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三百二十八話

「おー……すげー」

「圧勝だったNE! 最初から来られたらMEもやばかったYO」


 で、見ていたのは健人とラルオン。

 ラルオンの場合、本気で行ったら自爆されてしまっただろうし……適した変身は感知できなかった。


『それじゃあヴァイリオ、ありがとう。そろそろ戻ってくれ』

「え? もうか? このまま町の方へ行き、みんなと話がしたいのだが」

『出来なくはないが消耗が激しくなる。本当に復活するのが遅れるぞ?』

「ううむ……しょうがない。では帰るとしよう。礼を言う」


 という訳で俺は変身を解除する。

 パァ……とムーイと魔力で構築された体が変化して俺とムーイに戻るぞ。

 もちろんサイズは小さくなった。


「ふう……」


 なんかすごく疲れた。

 色々と取り戻したけれど、まだ終わりじゃない。

 迷宮種たちがどこかに……今の俺は近くにいるとわかるようになっているのだけどかなり遠くまで逃げてしまっているようだ。

 で、ヴァイリオが解放した肉塊だった人々の手当てが残っている。

 大雑把に解放しただけで無事とはまだ言い難いのだ。

 ムーイとの寄生を解除して外へと出るとムーイが支えてくれた。


「ユキカズ、お疲れ様。あんなことが出来るようになったんだな!」

「ムーイも疲れただろ? お前の体が凄いからコストを低く出来るんだ」


 俺だけでも出来る気はするのだけど負荷がかかるのが分かる。エネルギーの消費もあるだろうなー。

 まあ、しっかりと管理して使えば十分な切り札になるとは思うけどさ。

 ムーイのお陰でそこまで消費してないけれど連戦に次ぐ連戦でいろんな意味で疲れた。


「さ、脅威は去った。町のみんなにも来てもらって、被害にあった人たちを運び出し、本格的な治療をしないとな」

「うはー……とんでもないな。肉塊に取り込まれた人々を見たときはもう助けられねえと思ったのによ」

「素晴らしいNE! まさに奇跡とはこの事だYO! MEも救うし、ユキカズ。君は実に異世界の戦士にして英雄だYO」

「そんな大層なもんじゃない。俺はさ……与えられた力で出来ることをしただけ……みんなをいつも心配させてるし、とっさには動けないんだ」


 俺は善人の力になりたい。

 そのためにはいくらだって無茶をする。


「今回はさ、ムーイとヴァイリオが頑張ったんだよ。その頑張りに報いが無いのが……許せなかった。ただそれだけさ」

「ギャウ!」


 ああ、バルトの声が懐かしい。お前がバルトだったなんて驚きだ。


「うへーうんざりするくらいの謙虚なことで。相変わらず神獣の申し子様は真面目でよくねえ。俺だったらこれだけやったらいい女に最大限アピールして良い事して貰うてのによ。うへへ……今夜は絶対やるぜ」


