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三百二十七話


 ここで俺の内包するスキル内にある要素が複数同様に明滅している。

 この状況を乗り越える因子が反応しているんだろう。

 だから選んでいく。

 一つはフュージョン。この変身を発動させるために必要な大前提。どうやらこれは俺が力を貸したい者がその場にいないと使えないスキルのようだ。

 そしてムーイとこのスキルは大きくシンパシーがあるようでムーイに寄生していると大きく維持コストが下がる。

 次に聖獣を内包せし者を選ぶとヴァイリオ、ローティガと表示される。ここでヴァイリオが明滅しているので選択する。

 そして輝石コア内に内包されているナジュヘドの力の源がこの状況だと適していると……俺自身の力とも相性が良いからこれが良いか。


『フュージョン』『ヴァイリオ』『ナジュヘドの源』


 ここで決定を意識すると輝石コアを含め俺の体から大きな力があふれ出し、ムーイの体を循環していく。


「お? ユキカズ、凄い! なんか今までと違う凄いことが出来るのが分かる! ユキカズとムーイが一つになって、ムーイの体に何かが起こる! 何が起こるかわかるぞ!」

「ああ……そうだな。ムーイのお陰でここを乗り越えられる」


 今回の戦いはみんなが頑張った。その中でもムーイは飛び切り頑張ってくれた。

 もしかしたらムーイだけで今回の脅威は乗り越えられるのかもしれないくらいにムーイは凄く勇ましくそして俺の力になってくれている。


「いくぞ! はぁああああああああああああああ!」


 カッと魔力が全身を迸り大きく魔力が放出されて膜が生成される。

 さあ! 出番だぞ!


『うん!? な、なんだ? 引っ張られる!』

『おい、ヴァイリオ!?』

『ヴァイリオ! どこに、おい! ずるいぞ!』

「行け! ヴァイリオ!」


 バキン! っと魔力膜を突き破り、ヴァイリオがそこに顕現……いや召喚されたというべきか。

 スタッとヴァイリオが着地して周囲を見渡し、そして自身の体を確認する。


「こ、これは……なるほど、ユキカズ。君の、君たちの新しい力はこんなことさえ可能とするのか!」

『オウセラがラウとムーイを触媒にして変身出来たんだぞ? 出来ても不思議じゃない。まあ、あまり悠長に構えないでくれよ? 維持するだけでもそこそこ力を消費するんだから』

『おー、これがユキカズの新しい力なんだな。ヴァイリオの体にムーイたちなっちゃったぞー』


 先ほどヴァイリオがああいったスライム系の災害クラスの魔物に対処していたと言っていた。

 ならば得意だろう?


「ふは……フハハハ! なんという、この高揚感はなんだ? 本来の私よりも今、私は力が溢れているぞ!」


 ヴァイリオが笑いながら津波のように押し寄せる肉塊に向かって駆けだす。


「感謝するぞユキカズ! 例え一時的であろうとこの時に私をこのように呼び出したことを! その恩に、そしてあの者たちを救う機会に、ケントたち、よくぞ時間を稼いだ! 私に任せろ!」

「なんだぁ!? 聖獣ヴァイリオ? 消えたんじゃなかったのか」

「OH、死んだはずの聖獣がいるYO!」


 健人とラルオンが驚愕の声を出しながらバルトから声を漏らす。

 そのバルトを飛び越えてヴァイリオは大きな太陽の如き光を放つ。


「邪悪なこの世界の侵略者の僕よ! 私たちの世界で平和に過ごしている生命を返して貰おう! どのような悲劇であろうと私たちが信ずる神と神獣、ユキカズが奇跡で駆逐する!」


