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三十四話

「とりあえずアクセスできる間にできる限り生存に使えそうなスキルを取得するのが良いだろうね」

「そうですね! 風の魔法を覚えればあの高さを越えられるかもしれません」

「おお!」

「とは言いましても……ダメですね。習得条件が満たせていません」


 うわ……ここに来てそんな壁があったか。

 どれだけLvがあっても習得条件を満たしていなければ使用できない。

 これはスキルを習得している以外にも技術的な物が含まれる。


 他にも、熟練度と呼ばれる要素も介在していたっけ。

 俺が投擲修練を一気に習得しなかったのにもこういった理由があるわけだしね。

 新兵にいろんな経験をさせるという意味で研修があるのも意味があるんだ。


 とはいえ、こんな状況だ。

 ケチっていたってしょうがない。

 スキルは手段だ。多ければそれだけ手数が増える。


「宝箱を定期的に弄っていたのでアナライズの魔法は習得できそうです」

「じゃあお願い。魔物にも使用できるんだっけ?」

「魔物にも使用できますが、使うと気付かれてしまうんですよね」

「隠れて行動している俺達からすると厳しいか」


 魔法と言うのは何だかんだ言って目立つ。

 銃声みたいな感覚があるって事なんだろう。

 うーん……その場合、鑑定や魔物鑑定とで差が出るのは当然か。

 鑑定は結構スキルポイントの消費が大きい。

 人も見る事ができるようになるLvまで上げるとかなり便利なんだろうけど……。

 錬金術か何かの大型機材、ターミナルとかを介して調べた方が現実的なんだろうな。


「どっちにしても道具の類は鑑定できなきゃ話にならない。覚えてもらっていいかな?」

「もちろんです。後は回復魔法修練を習得してより効率よく魔法が使えるようにしておきます」


 後は……と、フィリンが俺に顔を向ける。


「索敵や隠蔽の魔法類があるんですけど……どうしましょう」

「と言うと?」

「隠れるのに便利な魔法なんですけど、私も魔法の使用方法が詳しく思い出せなくて……精々回復魔法に該当する消臭と殺菌程度しか覚えられません」


 匂いを消すだけでも結構、魔物との遭遇を誤魔化せるからな。

 そういった意味では消臭も隠蔽魔法か。


「即席で使えないなら後回しにしていいから、今の俺達に必要なのは魔物に遭遇しないで動ける下地だよ」

「はい。ですが……やはり魔法はポイントを凄く消耗しますね。あっという間に無くなりそう」


 確かに、言ってはなんだけどフィリンの魔法に頼らないといけない状況というのはきっと出てくる。


「そうそう、訓練校で推奨されていた長時間活動ができるようになる『秘孔』は絶対に習得しておいてね。ブルも」

「はい。これを覚える事が始まりみたいな話でしたもんね」

「ブー!」


 俺も覚えられるようになっている。

 取る事を進められているわけだし、覚えても損は無いだろう。

 重複要素が多すぎておまじない程度になりそうだけど。

 というか、秘孔は重複しないんだったか?

 前提でもあるからついでに習得しておこう。

 そう思って、取得すると……なんとなく体がより軽くなったような気がした。

 あれ? 重複してないか? 思いこみか?


「索敵か……」

「ブ?」

「こっちはブルに頼んでいたスキル群だな」

「ブー!」


 俺の問いにブルも任せろと言った様子で何やら習得している。


「フィリンは魔法でアナライズ、ブルは索敵を取ったわけだから俺も魔物がどれくらいの強さかを分かるスキルを取った方が良さそうだ」


 名前だけは当然のように頭の上にある文字で分かっていたわけだしね。

 何が理由か分からないけど、これに合わせてスキルを取れば効率が良さそうだ。


 そんなわけでモンスター解析等の鑑定系を取る。

 今までの工程から考えて損だ効率だの知った事じゃない。

 他、その派生から鑑定も一応習得できた。

 ただ、習得条件を満たせないので1止まり。


 コレだと鑑定を失敗する時があるんだったかな。

 失敗を失敗と理解できず間違えるのが恐ろしいところだ。

 だけど無いよりマシだ。


 訓練校で習った必要スキルポイントよりも少なかったな……この界隈のスキル。

 ステータス補正系のスキルもそこそこ取って……。

 モンスターテイミングのスキルも習得できるなぁ。

 余っているわけじゃないけど、ブラウンフライアイボールをテイミングして偵察に出せたら良いのではないだろうか?

