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三百四十四話


「さっきの攻撃すると傷が回復する武器の作り方、オデ、食べなくてもわかるんだな? 何か力が増して植物さんにお願いする力からやり方が読み取れるんだな」

「無理な合成は不要か」

「なんだな。だけどこっちの方法の方が手早く完成すると思うんだな」


 ああ、過程の省略可能なわけね。


「やっぱりエミールだと出来ることはたくさんあるんだぞ。ムーイが出来ない事だなー」


 感心するムーイに俺とエミールが視線を向けて考える。


「ムーイの能力って思ったものに物を変化させる能力だから、完成品があれば若干劣化したとしても模造品作れそうだな」

「効果をしっかりとムーイの姉貴が覚えたら武器につけられそうなんだな」


 ああ、大事なのは構造をしっかりと把握する事だもんな。


「その理屈だと俺が寄生してムーイにしっかりと構成情報を教えたらエミールよりも簡単にオプションを付けられるかもしれない」


 ムーイに解析情報をしっかりと伝達できれば出来そうではある。

 それだけムーイの能力って可能性を秘めているって事か。


「そりゃあお前ら、割と当たり前のようにいるが迷宮種だろ、人間や魔物を越えた連中なんだから出来るんじゃねえの? 雪一に至っては神獣様だしよー」


 健人も言ってくれる……不思議な道具や武具の生産能力をムーイ達は実は再現可能であるのは当たり前だと。

 思えば遠くへ来たもんだ。

 まあ、こういうのを覚えるのを俺は悪い気はしないけどね。

 良い人の手伝いってこういうのもある。

 ブルにいずれ強力な武器を渡せられれば何かの助けにだってなりえる。

 刻印をつけるのは今では出来るようになった便利能力だし。

 ある意味、刻印も合成みたいな要素だよね。


「ユキカズの兄貴がオデに力を貸すとこんな感じになるんだな」

「いや、まだ検証は終わってないぞエミール」

「なんだな?」

「今回の進化はエミールがなんとなくで進化したものだろ? 今のエミールの心情を反映した進化がこれだとすると別のルートがどうなるか、気にならないか?」

「な、なんだな。オデ、他にもなれるんだな?」

「おー? ユキカズ、エミールを別の形に出来るのかー?」

「きゅー?」

「たぶんな。エミールの体調は……うん。大丈夫だな。足りなかったらカロリーを摂取して貰うけどね」


 ここからが本番と言うか検証になるよね。


「ムーイだって俺が寄生した頃にいろんな魔物の疑似模倣をしただろ? ムーイの場合は……任意に姿を変えられるから進化は体的に不要なのかもしれないかな」

「おー……みんなが思うほど、ムーイは何でもできないと思うけど……うーん」


 エネルギーの総量が増しただけでムーイは進化とかはしないみたいなのはエミールとの大きな違いだ。

 迷宮種ごとの違いなのかムーイの特徴なのかはよくわからない。

 変身は出来ても進化は出来ないムーイ……何が違うのか。

 まあ、検証ケースがムーイとエミールしかないから検証しきれないだけだけどね。

 ただ、フレーディンの変化をエミールからは聞いている。エミールと同じく力の源を得ることで最初とは異なる姿に変化はしていた。

 どういった変化なのかまでは測り切れないけど少なくとも実例として存在はするんだ。

 それを言ったらカーラルジュもムーイの力の源を得て大きくなっていたしな。

 現状だとムーイが異質か? 任意に外見を自由に変えられるムーイは進化しているのかわからないってのもありそうだ。

 迷宮王ってもしやムーイの事を言っているとか? 迷宮種を統べるって意味で……まさかね。


「んじゃエミール、退化するけど大丈夫か?」

「この姿は一時的だからこそ良いんだな」

「あいよ。じゃあ徐々にエネルギーを下げて元に戻すぞ」

「お願いするんだな」


 エミールに循環させているエネルギーを徐々に下げると、力を失ったエミールの体が徐々に本来の姿に戻っていく。

 うーむ……この変化構造は中々に不思議だ。

 エミールの心境が大きく関わっているんだろうと進化するルートを見ていたからわかるんだけどね。

