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四十二話

 何やらフィリンがそわそわした様子で俺の方とドラゴンを見ている。


「じゃあ乗りましょう」

「うん。乗ろう」


 背中に乗るんだよね。

 そう呟いた直後、ドラゴンが両手を地面に付けて俺達に胸を前に出す動作をする。

 なんだ?

 直後……レッドDの逆鱗があった場所がスライドしてコアが露出した。


 青い綺麗な色合いをしている。

 宝石みたい。

 竜玉って奴だろうか。コアって器官みたいだし。


「ギャウ」


 俺が首を傾げているとフィリンがドラゴンに駆けよってコアの確認をした。

 まるで運転席を確認する動作だった。


「搭乗席も機能していますね。さあ、ユキカズさん、こっちへ」

「えっと、理解が追いつかないのだけど……竜騎兵のドラゴンって、コアに乗って操作する乗り物……なの?」


 そういえばフィリンはブレスを主砲と言っていた。

 さっきのネタも然ることながら、まるで戦車みたいだなと思ったくらいだ。


「そうですけど……」

「ギャウ?」


 乗らないのか? と言った様子でドラゴンが首を傾げてる。


「ブー」


 ブルでさえもワクワクするといった様子で俺を見てる。

 まあ、本来は騎士しか乗れない位の高い乗り物らしいもんね。

 驚きで一杯だよ。てっきりモンスターをテイミングして使役して戦う物だと思ってた。

 恐る恐る乗り込もうとしたところで、ドラゴンの表情が険しくなる。


「ギャウギャウ!」

「え? どうした?」


 するとドラゴンは俺の右手を凝視してる。

 謎の棒切れだ。


「これ?」

「ギャウ」


 頷かれる。

 どうやらこれを持って乗ってはいけないようだ。

 リュックの中に入れてから地面に置いて確認のためにドラゴンへ近寄る。

 特に抵抗の意志は見せない。


「荷物を持ってもらいましょう。フックで纏めておいた方が運びやすいですよね」

「そうだね」


 フィリンの提案を受けて俺達の荷物を一纏めにしてフックで結んでおいた。

 準備を終えてからコアに手を触れるとズプンと不思議な膜の中に入った感じがした。

 コアの色が緑色に変わる。


「ここに座ってください」

「うん」


 言われるまま、薄らと見える座席っぽい所に腰掛ける。

 お? 何かハンドルというか操縦席っぽい。


「さ、ブルさんもこっちへ」


 フィリンの案内でブルとフィリンがコアに入ってきた。そして俺の後ろの方で中腰で前を向く。

 ちょっと狭い。


「ユキカズさん。さあ、発進しましょう」

「どうやって?」

「まずはハッチを閉じるのを意識してください」


 言われるままにハッチの開閉を意識する。

 するとギュポっと音を立てて、コアが後ろに下がり、仕舞ってあった逆鱗が元に戻る。

 暗くなったと思ったら肉壁と思わしき場所でドラゴンの視界が映しだされた。

 おお……。


 なんか読めない文字が出た後、若干の頭痛と共に文字が浮かんできた。


 搭乗者のスキル回路と接続します。



 兎束 雪一 Lv60 侵食率 35.02%

 所持スキル 異世界言語理解1 異世界文字理解3 No:Lチャージ No:Lドライブ HP回復力向上1 スタミナ回復力向上4 秘孔 投擲修練7 マルチアイ7 採取補正4 ファイアマスタリー5 トラップマスタリー3 回避向上4 鑑定 調合2 アーマーマスタリー6 ライディング3 モンスターテイミング5 モンスター解析4 魔法加護

