとするチャラ男A
「 w ほんとにだいじょぶっすかぁ? 『マケド』のパイセ~~ン 」
隣で爆笑するチャラ男B
「 マジウケぇ~w 」
ぱちぱち手を叩いて笑っている
小声でドスの聞いた声のパイセンがつぶやく
「 おい こいつらは『お金』いただいて引率する『お客様』だ?
わかったな? 」
あ! いつものパイセンだ!!
さっきまでのムカムカが吹き飛ぶような威圧
嬉しくて笑顔がこぼれる
パイセンだ! パイセンが帰ってきた!!
嬉しくてついニヤニヤ パイセンを見つめる
ドッ!!??
パイセンの握る十手のお尻が俺のミゾをもろに叩く
「 ぅぐぶぇ、、、 」
膝をつく俺
さらに爆笑するチャラ男AとB
「 緊張しまくりじゃないっすかぁ~ パ~イセぇ~~ンw 」
「 まじマケドのパイセンがたって最高っスw 」
苦い顔をする一応及第点なやつ
文字の取り扱いからして世代間ギャップを感じる
なんだよ『w』って 、、、後で覚えてろよ




