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木製フルスイング

チュンチュンチュン。。。








ー ー ー    朝だ








マケドの朝は早い

24時間オープンしているため、午前中のシフトは6時出勤がいつもの流れだ




おれはゆうが


ありきたりな高校生活に嫌気がさし中退

マケドで働いてハイスペックなPCを購入し、

夢の広告収入のため毎日毎日ポテトフライをあげている




ポテトフライの朝は早い

午前の部、午後の部関係なしに売れる人気商品だ




食べたくなれば、最寄りのマケドに行って注文をするだけで

食べれるお手軽人気商品だ

そんなポテトフライを毎日あげている





『こんなざこい仕事余裕だぜ』





こう思っていた時期がありました


そんなマケドの日常を意外にみんな知らないだろうと思う

だからおれは、日記にしたためることにした





『マケドの夜にこんにちは』    と、、、









$$$$$$$$$$$$$$









ギュッ、ギュッ、ギュッ、、、

ポテトフライをあげるため、使い慣れた木製バットのグリップを確かめる


うん、今日の調子はいつもよりいいな




「おはようございま~~す」

お店につき、昼勤のチキンナゲット担当に挨拶する

昼勤でも夜勤でも『おはようございま~す』という環境に

ようやく慣れてきたところだ







「あ、おはよ~~。今日もよろしくね~~」


彼女は凪折りさん

黒髪ショートで眠た気なトロンとしたおっとり系な21歳

どタイプなのですぐにこっそり情報収集してしまった先輩だ


カミソリのようなハイキックが得意で、

たいていのチキンナゲットは、

目にもとまらぬ速度でふところにもぐりこんだ彼女のハイキックで沈む




「今日もナゲットたくさん狩ってきたんですね」




首の折れ曲がり方が尋常ではない

フクロウでもそんな曲がんねえよ、、、


生気のないくすんだ黒い瞳で瞬きもせず沈んだナゲット達が

洗い場の横に転がっている


そんな死骸を気にもせずに「ぅいらっしゃいまっせ~~い!!」

と叫ぶポテト担当者の声




「やっぱりこの時期は産卵時期だからあちこちいるからね」




凪折りさんが春風に舞うたんぽぽのような温かな笑顔で応える









ナゲットの産卵時期ってなんだよ!!

って思っただろ?

おれだってそうだ


チキンナゲットにハイキックをかます理由、

マケドに出勤するのに木製バットを持ち込む理由っていったい、、、









そんなのかんたん

マケドは異世界から材料を調達しているからだ


朝、6時から10時半にかけてモーニングセットってあるだろ?

あれって、実は『羊狩り』が調達している


なんでパンを焼いたり芋を揚げるだけなのに狩りだとか意味わかんねーだろ??

おれだって最初はそうだったさ


慣れって怖いもんでさ

どうやってマケドの朝の材料が調達されているのか説明していこうと思う








$$$$$$$$$$$$$$








「お~~~い|||  うぅ~が!!   そっちいっあぞぉ!!!!」








はぁ、はぁ、はぁ、、、


意味わっかんねぇ


意味わっかんねぇよ!







最初の頃はまったく意味がわからなかった

そもそもおれ、ゆーがだし、、、


うぅーがってだれ








だがもうそんな発音には慣れた

こっちに向かって角刈りのおっさんづらで筋肉ムキムキの羊が1頭走ってくる


『何をするんだ!やめろ!!  何をするんだ!やめろ』


これが原料となるポテトの鳴き声だ

こんな情けない鳴き声だが油断なくバットを握りしめかまえる

初めて出会った時、生まれて初めて『野生の世界』を感じさせてくれた生物だ

もう油断はしない、、、




威嚇するように鳴く角刈り

運動音痴だった訳ではないと自覚している俺だが

全力疾走で回り込むように草原を走る








あいつら四足歩行だからね


けっこう速い








はぁ! はぁっ! ぜはっ!!


バットのグリップを確かめ、ポイントを見定める


「ここだ」   ギュッ、、


それなりに好記録を出した反復横跳びで突進してくる角刈りを躱す


振り向きざまにこめかみ目掛けて木製をお見舞いする






ブン!!!


ごきゃっ






『な、何を!!、、、、、』

ずざざざざざっ、、、


ビクンビクンっ


『な、何、、、何、、、、』






止めとばかりに上段構えの高速すり足で駆け寄り2~3発お見舞いする

筋肉ムキムキの角刈りがびたんびたんと砂ぼこりをあげながら痙攣を継続


多分、、、擬態じゃないよな

今日の調子が良いことを改めて実感する






「やっぱりバットの持ち手にはOKG kabutoのバーテープだわ」


ポンポンっとバットを左手で受け止めながら

油断なく角刈りから距離を置き様子を見る






ダンっダンっダンっ

1m90ある安玉割さんがやってくる(正社員)


「おうやった! おえで朝のエニューがあに合うおっ」

角刈りを追いかけ慣れてきたのであろうバキバキのボデー、背を伸ばせば190cmは越えるであろう高身長なのに残念なほど強烈な猫背の先輩が声をかけてくる






キュッ キュッ キュッ 


おれはうつろな顔をしながら血に濡れた木製バットをぞうきんでぬぐう

「さすが安玉割さんです! ぼくならこんな風に追い込めないですよ えへへ」


安玉割さんは頭突き1本だけで仕留めてきたであろうおでこを拭いながら

駆け寄ってくる






目尻から頬にかけてこびりついた骨の欠片や肉片が虹を描く






ほんっと頭硬いんだなぁ、、、

だが残念なほど頭が弱い


アルバイトはどんな時も正社員を立てる

これも最近ようやく慣れてきた社会人の嗜みだ






「おぉしっ、うーあはあえ足をおってくれ。おえは後ろ足をおうよ。いくおぉ、  え~~おっ!」


ドサッ


痙攣する角刈りを荷車へと放り込む

実際に安玉割さんが持ったのは角刈りの耳たぶだ、、、

どうしたら耳たぶを後ろ足だと思うのだろうか、、、




多分だがさ行とから行があやしい、、、

らりってるのか、慢性的な頭突きにより前歯がないのが原因なのか定かではないが

悪い人ではない       、、、、、、と思う









目まぐるしく世界観が変わる日常に身を置く羽目になったせいかさほど気にしなくなってきている自分の感性を褒めたい



気味の悪い角刈り羊を気にも止めず、

咥え引きと呼ばれる異世界の生き物がよだれボールと綱を兼用したひもを引いて颯爽と厨房へと戻っていく



挨拶もヨイショも覚えたが、

この咥え引きが未だに慣れない

だって見た目人間なんだもん、、、

こいつと人間との違いが未だによくわからない、、、


もしかしてそーゆー性癖のアルバイターなのかと最初の頃は思っていたくらいだ



信じられないスピードを出す咥え引きの荷台に乗って束の間の休息を得る

これがマケドの日常なのだ

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