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三百七十二話


「今度こそ見切れるか? いや、見切らせはしない!」


 そこから……異世界の戦士の力を無数に展開!?


「「「ハンドレッドダガー!」」」


 四方八方からハンドレッドダガーが俺たち目掛けて放たれる。

 殺意高すぎるだろ!

 分身諸共俺たちを蜂の巣にしようとしてきた。

 ドガガガ! と地面が抉れ、爆発で周囲を覆いつくすほどの煙が立ち込める。


「出てこい! 死んでるはずはないだろ!」


 何らかの攻撃で仕留められない様に分身を本体に集結させたムーフリスが油断しないとばかりに更に抜かして来やがるなぁ。


「よくわかったなー」


 ブリンクとムーイの的確な見切り、串刺しにされても大丈夫な体のお陰で蜂の巣にされても最小限のダメージで抑えて居たのを見破られてしまった。

 こっちもナンバースキルを放って一番大事な所は防御してた。

 何にしても……前に戦った時のような油断とかせずにこっちの隙を全力で狙う相手の姿勢は非常に戦いづらい。

 舐めて来ない相手ってこんなにも厄介なんだ。

 本人じゃないらしいが再戦される立場故に隙が無い。


「そんじゃこっちも真似るとしようかな」


 カッと、ナンバースキル……そして俺と言うか俺を選んだ神獣由来の、見て凌駕するとばかりにムーイを分裂させて相手の周囲を囲むように配置して一斉にハンドレッドダガーと額から高密度の熱線をミックスしてぶちかます。

 ああ、おまけとばかりに魔眼の障壁及び……刻印付与の状態異常を誘発させるぞ。


「な……ぐう!?」


 かかった! ムーフリスとアポ・メーカネース・テオスが目を回すようによろめく。


「「「いくぞー!」」」


 ムーイ達が逆にハンドレッドダガーを展開させてムーフリスたちを蜂の巣にする。


「おのれええええ!」


 おお……増殖したムーフリスが異世界の戦士の力由来の防御膜を展開して捨て身で本体を守る。

 その度にムーフリスがはじけ飛んで行っていた。

 こっちのハンドレッドダガーを撃ち終わった所で、ムーフリスたちはゼェゼェと呼吸を荒げていた。


「く……それだけの力を持って貴様等は何をするつもりだ! いや、それこそ神すら手が届く癖に、何もしていないとはどういう事だ!」

「いやぁ……まだ手の平の上だと思うけどなぁ」

「ムーイもそう思うぞー」


 何ていうのかな……聖獣たちの力を貰ってるし、ムーイ達の力の源、更にナンバースキルによるブーストがあってもまだ敵わない。そんな気がする。

 こう、西遊記だったかで孫悟空が神様の手のひらだったって話あるじゃん?

 その範囲じゃないかな?