 健人、やかましい。謙虚じゃねえよ。こんな貰い物の力で誇ってどうするんだ。


「ユキカズも十分頑張ったぞ」

「ベリベリーサンキューだYO。MEも手伝うZE。DAKEDO……受け入れてくれるかだNE……そのまま処分されても文句は言えないNE」

「まあ、その辺りはこの世界の人たち優しいからさ」


 ラルオンも被害者だし、犠牲になったと思われた人たちも一部助けられた。

 きっと罪とかそう言った制度があったとしてもどうにかしてくれるさ。

 もともと俺が助けたいって言ってたしね。

 神獣の権利でラルオンはどうにか出来るはず。

 という訳で、俺たちは被害者たちを町へと運びつつ、みんなの手当てをしたのだった。




「本当、ソーリーだYO。謝っても謝り切れないNE!」


 ラルオンが常時ペコペコと町の人たちに謝り続けながら救助作業の手伝いを行っている。


「神獣の申し子様が貴方を助けたいと、尽力したのです。貴方も敵に操られていたのでしょう? ローティガ様と同様なのです、私共は咎める資格を持っておりません」


 町長が謝るラルオンに向けて断言した事で、まあ町の人たちは許したようだ。

 この世界の人たちって凄いよなぁ。しっかりとラルオンの行ったことを許せてしまう訳だし。


「もしもどうしても償いをしたいと仰るのでしたら神獣の申し子様及び聖獣様のお力になるよう尽力してください」

「もちろんだYO! お陰で解放されたんだし、出来る限り力になるNE!」


 ちなみに……通訳を俺がしている。

 ラルオンはまだこの世界の人たちの言語を理解できていないためだ。

 健人? あいつがそんなことをしてくれる訳ないだろ?


「んじゃラルオン。その頭の機械の部分、出来る限り除去するぞ」

「OH、これ外して問題ないのかYO?」

「無くはないけど、俺はその手の技能持ってるし、ムーイとエミールに手伝って貰って出来る限り元のラルオンの皮膚に戻すよ」

「やってみるぞー」

「任せてなんだな」


 出来るかどうか不安ではあるのだけど頭の半分に機械が引っ付いているのはな。

 一部脳に侵食しているのだけど、どうやら記憶域への浸食は頑張れば処理できそうなのだ。


「目玉の化け物だからこそ出来る治療ってか?」

「もう目玉じゃねえよ」


 宝石の目だしな、まあ……パラサイト系は相変わらず出来るけどな。


「じっとしててくれよ」


 俺とムーイがラルオンの頭部に引っ付いていた機械部分を色々といじくりながら、ゆっくりと外し……大幅に治療しながら出来る限り復元を終える。

 中々繊細な作業だったけれどムーイのミダスの手である程度治療に近い置き換えが出来たので助かった。


「はい完了……こんな感じ」


 鏡をラルオンに見せる。

 最後に会った時と出来る限り近い感じに皮膚の治療は出来たと思う。


「OH! これは良いね!」

「後は胴体とか体中の傷だけどさ……そっちも治すで良いか?」

「ここまでやってくれただけで十分NE! MEよりも他の人たちの手当てを優先してほしいYO」

「そう?」


 ラルオンはチェキラ! って感じで指さしていつも通り笑っている。

 相変わらずノリは良い人だよね。


「こんな時に一番に治療されてたらよくないネ! もっと優先しないといけない人の為に動かないと!」


 言わんとしていることは分からなくもないのだけど……まあ、そうだよな。

 とりあえず肉塊に取り込まれていた人たちの手当てを優先していく。

 で、助けられた人たちの身元の確認を本人から聞いたところだと……オウルエンスの発祥の里出身の人たちとかも見つかった。

 ああ、あの跡形もなくなっていたのはこんなカラクリがあったのかと納得も出来てしまう。

 肉塊に取り込まれ死ぬに死ねない状態で一部にされているとか辛いなんてもんじゃない地獄だろう。

 精神的なケアもしなくちゃいけない問題だろうなぁ。

 もちろん、被害を受けた他の町や村の者たちも交じっているし、一部ドラゴン……高知能な上位種族扱いの者たちも治療を受けている。


「新たな神獣様、聖獣様と力を合わせて我らを救ったことを感謝申し上げます」


 ってドラゴンがこちらに頭を垂れるのは……まあ、良いんだけどバルトへの目つきは随分と険しい。

 俺の配下って説明しているので喧嘩を売るようなことは無いようだけど……。


「外界から来た竜に似た生き物、話に聞く竜騎兵という存在ですね」

「俺が来た方の異世界で重宝されている兵器だよ」

「そうですか……人をその身に宿して力を発揮する、人に従事するというのは理解しがたいと思っていましたが……新たな神獣様の能力を考えると、理解が出来てしまいそうです」

「それって俺が寄生能力があるからだよね? なに? 寄生してほしいの?」


 お前もか、って事しか言えないぞドラゴン共。

 どうしてみんな寄生を肯定しちゃうわけ?


あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願いします。

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