『次』を紡ぐのはいつだって新入社員 ⑮ テリー戦
!!? 力が抜ける
思わずしりもちつく
安心して気が抜けたのか? にしたってだろ、、、
「 はぁっ はぁっ 時間切れよ でも、どうにかなったみたいね
それより早くみかをセンターに連れていかなきゃ 」
「 あ、あたし、一応痛み止めとか包帯を持っています 」
邪魔にならないよう木の後ろに隠れていたみかさんに向かう
はぁぁぁ、ほんっと~に疲れたぁ
昔、朝と夜の掛け持ちバイトをしていた時ぐらいの疲労だ
忙しすぎて、後になってみると何も覚えていない、、、
久しぶりの感覚だ
こんな時は先輩とか夜落とし店長が
「 おつかれさん 」とかゆって缶ビールをおごってくれるんだよなぁ、、、
何気なくポケットに手をつっこむ
ポケットに手をつっこんで歩くのってなんかかっこいいよな
俺はかっこいいって思ってる
、、、あれ? でも思い返してみると女の人でポケットに手をつっこんで歩くやつっていないなぁ なんでなんだろ ぼぉ~っとしながら、そんなことを考え、けだるい感を出しかっこつけて歩く
クシャ
ん? 紙? 、、、ん? 達成したら燃えるんだったっけか、、、
ゾワっ
う、 うそだろ、、、
、、、あ、あいつがいない あ!!!!!!!!!
走った よろよろおぼつかない足どりで とにかく走った
間に合え! 間に合え!!
「 あいつ 生きてる!」 ぜはっ 「 あ、あいつ! 生きてる!!」
中体連ですらこんな本気出したことねぇーよ、、、
力いっぱい叫ぶ
「 は? 縁起の悪いこと言ったらぶっ飛ばすわよ! みかは、、」
MOS野郎はそこまで言いかけて気づいた
、、、うそでしょ みかのことじゃない
1秒にも満たない一瞬
1秒にも満たない一瞬だけど、
どうにもならない『 瞬間 』って 人それぞれ経験があるよね?
例えば体育の授業で、横を振り向いた瞬間に映るボール
曲がり道で運悪く出会う自転車
冬の地下鉄で、凍る階段を下る瞬間
絶対に間に合わない ただ受け入れるしかなかった
脳みその演算力ってすごい
1秒にも満たない一瞬だけで、その後の未来を理解させられる瞬間はある
スローモーションのような風景
振り返るとかなに迫るテリー
かなとテリーの間に割って入るように飛び込むマケド野郎
その瞬間を 今もまた受け入れるしかない
ゴキャッ ズッド!! ドドドド! スザザザザザザザ
転がるマケド
折れ曲がったメガネのフレームが地を転がる
『 ディーーーーーーーーーーーーー!!! 』
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ドゴン! バキバキバキバキ ダダァアーーーーン
ドゴン! メキャッ ザワザワザワザワッ
遠くで木々が倒れる音、揺れる音がする
、、、うちの近くで工事なんかしてたっけ? 、、うっせぇなぁ
なんだかぼーーっとする
そろそろバイトの時間かぁ 準備しなきゃなぁ、、、
計画的に立てた2度寝用のアラームをバシバシ叩く
だが、叩いたのはその辺の雑草であることに気づく、、、
「 、、、は? ここどこだよ どっきり?」
起き上がろうとした瞬間、
ガクン 左腕に激痛が走る 「 ~~~っっっ!!!!」
嫌でも眠気が吹き飛ぶ
激痛の先に視線を送ってみた
え、、、 、、、折れとる なんか『Z』になっとる
鋭角に突き出た骨が皮膚を突き破り、その周りは血で濡れている
一瞬で、 眠気が吹き飛ぶ 頭がクリアになる
え 遅刻じゃん
「 すんごい体調不良で、、、 」
「 今朝、 今朝、、、 曽祖父が、、、 く くぅ、、、 」
「 すみません! ち、、、 遅延で少し遅れます 」
たくさんのありふれた想い出が駆け巡るも
激しい激痛がいとも簡単にその想い出をかき消す
左腕で起き上がれなかった俺は再び地面に倒れた
、、は? 「 はぁ~~~~~ああ??!!」
痛い 痛い痛い痛い痛い!!!
どくん、どくん、どくん、、、
あせるな 落ち着け あせるな あせるな、、、
ゲっ ゲェっ グググ ごェッ
クリアになる思考と反比例し、あまりの痛さにゲロる
状況を思い出せ 、、、、、、、、
こんな時 こんな時だからこそ 頭がクリアになる
あせれば あせるほど 時間的余裕がないほど 覚醒する
近くに、、、 い、いた!! かなさん よかった、、、
たぶん生きてる、、、よな?
も、MOS野郎は?
木々が倒れる音の方向を見る
よかった まだ生きてる
ちらほら生えていた木を上手く利用して立ち回っているようだ
だがさけるのに必死って感じだ
テリーもはじめに比べて動きに精彩がない
でもこのままだとジリ貧だろう
あの野郎の『 春の血祭り感謝祭 』の後は間違いなく俺だ
MOS野郎が元気なうちにサポートしないと二次会先がこっちになるのは明白
痛みをこらえてキョロキョロ探す
あった 俺の木製
ずきっ 立ち上がるとさらにあちこち痛いことに気づく
でも動けないってほどじゃない
こういう時こそ経験が活きる
こんな時に『 ビビッて 』何もしない場合、
経験上、好転なんかしやしない
『 動く 』ことが結果を左右する
ほっておいてもどうにかなるかもしれない、だがそんなことは経験上有り得ない
『 やっときゃよかった 』って思うことの方が圧倒的に多かった人生だ
右手で ギュッ と握る ブンっ ブンっ 軽く素振ってみる
、、、よし、まだいける
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ブゥオン! ドゴン! わさわさわさっ
テリーのラリアートに揺れる木
冗談じゃないわよ! 弱っているのにこの威力なの!?
あのマケド野郎 こんなの相手によく躱してたわね
ってかなんで『 発動 』しないのよ! ほんっとよくわかんない能力ね!
!!!!
ブゥオン! ドゴン! わさわさわさっ
バッ シィーン!
木とお相撲さんごっこをしている間に丁寧にローキックを入れる
とにかく少しずつでもダメージを与えていかなきゃ、、、
アレが発動さえすればどうとでもなる、、、
ゴッ!
ゴッ!
横から突然、キレた老人が杖を振り下ろすようなフォームでテリーの頭を叩く
「 あ、あんた 大丈夫なの!?」
まさか迷惑系老害がいて良かったと思う日がくるなんて、、、
思わぬ参戦に気持ちに余裕が生まれる
ぶんっ ぶんっ 「 第2ラウンド開始だ 」




