九十九話
翌日。
俺達は先に進まないといけないと言う事で、街の復興の手伝いはそこそこに出発する事になってしまった。
わかっているけど、悪い気持ちになってくる。
もっと復興作業をするべきなんじゃないかとか後ろ髪が引かれてしまう。
ああ、そう言えば魔獣兵の武装が増えた。
それはオークジェネラルが所持していたジェネラルバリスタ・マジックナパームだ。
倒した俺が得る物である事も然る事ながらこれからの戦いに備えて預かって損ではないとの事でギルドから授かる事が出来た。
このジェネラルバリスタは燃料が魔石であるらしく、弾倉に魔石を嵌めて引き金を引くと、魔石に入っているエネルギー分、ナパームを放射出来る。
威力は中々に悪くない。
それとラスティが調整してくれた竜騎兵用の魔法剣だ。
上位の竜騎兵が所持している強力な兵装だそうで試験運用した際のシステムコマンドが、異世界の戦士用のあの棒と似た感じだった。
そう報告すると、これを元にしているのではないかと言う事だった。
随分と凄い代物が平然とあるんですね。
どうも今一つこの世界の魔法科学技術と言う物が把握しきれない。
ホワイトパピー:グロウアップ エネルギー残量(満腹度)93% 浸蝕率蓄積エネルギー2% ブレス弾数3
肉体装備
頭 試作試験型進化バイオモンスター。アンダーリザードビースト+2
体 量産型第四世代バイオドラゴン。ヴィーゼートカスタム
手 量産型第四世代バイオドラゴン。ヴィーゼート・レッドDカスタム
足 試作試験型進化バイオモンスター。アンダーティラノビースト+2
尻尾 試作試験型進化バイオモンスター。アンダーティラノビースト+2
翼 試作試験型進化バイオモンスター。フライアイズボールビースト+2
所持装備 上位竜騎兵用魔導竜剣
竜騎兵用剣
ジェネラルバリスタ・マジックナパーム
竜騎兵用シールド
武装
チャージフレイムブレス
チャージシャインブレス
チャージスターブレス
ナパームフレイム
クイックスピード
アイズウイング
スローイン
地味に武装が増えて重くなったけど、今までのパーツが変異して性能が上がっているから早さはそこまで差がない。
「それじゃユキカズさん。行きましょう」
「ブー」
ラルオンの魔導兵のジャンクパーツを組み合わせて再構築された魔導兵にフィリンとライラ教官が乗り込んで操作し、輸送用の荷台をけん引している。荷台にはラスティとアサモルトが乗る。
俺の方はブルを背中に乗せての移動になる。
「ブー」
ブルのお母さんが俺達を見送る様に手を振ってくれる。
「ブ!」
親の見送りにブルも手を振り返した。うーん……ファンシーな光景。
「……全てが片付いたらブルのお母さんのいる村に行きたいな」
凄く良い場所なんじゃないかと思えてしまう。
ああ……妙な陰謀なんて無い生活がしたい。
「ブ」
ブルも頷いてくれる。
「ブルトクレス? 本当にこいつをお前の育った村に連れてって良いのかー?」
アサモルトがここでブルをからかう声音で言った。
「ブ、ブゥ……」
「確かに、あの馴染みようから考えるとユキカズさんが行くと怖そうですよね。きっとブルさんのお父さんを知る人からみんなよく似てるって言われるでしょうし」
「針のむしろになりそうだな。トツカが妙な事をしたら恐ろしい事になりそうだ」
「くく……期待してるぜ」
何笑ってんだよ。俺はブルを困らせたい訳じゃないぞ!
