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三十七話


「さてと、じゃあこのゴミの山を更に調べるとしますか」


 で、出てきた物資は……鍵付きの宝箱二個とシミター。

 付与付きの鋼鉄の盾になんか刃の先が発熱している斧。

 弓矢……と鎧かな。


 フィリンと俺が各々アナライズと鑑定を行っていく。

 鍵付きの宝箱には罠の気配がある。

 後で開けたところ、リボンが付いたアクセサリー……熱をかなり軽減できるアクセ、ファイアレジストチャームと魔力を使って水面を歩ける靴、アクアフロートシューズだった。


 シミターはキラープラントアダマンシミター+8と結構強化された、植物に効果の高い付与が施されている品だ。

 難点は単純な武器としての性能はブルが使っているオルトロスの牙ピッケルに劣る点か。


 鋼鉄の盾は+値が6で耐錆と腐食、更に電気耐性が付いた物だ。

 難点は重さアップまで付いていて、結構重たい。

 なのでブルが背負う。

 渡したら何か嬉しそうだったな。重いけど大丈夫か。


 で、斧はヘルファイアと呼ばれる熱を放つ鉱石で作られた斧。

 もちろん火属性。付与は破砕と切断で強化値が8とかなり優秀な物。

 オルトロスピッケルと単純な性能がトントンだけど付与的な面で性能は上かな?

 ブルの修練次第だけどさ。


 弓は……ウォーターボウ+5という水属性の弓なんだけど、俺達は弓を上手く使えない。

 できなくはないけど……うーんってところだ。

 矢は俺達が前に見つけた投げたら光る星が飛ぶ矢筒。

 たぶん……俺が投擲した方が威力が出るのではないだろうか。


 鎧は魔法銀の鎧+6と鑑定した鉄の鎧よりも性能が上だったので俺が譲り受けて着替えた。

 物資がそこそこ増えたので、持てる物だけを持っていく事にするために鉄の鎧はブルに使い回せる範囲以外は捨てる。

 兵士の鎧も鍋に加工した物以外は置いておこう。

 フィリンは……まあ、オルトロスの毛皮をローブ代わりにしてるから大丈夫。


「何か一気に強くなった錯覚を覚えるね」

「外の魔物相手に戦えるでしょうか?」

「うーん……厳しいかもしれない」


 実は装備Lvが合ってないのか少し重たい。

 とはいえ、今までの装備よりは良いはずだし、持っていって損は無いはずだ。


「もっと調べるかな。中身を全部ひっくり返す勢いで」

「それも手ではありますけど……他の部屋を調べてからでも良いかもしれませんよ」

「まあね」

「幸いあのエレキックスの一部を利用すれば行ける部屋は増えますし」


 と、フィリンはカプセルで動かなくなっているエレキックスのパーツを分解を始めたのだった。

 案の定、エレキックスが清掃で使う範囲の部屋には簡単に入れるようになった。


 で、そんな感じで進んだ部屋……今度はロッカールームみたいだ。

 何かないか漁ってみる……若干SFっぽい感じなのにどこの世もロッカーの守りは適当なんだろうか。

 鍵は掛っていたけど、ブルに強引に引き剥がしてもらった。

 ロッカーがそこそこ歪んだけど気にしない。

 何か重要な物でも入っているかもしれないし。


 基本的には風化したボロボロの何かばかりでそれっぽい物は無い。

 武器っぽい物もあったのだけど錆びて使い物にならないようだ。

 ただ……その中でも変わった物を発見した。


「なんだこれ?」

「ブー?」


 何か透明な棒……ホテルとかで持たされるルームキーのホルダーみたいな感じの物が出てくる。


「フィリンは分かる?」

「おそらく……この研究所の鍵じゃないかと」


 へー……こんな物が鍵になるわけか。

 IDカード的な物かな?


「何かに使えそうだから持っていこうか」

「ええ、むしろ必要だと思います」


 そんなわけで次の部屋へ移動する……なんかエンジンっぽい物が置かれた部屋のようだ。

 発電室かな?


