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第2章  戻ってきた日常 ②  上に立つ者の役目

ヴ ィィイーーン!  ヴ ィィイーーン!!


厨房の横で羊の体毛を刈るアルバイト生たち






はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ


「 ほら! この手拍子にあわせて! さっさと刈るぅ!

とろとろしてたらいつまでも終わんないよぉっ?! 」


はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ






最近ようやくできた後輩だ


先輩づらをふかして手を叩く








これ!!  そう、これだよ!!


『 上に立つ 』って最高だ








試験合格からいつもの日常に戻る


お給料がちょいちょい上がった


そして劇的に変わったことといえばこれだ




「 ほら! この手拍子にあわせて! さっさと刈るぅ!!

君たちは『お金』を貰って働いているんだよぉ? わかってんのぉ?!」



はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ

はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ


はぁい!

ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ



変わったと言えば、俺がアルバイト生の面倒を見るハメになったことぐらいだ


だが、いざやってみるとこの優越感がぱない



はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ

はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ


はぁい!

ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ





『 聖社員様 』の言うことに盲目的に従うアルバイト生たち


こぉ らぁっ!

体毛もちゃんと片付けるぅ!

めんどくさがらずにちゃんと指定の場所に捨てるんだぉっ!?

『 わたしたち 』はちゃあんと見てるからねぇっ!!




はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ

はぁい!  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ


はぁい!

ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ  ぱんっ







純粋に気持ちが良い  ナントカ時代のヒメコちゃんも

きっとこんな感じだったんだろう



ただ手を叩くだけで下々がそれに合わせて働く



なんて気持ちが良いんだ  これは天職か(これが年功序列か)  これなら一生働いてもいい

ようやく自分の居場所を見つける


お?  ようやくまた可愛い子が入ってきたようだ

昨今のアルバイターは『 声をかける 』だけで尻込みしてすぅぐ辞める

なぜこんなにも自信がないのか、、、  根性がないのか、、、

あんなにも手取り足取り教えてあげてるってのにさ

俺が一声かければ出世だってあっという間だ


今度こそ社員(ぢから)を魅せるチャンスだ

オーラバトラーの基本中の基本を改めて発揮する









       社 員 光

シャッ    SHINI ~~~ NGっ !!










ズガっ!!


、、、痛った!!!












気持ち良く社員力を高めていたリズムが狂う


ケツが浮く


信じられない  気力が20も減ってる

振り向くとムカつくパイセンがいつもの形相でにらみつけている





「 おい  おめぇよぉ、、、  いぃい ご身分じゃねえか 」





、、、クス   アルバイト生たちがこっそり笑う





下っ端連中の前でこんな風に扱われると今後に関わってくる

時間差で爆発的にこみ上げてくる怒りをマネジメントし、パイセンに言う


「 い、いいですかぁ  先輩!  こ、これは僕の担当なんですよ!?

いきなり蹴り上げるなんて『 示し 』がつかないじゃないですかぁ!

いったいなんなんですかぁ!」





ヒトの上に立つ者として、偉大なる社員様として、

パイセンに意見をぶつける


これは重大な事案だ  

政府(与党)をはじめとし、それに連なる大企業の聖社員は敬われなければならない

そんな崇め奉られるべき存在の俺に対しヒト前で貶める行為をしてきたのだ





これは重大な事案だ  これは重大な事案だ

おろおろ右往左往する

どうやって訴えよう  どうやって駆けつけてきた巡査(おまわり)に説明しよう


昨今は〇〇ハラスメントの法整備のおかげで安心安全な国にはなったが、

こんなにもどストレートな犯罪を表現されると

どうしていいのか右往左往してしまう





「 店長ー、 ちょっとこいつを『 少し上の狩場 』に

連れて行こうかと思うんっすけどいいですかぁ?」




笑  「 、、、う~ん    ほどほどにね 」

あっさり許可を出す店長





俺がおろおろしている間に勝手に話が進められている

これは進捗ハラスメントだし、俺の自由意志を侵害するハラスメントだ

いろいろなハラスメントを武器に、 店長に抗議の言葉を思案する



そうやってすぐ周りに流されるから『 店長 』止まりなんだよぉ!!!

すぐ下っ端連中の意見に流される!  そこ! そこがだめなの!



言いたいことを グッ とこらえる

だってこの発言こそが店長ハラスメントになるかもしれないのだ  

法的整備の厄介さに歯噛みする






「 おい、ゆうぅがぁ  楽しみだなぁ  ワクワクすんだろ? お?


お前ぇはさらに成長できんだぜぇ?  夢のような快挙だぁ 」


そんな試行錯誤をよそに、自称農耕民族のパイセンが言う






な、 なんだよその『 快挙 』って  『 少し上の狩り場 』って!!


ふ、ふざけんな!


あれだけ苦労してやっと聖社員になったんだ!!

苦労して聖社員になって!  腑抜けたアルバイト生たちをまとめる!!

一体なんでこんな扱いを受けなきゃいけないんだ!!





やだやだやだやだ!  絶対いやだ!!





言い方だけで予想できる 間違いなく面倒事だ!

俺は絶対にこのポジションから離れないぞ!!

床にへばりつく油を気にもせずどたばた暴れる







こっ  こっ  こっ







革靴を鳴らし、溺死揚げさんが近づいてくる


!!!  やった!  この人なら助けてくれる!


すがるように溺死揚げさんに言う

「 先輩が! 先輩が無茶苦茶ゆってくるんです! 助けてくださいよぉ!」






コテンと首をかしげ、斜め45度の眉毛、

口元に人差し指を添える


咥えてはだめだ    そう、  添えるだけ


父性本能をくすぐるように守ってあげたくなるような後輩を演じる

俺が父性ならとっくに落ちてる



落ぉちろ!  落ちろっ!!  落ちろぉぉお!!!















俺の首根っこをつかむ 溺死揚げさん


やった!   効果はばつぐ



ズギャッ!!!



厨房で凍りつくアルバイト生たち














「 埃が油に入るからだめじゃないかぁ



それにね、     何事も経験さ 」










気絶する俺をひょいと投げ渡す溺死揚げさん



受け止めるパイセン

「 じゃ、こいつ   少し預りますわ 」



ズルズル引きずられる俺を見て息を呑むアルバイト生



「 おめーは少し上に立つもんの役割ってのを勉強する必要があるわな 」


苦労してやっと手に入れた楽園が遠ざかっていく、、、

そして俺は気が付くと再びバースにいた

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