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葱男ネギーラ

「起きられましたか?」


 目を覚ましたら、視界に細い目をした真っ白な顔、そして緑色の逆立った髪が飛び込んできた。


「ああ、驚かないでください。また気絶されたら面倒なので」


 その葱のような顔の奴は眼鏡をかけていて、フレームを指で押すと細い目をますます細めた。


 ――なんなんだ?どうなってる?


 俺はベッドの上にいる。それから見たことがない部屋。目の前の奴は、見たことある。葱だ。葱男。性別不明だが、声からすると男だと思う。黒のいわゆる執事服みたいなものを着て、俺をじーっと見ている。


「落ち着きましたか?」

「お、落ち着くわけないだろ?なんだよ。あんた」

「私はネギーラ。狼族シュスール家の正当な継承者、ダイケン・シュスール様の執事でございます」


 ――やっぱり執事か。狼族?


「あなたを生まれ変わらせたのはこの私。なので、私のことはお父様とお呼びください」

「呼べるか!あほ!大体、生まれ変わって……」


 真顔であほな事をいうネギーラから視線をはずして、俺は先ほどから違和感を覚える自分の体を見直した。

 ぷるんぷるんとゆれるおっぱいがついていた。

 ああ、そういえばさっきも見たっけ?

 んで、なんか異常に柔らかい腕。筋肉はどこに行った??

 恐る恐る顔に触れると、つるんとした感触。

 顔の形は変わってないよう?だ。

 で、髪、ちょっと伸びてる?


「状況確認すみましたか?」

「な、なんであんたそんなに冷静なんだ?」

「当然でしょう。私があなたをそのような体にしたのですから」

「は?」

「あなたは一度死んでしまったのです。ですが、ダイケン様の命令もあり私の力で蘇らせました。よみがえるといっても、魂だけ同一で体は私が作りましたので、蘇るというよりも生まれ変わったと表現したほうが正しいでしょうね。どうです。私の体を使っているので、肌触り抜群。ああ、こんな娘がほしかったので、本当、坊ちゃんには感謝でございます」


 ――娘?体を使った?俺は死んだのか?

 そういえば、トラックが迫っていたのが最後の記憶だ。

 轢かれたのか?

 駄犬は助かったのか?それとも俺と同様生まれ変わったのか?


「さあ、わが娘。仕度をしてダイケン様のところへ参りましょう」

「誰が娘だ!俺は、俺だ。だいたい、ダイケンって誰だ?しかもなんで女に生まれ変わってんだ。俺?」

「あらら。状況をまだ把握されていないようですねぇ」


 自称俺の父――葱男ネギーラは顎に手を添えて、目を細めた。

 いや、なんか怖いんだけど??


「ダイケン様は、ダイケン様です。狼族の正統な後継者。そしてあなたが女性に生まれ変わったのは、ダイケン様の命令です」

「意味よくわかんないんだけど?」

「まあ、時期にわかるでしょう。さて、仕度をしましょう。あなたはダイケン様の召使になりますから。この服を着てください。ああ、着替えを手伝いましょうか?」


 ネギーラはちょっとイヤらしく笑い、俺は寒気を覚える。


「いや、必要ない。っていうか、ダイケン様って奴に会わないといけないのか?」

「当然です。あなたに拒否権はありません。まあ、死にたければ別ですが」

「死?なんでそうなる?」

「あなたが生きているのはダイケン様の命令があってこそ。そしてあなたを作ったのは私だ。だからあなたは私の命に従う義務がある」

「その言い方、あったまにくるなあ」

「それでは死にますか?」


 葱男――ネギーラの視線は本当に脅しには思えなくて、俺は渋々と手渡された服をきて、ダイケンに会うことにした。

 ただし一人で着替えた。

 ネギーラの手を借りてはいないぞ。

 触れたおっぱいがなんか妙に気持ちよかったのは、秘密。おっぱい触って遊んでなんてないからな。俺は変態じゃない。


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