「随分と近代的に見えるけど……」


 機械のように見えるのだけど、なんかおかしい。

 生物っぽいと言うのが正しいだろうか?


「自己修復設備がある施設なのかもしれません。生物素材を使用すればこんな感じの建物がずっと朽ちることなく動く事もあります。定期的に清掃もしてましたしね」


 ゴミ捨て場を思い出す。


「エネルギー源は植物と同じか、それとも近隣の魔物を捕食しているのか……倒した魔物を栄養として修復をした可能性があります」

「なにそれ怖い。結構元気じゃない?」

「私も何度か資料を見た事があるくらいですけどね。その修復時に施設が休眠状態になった……施設が寝てるだけかもしれませんね」


 異世界の文明ってホントよくわからない事をするのね。

 バイオ研究所って事?


「僅かに内部からの供給で生きてはいますけど、起動はしてないみたいですね」

「施設には入れたし、掃除機を使って部屋にも入れたよね。動いてないの?」

「別系統のエネルギーで動いている区画って事なのかと。一気に全部落ちないようにした工夫……とかしか言いようが無いです」


 その所為で防衛装置が中途半端ってのはどうなんだろうね。

 まあ利用しているこっちも大概だけど。


「この場合は修理するのが正しいの?」

「施設によって異なりますけど……はい」


 ふむふむ。


「じゃあここを修理……できる?」

「どうやら電気的な刺激を受ければ一時起動はすると思います。何か必要な物がある場合は勝手に止まると思うので、試すのは良いかと」

「ブー」

「とは言え……行けそうな所を全部回ってからでも良いかもしれません。変な防衛装置が起動してからだと厄介ですから」

「OK。じゃあ……探索範囲を広げてみよう」





 そんなわけで俺達は施設内の探索を続けた。

 フィリンの言う通り、施設の奥の方にはどうも入れない扉が結構あったし、隔壁が降りていて侵入不可のエリアが多い。

 外ほど魔物の警戒をしないで済むのは楽で良いな。


 二階は似たような間取りが続いた。

 何かの研究室や会議室っぽい場所が多かったと思う。

 ただ……一階も二階もだけど隔壁が降りてて奥まで行けないから全体は把握できていない。


 で……三階へと進んでいった。

 ……外から見た覚えがある範囲だと……この先の部屋に穴が開いた箇所だと思われる部屋近くに来た。


「確か……この先、穴が開いていたよね」

「ブ!」


 耳を澄ますと何か……羽音っぽい音が聞こえるな。

 扉っぽい物は既に破壊されているみたいだ。

 障壁があったんだろうけどさ。


「どうする?」

「場合によってはやり過ごすのも手かと」


 一理ある。けど、俺だってゲーム経験から、ああいう部屋を無視するのは良くないのを知ってる。

 ゲームじゃないとしてもね。


「念のために確認したい。何か重要な物があるかもしれないし」

「……分かりました。できる限り発見されないように部屋を確認しましょう」

「ブ!」


 そんなわけで三人揃って忍び足で壁に背を当てて、音を立てないように室内を覗きこむ。

 重役の部屋みたいな場所だ。

 こう……壁際に置かれた物とかが校長室的な雰囲気を持っているから分かるって感じだ。

 で、その部屋の真ん中にフローデスアイレギオンというブラウンフライアイボールの集合体みたいな空飛ぶ目玉の化け物が天井にぶら下がっている。

 間違いなく巣って感じだな。

 ブラウンフライアイボールはここから発生していたと見ていいのかもしれない。他にもいるのかもしれないけど。

 急いでその場から離れてから相談する。


「どうしよう? 見た感じ……あの部屋の机とかに偉い人の認証の棒とかありそうじゃない?」

「確かにそうですね……あの部屋にいたのはフローデスアイレギオン、ブラウンフライアイボールの上位の魔物です」

「やっぱ厳しい?」

「ユキカズさんがあの武器で戦えば倒せるとは思いますけど……使用しない場合は未知数ですね。状態異常と毒が怖いです」


 うーん……。


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