「節操無しみたいな扱いはやめて頂きたい。俺の何処にそんな事をする素養がありますか?」
「まあ……確かにユキカズさんは厭らしい事はしない方なのは確かですけど……」
「基準がおかしいだけの疑惑は晴れていないぞ?」
ライラ教官達の疑いの目が厳しいな。
「先輩兵士の誘った風俗店は出来る限り遠慮して逃げている俺に失礼な……」
「昨夜の冗談が本当に冗談である事を祈るばかりだな。ブルトクレス」
「ブー」
ブルまで頷いている。
「心外な。まあ、ブルのお母さんとはもう少し一緒に居たかったのは事実だけどさ。ブルと同じで一緒に居ると嬉しくなる人だったよ」
「ブ、ブゥ」
照れているブルも珍しい。
親を褒められて嫌な気持ちになる人は少ないだろう。
「ユキカズさんのそう言う所は長所ですよね。外見や種族に拘らない所は」
「もう少しやり方を考えろとは言いたくなるがな」
この話はそろそろ切り上げよう。
「そんじゃ……次に行きましょう。それで異世界の戦士達はなんでこの先に? オークの魔王って言うのは20年前に討伐されたんですよね?」
「ああ、それは解決されて基本的にこの界隈の治安は良い方なのだ、だが……活発に動くオーク共も居ない訳ではない。前線に向かう異世界の戦士達が道中で討伐を行った末の残党なのだ」
なるほど……アイツらも人助けとばかりに悪いオークを倒して行ったって事だった訳ね。
「あくまでここは最前線に向かう途中の中継地でしかない。まだ道のりは長いからしっかりと行くのだぞ」
「はい」
と言う訳で俺達は前線基地を目指して密林と思わしき道を魔獣兵と魔導兵に乗って進んで行く。
ドシンドシンと進んで行く途中で幾重にも魔物との戦闘になった。
この辺りには地面を泳ぐ鮫型の魔物が多く生息しているっぽい。
顔を見せた所を掴んで剣で突き刺したり、ブレスで仕留めたりしていく。
「これが前に飛野が言っていた前線での戦いって奴ですか?」
「いや、魔導兵でも対処出来る程度は異世界の戦士たちが手を出すほどではない。道中の雑魚だ」
そっか……まあ、戦えない程の魔物じゃない感じはするもんなー。
バルトの分析と言うか国のデータベースでも脅威度はそこまで高くない。
前に俺達が遭難したダンジョンで言う所の……15階の大型魔物程度の強さだ。
むしろ時々空を飛んでいるワイバーンやフライマキエイと言う空飛ぶ大型のエイの方が脅威度が高い。
こっちに襲って来る気配は無いけど、戦闘すると面倒そうだ。
高高度からの狙撃に注意しろってラスティやライラ教官も言うもんな。
ただ……魔獣兵の翼の目玉のお陰なのか、狙撃自体は出来る。
気付かれて攻撃してきた際にはフライアイズボールの武装、アイズウイングの熱線が命中して叩き落とせた。
よく当てられるなとライラ教官が感心していた。
ラスティの分析だと命中精度がかなり高い変化を魔獣兵のパーツが起こしているとか何とかで色々と記録を取っていた。
ちなみにライラ教官とフィリンが乗っている魔導兵なんだけど、かなり動きが良い。
藤平が乗っていたのとは雲泥の差とばかりにラルオンの使っていた電撃棒を使って、襲い来る魔物を刺し貫いて倒していた。
「ブー」
大型の魔物が相手になると、さすがのブルも戦闘には参加出来ない。
「ブルも乗るか?」
「ブー」
なんか首を横に振られてしまった。
「バルトに食われると思って乗りたくないんだな」
最初の印象が最悪だったもんな。
「ギャウギャウ!」
訂正を求める。
と文字が浮かんでくる。
「ブ」
「ブルトクレスは操縦資格は貰ったがそこまで器用ではないのを分かっているのだろう。その代わりに私達が相手をするのが面倒な小型の魔物の相手をして貰っている」
あー……まあ、ブルはあんまり器用じゃないね。生き様から何まで。
一応、魔獣兵は小型であるのだけど、さすがに白兵戦で相手をする小型の魔物相手では攻撃が当てられない場合もある。
穴とかへこみに潜られると当て辛いもんね。
そう言う時にブルが注意を引いてくれているのだ。
「ブルにもバルトの操縦技術を教えて行きたいんだけどな。結構面白いんだぞ、シミュレーション」
ゲーム仲間を引き込む様にバルトも仲間に加えたい。
「ブーブ」
わかったってばかりにブルに手を振られてしまった。





