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六十一話

「それじゃ。どんな竜騎兵を設計するのかしら? 思い切った物を構築しても良いわよ? 材料さえ集まればだけどね」


 とは言っても俺は竜騎兵に関して殆ど知らないから何も言えないに等しい。


「サンプルとかあるから見てみなさいな」


 分かりやすい様に機材で設計図とかを引いてはくれているみたいだ。

 ここはフィリンにお願いした方が良さそう。


「フィリン、お願いして良い?」

「良いんですか? バルトの所持者はユキカズさんなんですよ?」

「一応ってだけだし、みんながバルトの飼い主だよ」

「ギャウ!」


 バルトがここで自己主張をする。


「ま……その子が作って欲しいボディは今の技術じゃ難しいわね」

「ギャウ……」


 一応バルトがリクエストする竜騎兵の体ってのもあるらしい。

 そりゃあ迷宮で見つかった遺物だもんなぁ。

 一応分離前の体がバルトの望む代物って事なのかな?

 なら国に没収されちゃったし、どこかで再会する事を祈るほかなさそう。


「まずユキカズさんが冒険者になった際に運用しやすそうなモデルが良いんじゃないかと私は思うのですがどうでしょうか?」

「え? うん……個人で竜騎兵の所持が認められるなら、あまりコストが掛らずに稼げる方がいいよね」


 燃料を物凄く食うのが分かる。国とかが出してくれるならともかく、個人で扱える範囲にして貰わないと洒落にならないだろう。

 日本人の感覚だと、個人で自家用ジェットを所有するみたいなのに近いのかもしれない。

 これが旅客機を所有するとかあってみろ。何処の富豪だって次元だ。

 出来れば車辺りのコストで動かせたら尚、良いかもしれない。

 その分……戦闘力が犠牲になるのだろうけどね。


「竜騎兵ってLvが反映されるんだよね? それなら小型でも地道に上げれるようにしたら良いかもしれないし」


 たぶん、パーツ部位にあった+って所がLvに相当する箇所なのかな?

 って想像は付く。

 そう考えるとあの時のバルトの身体って結構、強化された代物だったのではないだろうか?


「限度がありますけど、わかりました」


 俺のリクエストからフィリンがラスティが差しだした画面を色々と弄って行く。


「あ、そう言えば迷宮で見つけたアンプルとかありましたっけ、一応私が持っていたんでこれを利用できませんか?」

「出来ると思うわよ」


 フィリンが持っていた迷宮で見つけたアンプルをラスティさんは受け取り、機材に投入していく。


「パーツの元にできるのが増えましたね。さすがはバルトを見つけた場所にあった物です。レッドDのデータも無駄にならずに済みそう……組み合わせはこうで……」


 カチャカチャとフィリンは設定している。

 やっぱりこの辺りは詳しい人に任せるのが一番だよね。


「この辺りが、ユキカズさんにとってリクエストに一番応えやすい物かと思います」


 そうやって1時間程、フィリンが弄った所で組み終えたのか言った。

 この間に俺はブルと一緒に腕立て伏せとか身体強化をしていたかな。

 バルトはフィリンの後ろでふんふんと頷いていたっけ。どうもどんな感じの代物を作ろうとしているかを見ていたみたいで、納得はしてくれている様だった。


「ちょっと見せてー、まーよくここまで組んだもんね。ただ、効率性を重視するなら……私が研究していたこの辺りも内蔵するといいんじゃない?」


 ささっとラスティもこの設計図に何やら描き込んで行く。


「え? 魔石以外を燃料に出来る器官を搭載するんですか? 再現不能な初期のモデルや野生種にはありますけど……燃費と再現性が難しかったと思うのですが……コックピットとの兼ね合いがありますし」

「大丈夫、その辺りは私の独自の研究で解決済み、これなら倒した魔物とかを餌に出来て燃費も抑えられるじゃない。見なさいな」

「……なるほど、こんな手が……」


 専門家じゃないと分からない図面がチラッと見える。

 俺もいずれは学んで行かないといけないんだろうけど、とりあえずは任せるって決めたから良いか。


「そんじゃ決定ね。クッキーと女好き二世も見てみなさい」


 こうして出来上がった設計図を俺とブルは見る事になった。

 ベースは量産型第4世代ヴィーゼートと記されている。


「まずベースは小型ですが扱いやすいので有名なヴィーゼートを採用しました。運搬も移動も戦闘も卒なく出来て燃費が非常に良いです。主砲の威力が心もとないですが、そこは頭部を弄って大口径にし、腕部や脚部はやや重めにしましたが、速度自体は問題ないはずです。ただ、翼に関しては重量の兼ね合いもありまして跳躍は出来ますが飛行は難しい様になっています。どうですか?」


 えっと、飛ぶのが難しいけれど、それ以外は大体卒なくこなせる小型の竜騎兵……らしい。

 設計図の図面で分かるのだと……全長6~7メートルくらい?