 ……俺の体も中々に変わってるか。

 進化先が無数にあるのは俺の進化と似ている。

 まあ、どうもエミールがステータスチェックをしながら進化している訳ではないみたいだったんだけどさ。

 この辺りが俺と大きく異なる点だ。

 やがてエミールの体が最初の姿に戻った。既に完全に一つになっているデリルインの力の源分による変化さえもエミールは拒否して戻るんだ。


「戻ったんだな。あの姿に慣れると今がすごく重く感じそうなんだな」

「そりゃあなーじゃあ今度は別口の進化ルートを通っていくぞ」

「ユキカズの兄貴、お願いするんだな」


 そんな訳でエミールに再度エネルギーを流し込み進化ルートを確認する。

 うん……一度決まったら別のルートに行けないという事は無さそうだ。

 俺との違いはLvの稼ぎ直しが不必要なようで良いな。そういった点で力の源によるエネルギー供給があれば即座に反映される便利な体をしているとも言える。

 いや……これまで蓄積した主食による成長がある意味、その幅を広げているのかもしれないか……。

 マメにエミールに俺が寄生した影響もありそう。

 何て思いつつエミールの進化ルートで力寄りの進化を選択して制御を行う。

 するとムクムクとエミールの体格に変化が発生して……ちょっと腹回りがシュッとしたかな?

 本人が太ったって言ってたけど、その辺りが解消した感じ。

 もちろん柄も少し変わる。

 こっちの方が腕力があって操る面では使いやすそう。

 文字通り巨漢のカエル獣人って感じになったなぁ。


「あー……なんつーか雪一が最初にそのカエルに寄生した時と似た雰囲気だな。武器とか振り回してるのが似合いそう」

「ユキカズがエミールと一緒に戦ってるのを効率化した感じだぞー」

「そうなんだな。すごく力持ちになりそうなんだな」

「きゅー強そうっきゅー」

「目に見えて痩せたYO。兵士に向いてるね」


 ただ、エミールらしさは下がっているのがわかる。

 ってまだこれも進化の始まりでしかない。

 そこから進化ルートをなんとなく物理攻撃を意識して選んで行ったら何故か体格が縮んでスラっとしたカエル獣人になってしまった。

 健人より少し長身の……カエルの獣人剣士って感じ。

 結構イケメンなんじゃないか?

 ブルが狼男姿になったみたいに俺はエミールのこういう変化も良いと素直に思ってしまう。


「体がさっきと同じく軽いけど別の意味でもっと軽く感じるんだな」


 さっと収納で持っていた布をエミールの体に巻き付けて服代わりにして確認させる。

 俺の尻尾がかなりもさもさなので異質な感じになってしまった。


「こりゃあずいぶんとすっきりしたYO! 驚きだNE!」


 ラルオンがそんなエミールを上から下まで見て感想を述べる。


「おい。その姿で鞠を持ってクコクコを誘惑すんなよ?」

「な、なんだな」

「細くなったんだぞーユキカズ、どこに居るんだ?」

「ん? もちろん力の源がある所と、額だけど?」


 額の宝石部分は変わらず俺は寄生している。


「顔はfrogだけど全体姿でイケメンだYO! 中々出来そうな人材って印象だね」

「こんなにも大きな変化をするんだな」


 宿主 迷宮種エミロヴィア Lv?

 所持スキル いばらの魔女 カエルの騎士 インセクトグロウ 貯蔵 伸びる舌 高速潜水 吸盤 水攻撃無効 毒無効 対魔 言語理解 見切り 潜伏 ライディング 毒生成 自動回復(大)魔力回復(小)スタミナ持続力向上(大) 風魔法適正 水魔法適正 光魔法適正 補助魔法効果上昇 ブレス 世界の断片 巨大化 合唱 秘孔 疾風 フェロモン 水渡り ソードマスター


 おお、スキルが見事に力寄りと言うか近接に適した代物に変わった。

 本来のエミールの進化よりもこと速さとか力、目の良さなんかは間違いなくこっちの方が軍配は上がるだろう。

 ちなみにエミール本来の姿に比べて魔力は少ない傾向になるようだ。

 ふん! って感じに剣を持って構える動作をするといろんなモーションがエミールの脳裏に浮かんでいるんだろうという感覚が俺にも流れ込んでくる。


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