 少々外道だけど使わない手は無い。


 問題は生け捕りにして色々とあの手この手をして飼い馴らさないといけないけど……。

 迷っている暇は無いか。

 覚えておけば生きて帰った際に畜産系の技能を覚えたとして兵役に役立つ。

 よし! 取得したぞ。


 投擲修練は2上げられて7になった。

 場所故に熟練度とかの値の増え方が果てしないのかもしれない……マルチアイも7に。


 調合補助も振って……調合に派生。

 錬金術まで後少しだな。

 他に投擲修練内にある技にも入れておくか……物を限定しないパワースロー辺りは取って……これでフックの飛距離は期待できるはずだ。


「罠に関してはー俺も取って――」

「ブ!」

「ブルもやるのか?」

「ブー!」


 よし、じゃあブルに本格的に取らせるとして俺も少しばかり覚えておこう。

 前提のトラップマスタリーを取得。

 座学で学んでいたからとりあえず3まで取れた。


 一人よりも二人だろ?

 罠解除も覚えて損は無い。

 手先の器用さは俺の方が上だ!

 鍵開けに関しちゃ……生きて帰ったら覚えようと思う。

 まだ習得条件は満たせない。



 兎束 雪一 Lv58 侵食率 24.59%

 所持スキル 異世界言語理解1 異世界文字理解3 No:Lチャージ HP回復力向上1 スタミナ回復力向上4 秘孔 投擲修練7 マルチアイ7 採取補正4 ファイアマスタリー5 トラップマスタリー3 回避向上4 鑑定 調合2 アーマーマスタリー6 ライディング3 初級料理技能3 モンスターテイミング5 モンスター解析4

 ※ステータス補正スキル 腕力アップ8 敏捷アップ9 体力アップ6 スタミナアップ7 命中アップ8

 スキルポイント12



 アレだけあったスキルポイントがあっという間に減った。

 訓練で自動習得するとかで節約なんてしていたら死ぬので使いきる勢いで必要なのは取った!

 ここから先は好きに取ると、必要なスキルが足りなくなる次元だ。

 どうするのが良いか?

 ……鍵開けと罠関連の習得条件と熟練度を稼げたら直ぐに取れるようにプールするか。


「もうポイントが無くなるまで取りました。少しだけ余ってますけど、それも予定があります」

「うん。こっちは少し残っているけど……習得条件と熟練度を満たせるようにするよ」

「ブー!」


 ブルも好きに取れたようで少しばかり楽しげだ。

 あんまり方向性を俺が定めていないのが如実になってきてる気がする。

 どちらにしてもこれだけあれば、この先有利に動けるはずだ。


「よし! 準備完了……少しばかり休憩を取っても大丈夫なんだよね?」

「はい!」

「じゃあ休憩として……」

「せめて体だけでもゆっくりと洗いたいので、水の魔法を覚えました。少し大変ですが言ってくれれば出しますのでよろしくお願いします」

「OK」


 というわけでターミナルが発する結界の中、俺達は休む事にした。


 ブルが硬めの草を採ってきて更衣室代わりの仕切りを用意。

 フィリンに水を出してもらってブルが使わなくなった兵士の鎧を自作の石斧で板金して鍋にし、火を起こしてお湯を作る。

 お湯の方は手拭いに浸して体を拭いた感じだな。

 草の洞に隠れた際も少しは体を拭いたのだけど、その時よりもスッキリした感じがする。


 で、体を拭いた後は、鍋に水を再度入れて料理の時間だ。

 レーションと採取した薬草やキノコをぶちこんで煮る。灰汁が凄いな。

 魔物の肉は……弱い魔物は毒持ちが多いので、俺が唯一仕留めたビリジアンエンペラーパンサーの肉を少しばかり投入。

 解毒して食うという発想も無いわけじゃないけど、割と毒素が強いんだ。

 毒抜きに何日もかかる。

 誰だ! ブルを食えば良いとか思った奴!


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