 随分とコンパクトな竜騎兵だなぁ。ちょっと横に太いのはコアとの兼ね合いだ。

 バルトの前の身体グウェイバーを成竜とするなら、まだ成長途中って印象がある。

 コックピットが凄く狭そう。一人乗りなのが分かる。

 それでもゾウくらいの大きさはあるから十分か。


「所持技能は偵察と罠感知、対空能力もあります。それとラスティさんの技術で魔石摂取以外でも燃料に出来るようになってます。必要材料も少なくて済んでいます」

「うん。問題ないと思うよ。フィリンがこれで納得出来るなら」

「ブー」

「はい。個人で運用するならこの辺りが良いと思います」

「それじゃ決定ね。私からの研究を手伝って貰う前借りって事でよろしく、クッキー、ヒョロヒョロ、女好き二世」

「ギャウ!」


 新しい身体を作って貰えるとバルトが目を輝かせて鳴いたのが印象的だった。


「じゃあこっちに来て」


 ラスティが案内したのは沢山ある培養槽のある部屋の一つ、外からシャッターですぐに入れる車庫っぽい部屋だ。

 培養槽には何も入っていない。


「そんじゃ。材料を集めて来てね」


 ……ああ、材料持ってこいって言ってたもんね。

 分かっていたけれど、まずはそこから始めないといけないか……。

 無料で作ってなんてくれないよね。


「材料って何が必要なんですか?」

「まずは骨が最低350キロね。一度分解して再構築するのにも消費するし、本当は他に芯に使う良い骨が必要なんだけど、幸い在庫があるからどんな骨でも良いわ」


 うわ! とんでもない量を要求されたぞ。


「それと加工しやすい細胞が最低1000キロは欲しいわ」


 作ってくれるって言っても、材料を持ってこいって話な訳で実現できるのか怪しくなってきた。

 バルトに関して解析して貰うだけにした方が無難かもしれない。


「加工しやすい細胞って?」

「ジェリーやスライムよ。その辺りの新鮮な死体が望ましいわね。こっちも魔力が籠った死体だと完成品が良くなるわ」

「ソルインって一応産業にスライム養殖がありますから……お金があれば持ってきやすい場所ですね」

「ええ、だからここに研究所を構えているのよ」


 家畜にしても養殖スライムにしても俺たちの財布には厳しいなぁ。

 ライラ教官が国に掛けあって出して貰えるだろうか?

 俺の経歴からすれば出してくれる可能性は多いにあるが、それなら最初からバルトの身体を返せと言えるもんな。

 実質個人所有を認めさせる様な物だし……やっぱ出してはくれないだろう。

 と言う所でピンと来た。


「困りましたね……せっかく竜騎兵が作れるチャンスなのに、素材を調達するのが難しいです……」

「ねえフィリン。確かソルインの下水道にはキラーブロブが大量繁殖していて掃討依頼が出ていたよね? 兵士の俺達の仕事に出来るかな?」

「あ、なるほど。街の掃討依頼なんで出来ると思いますよ。余裕のある時にやれば評価もされますし、私たちなら倒しやすい相手かと」


 魔法が効果的なんだったっけ。

 ブルも属性武器であるヘルファイアを持っているから効果的に戦える。

 相性は悪くない。

 報酬が低くて請ける人はいないから俺達にとって非常に都合が良いぞ。

 しかも継続して倒して行けばラスティの研究、バイオモンスター作りにも貢献出来る。


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イラストの説明
― 新着の感想 ―
[一言] どっかにいいボディが落ちてないかなあ? どっかのダンジョンの深層にでも。
[一言] 鉄くずとぬめぬめ細胞集めなきゃ・・・・・・
[一言] もとの機体帰って来るのだろうか。 現状の技術力ではショボいのしか作れないみたいだし。 それとも又新たな遺跡を探し探索してパーツ集めだろうか。
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