 そもそも……今の俺の状態だって神って奴が気まぐれに作ったような状態。

 機嫌を損ね様なら藤平をはじめとしたクラスのみんなみたいに自我を一瞬で消し飛ばされておしまい。

 なんて事だってあり得る。

 それだけ俺は危うい存在だって事で。


『……』


 どうもムーイを媒体に進化した辺りから俺をからかう声もしなくなっている。

 一体何を考えているのかね。


『少なくともこの世界では十分すぎる力を持った戦いだと私も思うが……』

『あの方に敵うかは分からん』


 聖獣たちも気楽な返答な訳で。


「多少有利を取ったと思っているのだろうが……時間切れだ。フハ、フハハハハハハ! 貴様たちは貴重な時間を無駄に過ごし、チャンスを失ったのだというのを知るがいい!」


 ピピピピピと、ムーフリスに寄生していたアポ・メーカネース・テオスのパーセントが97%、98%……100%となってパチパチと光り輝いて行く。

 進化を阻止するのに間に合わなかった。

 あの手この手で攻撃してきて、その対処に追われてしまったというのが大きい。


「く……すまないムーイ」


 早く抑え込みたかったけれど相手の攻撃が苛烈で仕留めきれなかった。

 ミラーマッチっぽくもあったし。


「大丈夫だぞー、それよりムーイお腹空いてきた」


 まあ、ここまでの戦闘で補給無しだもんな。

 しかも損耗する分、自己再生してたらそれだけでエネルギーが減ってしまう訳だし。

 どうにかしてエネルギーの補充を出来ないものか……。


「フフフ……ハッハッハハハハハァアアアア!」


 アポ・メーカネース・テオスが閃光と共に……目玉の機械のようだった体がはじけ飛び、バチバチとエネルギー体の目玉のようになった。


「これが神の領域、私はすべてを超越しエネルギー体となった。なるほど……これが純粋なる存在と言う事か! 見るがいい、すべてを超越した私のこの姿を」

「何か万能感に支配されてるみたいだなー」

「進化した時の気持ちってのは俺もわかるが……」


 特にカーラルジュを媒体に進化した時はすごかったかな。

 強さの実感と言う意味でね。それまではなんていうか……パッとしなかった。

 それでも聖獣たちには程遠くて瀕死のヴァイリオが拒絶したらエネルギーで焼き殺される次元だったけどさ。

 そんな全身を焼き焦がすほどのエネルギーを受け止められるようになった今の体は相当なんだとは思う。

 ムーイを苗床に進化した今の体の方が出来る事の量は多いし……まだ力を万全に引き出しきれてない。


『うおおお……何と凄まじい力だ』

『聖獣の領域にも響いてくるこの力……奴はどんな存在にまで至ったというのか』

『が、ここで君たちは引き下がったりはしないだろう?』


 聖獣たちが俺の中で相手の進化に関して感じる事を教えてくれる。

 うーん……やっぱり俺はよくわからない。

 俺を選んだ神獣の影響って大きすぎない? 俺由来でムーイを選んだからムーイもよくわからないみたいだし。


『まあ……ユキカズ、君はそれで良いと私は思うよ』


 ちょっと疎外感があるんだけどなぁ。


「さあ! ここで決着をつけてやろうじゃないか! お前のようなしつこいゴミ……世界をダメにする邪悪な悪魔の化身を今度こそ消去してくれる!」

「どっちが悪魔だよ。どこまでも人を利用しておきながら神に至る? それ、今お前の足元に居る奴も同じことを抜かして俺に敗れたんだぜ? ペットは飼い主に似るってか?」


 挑発気味に思った事を言ってやった。

 元はと言えばこいつが暗躍をしなければクラスのみんなも、俺も……こんな状態にならなかったんだ。

 その黒幕が目の前に居るんだ。

 この因縁に決着をつけるのを神が仕組んだ代物だったとしたら……どうかとは思わなくもないが利用してやろうじゃないか。


「ふふふ……どこまでも減らない口を永遠にしゃべれない様にしてくれる。神に至った力の実験体に貴様は丁度いい。良いだろう……私たちがどれだけの領域に入ったのか……みせてやろうではないか!」


 バチーン! っとアポ・メーカネース・テオスからアポ・メーカネース・テオスプラズマと直球の解析名が出たエネルギー体のアポ・メーカネース・テオスがムーフリスに落雷のように降臨して憑依と言う形で宿った。


「おお……素晴らしい、先ほどよりも更に力が溢れて行く……」


 どくん……どくんと鼓動が更に増していきムーフリスを中心に魔法膜が展開されていく。


「この雰囲気……お前らの変身に似てんな」


 俺たちの攻防から距離を取って避難していた健人がムーフリスとアポ・メーカネース・テオスプラズマが合体した後の更なる変化に感想を述べる。

 まあ……そうだな。


『この気配……奴め、取り込まれた聖獣を利用するつもりだぞ!』

『おのれ……』

『いや、奴にしては力が溢れている……おぞましい代物が出てくるぞ』

『ユキカズ、ムーイ。どうか……私たちの仲間を助けて欲しい』


 聖獣たちから願いが聞こえてくる。

 まったく……総力戦な挙句、相手がしてくるのが俺たちの模倣……いや、相手からしたら見て凌駕することをやり返して神を越えるつもりなんだろうけど、やられた側からしたら堪ったもんじゃない。


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