 ※ステータス補正スキル 腕力アップ8 敏捷アップ9 体力アップ6 スタミナアップ7 命中アップ8

 スキルポイント17



 ターミナルを介さずにステータスが出たよ。

 うっげ……かなり侵食率が増えてる。

 しかもナンバースキルに追加が出てるな。

 ……使用したら更に侵食しそうだ。

 できる限り避けたい。


 それからなんかのOSみたいな文字が浮かんできてターミナルで操作するのと同じようなステータスアイコンみたいな操作パネルが出現する。

 燃料と体力、魔力とブレスの弾数が数値化されている。

 中々に便利だな。



 ホワイトパピー:グロウアップ  エネルギー残量 93% ブレス弾数12


 肉体装備

 頭 試作量産型第一世代バイオモンスター。ホワイトパピー+7

 体 強化型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+6

 手 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+7

 足 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+5

 尻尾 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+5

 翼 強化型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+7


 所持装備 無し


 武装

 シャインブレス

 スターブレス


 装備を着用する事を推奨。



 という案内文が出ている。

 それよりも前に俺達の荷物だろ。

 フックで縛った部分を掴んで首元に掛ける。

 変に動かないように後ろでに回してー……あ、感覚まで反映されるみたいだ。

 ファンタジーって凄い。


「じゃあ歩いてみましょう。この子がユキカズさんの意志をくみ取ってある程度はしてくれますから」

「うん」


 行きたい方向を意識すると、ドラゴンが足を前に出して歩きだした。

 おおー……。

 結構凄い。


「装備を付けろって書いてあった」

「そうですね……このままでも戦えなくはないですが、防具を固めて武器を持った方が確実ではあります」

「となると……あの武器庫に行けばいいんだね」


 俺が頭でマップを思い出すと、ドラゴンが何かを察して意識する方角へと歩き出す。


「ああ、私……竜騎兵に乗っているんですね」


 夢が叶ったって様子でフィリンが乙女の表情をしてる。

 仮に竜騎兵が戦車だとすると、フィリンってミリオタ……この考えは危険だ。


「ブー」


 ブルの方は落ちつかないって様子でキョロキョロしてる。

 あんまり好ましく思ってないのは分かる。

 それから俺達は武器庫の方へ回り道して転がっていた武器をドラゴンに装備させた。



 ホワイトパピー:グロウアップ  エネルギー残量 92% ブレス弾数12


 肉体装備

 頭 試作量産型第一世代バイオモンスター。ホワイトパピー+7

 体 強化型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+6

 手 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+7

 足 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+5

 尻尾 先行量産型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+5

 翼 強化型第一世代バイオドラゴン。グウィバーD+7


 所持装備 竜騎兵戦闘用ソード+5

      竜騎兵戦闘用シールド+6

      竜騎兵戦闘用アーマー+5


 武装

 シャインブレス

 スターブレス

 スローイン


 武装が増えたけど……コレって俺のスキルが反映されてるんじゃないか?

 スターブレスってのも俺の魔法だろ。

 間違いない。


「この後はどうしたら良いのかな?」


 ファンタジーからいきなりSFな気分だけど、乗っているのはドラゴンだ。

 ロボじゃない。


「施設内は殆ど回ったと思います……後は外しか無いですね」

「戦えるかな?」

「大丈夫です。見つかった階層での大型魔物との戦闘ならボスじゃない限り、相当数で押されないならどうにかなると思います」


 今まで少々頼りない憶測ばかり言っていたフィリンが確信を持って言っているという事は大丈夫なのだろう。

 そのまま施設内の大型通路を歩いて進み、隔壁を開けて施設から出る。

 おお……視線が高いから道がしっかりと見えるなぁ。

 俺達が進んできた小道って結構細い。


 で、大型の道を進んでいくと……この階層って大型魔物の生息階だったみたいだ。

 恐竜みたいな魔物が無数にいる。


「ギャオオオオオオオオオオオオ!」


 おうおう……好戦的だな。

 竜騎兵の試運転の犠牲になってくれ!


 アンダーティラノリザードとニードルトリケラというティラノサウルスとトリケラトプスをファンタジーナイズした魔物がこっちにやってくる。

 派閥の関係なのかニードルトリケラという、針が沢山生えたトリケラトプスは少々後ろに居て、連携ってほどじゃないけどさ。

 ハンドルを握って意識する方向に移動しながら、タイミングを練って武器を振るう。


 今までの経験……ブルと一緒に街の近くで魔物退治した際の戦闘を反芻して、敵の動きを推測しながら剣を振りおろす。

 力強く竜騎兵は突進してくるアンダーティラノリザードの噛みつこうとしてきた口の中に深々と剣を突きさす。

 ズブっとアッサリと剣はアンダーティラノリザードの口内を貫通し、頭蓋を貫いた。

 そして流れる動作で横に切ると見事に切れて、アンダーティラノリザードは絶命する。

 おお……一応、雑魚扱いの魔物なのかな?


「楽勝ですね」

「ちなみにコイツらは何階から出てくる?」

「えーっと……地下20階以降だと思いますけど……地下18階のボスによく似た魔物が出ると聞きます」


 じゃあ確かにそこまで強くはないのかもしれない。

 そう思っていると、ニードルトリケラが針を飛ばしてくる。

 盾で受け止めるのだけど、若干、盾がへこんだ。

 しかも防衛形態とばかりに丸まっている。

 どんな構造だよ。


 接近戦は危なそうだな。かといって遠くでも面倒。

 試しにブレスを放ってみよう。

 大きく竜騎兵は息を吸い、極太の光線をニードルトリケラに放った。


 光線が命中したニードルトリケラは耐えきれないとばかりに吹っ飛んでまるまった体勢を解除する。

 その隙を逃さず、飛んできた針を拾って腹目掛けて投げつける。

 ズブっとニードルトリケラの腹に命中して、ニードルトリケラは動かなくなった。


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 稼働燃料の充填や主副兵装の残弾補給はどうするのだろう。
[気になる点] 戦士ものかと思ったら戦車ものだった
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