 前口上まで言う余裕があるってめちゃくちゃハイテンションだなヴァイリオ。

 重傷を負っていたのがウソみたいなテンションだ。


「その身に受けよ! アスヴェシチャーチ!」


 パァアアアア! っと周囲を真っ白にするほどの閃光と共にヴァイリオが肉塊に向けて突撃した。


「――――!!」


 その光を受けて肉塊の津波は煙を上げて痙攣すると共に止まり、光に飲み込まれて行き、肉塊がバラバラと崩れていく。

 確認すると肉塊となっている人々の肉塊が引っ付いている部分がはぎ取られ、動くことは出来ずにいるけれど無事な様子で転がっている。

 大雑把な救出なのでまだ所々おかしな肉があるけれど後で治療できそうだ。


「くうう……あ、こ、ここは……」

「あれ? た、助かった……のか?」

「うぐううう……ああ、ありがとうございます。聖獣様」

「神獣……様、ああ神よ。感謝します」


 ドサドサとまだ動けないけれどみんな転がって口々に苦痛から解放されたことを告げている。


「ギギギ!? ギグウウウ――」


 で、目を白黒させているのはマシンミュータント・機械仕掛けの天使だ。


「予測以上に浄化出来たな……これもユキカズ、理由があるのだろう?」

『ああ、迷宮種ナジュヘドは寄生の能力持ちの迷宮種、それに俺自身のスキルでスライム系の遠隔指令を合わせて取り込まれた人々を助ける散開命令が付与されてる。特効効果があるようにした』

「なるほどなるほど、思った以上に効果があるとはこのことだ! 素晴らしい! 後は貴様だ!」


 と、ヴァイリオが流れるようにマシンミュータント・機械仕掛けの天使へとツメを光らせて殴り掛かる。


「ギギ――!? ギイイイ!」


 マシンミュータント・機械仕掛けの天使が力の限り切り裂かれて大ダメージを受けて大きく出血に似た光の残滓を出すようになったが、腐っても対ヴァイリオ寄生をしようとした敵、闇色の触手をヴァイリオに向けて伸ばす。

 が――。


「HEY! MEたちを忘れちゃダメだYO!」

「おい! 操縦するのは俺だ! しゃしゃり出るな!」


 ズバ! っと触手を切り飛ばして協力するのはラルオンと健人が操縦するバルトだ。


「ギギギ!」


 邪魔をするなとばかりに高速で電動のこぎり状に触手を変化させて攻撃してくるマシンミュータント・機械仕掛けの天使だが、この状況ではどうなるかは結果を見るより明らかだ。


「まだまだ行くぞ! ふははは! なんという満足感、今までの屈辱をこうして返せるのは実に素晴らしい。調子に乗るのをユキカズは恐れていたが確かにこれは恐ろしい! これは私の分! これはローティガの分! これはペリングリの分! そしてこれは……被害にあった者たちの分だぁああああ!」


 っと、ヴァイリオが高速猫パンチとばかりにマシンミュータント・機械仕掛けの天使を殴りまくる。

 ……猫パンチとはいえ、大きな白いライオンが放ったら相当怖いだろうけど、そういいたくなるほどの高速パンチだったんだよ。


「ギギ――ギ――」

『くううう……ヴァイリオ、羨ましい。私もアイツらに報いを受けさせたかった』

『いいなー……』


 残りの聖獣が羨望のまなざしで見てるぞ。


『あんまりやりすぎると座に戻った時が怖いぞヴァイリオ』

「ハッ!? そ、そうだな。では止めだ!」


 俺の警告でローティガ達の恨めしい目を感じ取ったらしくヴァイリオが止めに入る。


「終わりだ! オーラスマッシュ!」


 ヴァイリオの光が集約してドス! っと力強くマシンミュータント・機械仕掛けの天使に突き刺さった。


「ギギ――」


 逃げるとかするよりも早く、光はマシンミュータント・機械仕掛けの天使の内部ではじけ飛ぶ。

 さーて、残った異世界の戦士の力や聖獣の力、他のエネルギーとかは俺がしっかりと受け止めてやるからな。

 もちろんヴァイリオたちから奪った聖獣の力もな?


「ギイイイイイイ!!」


 こうして……一方的に何もできずにマシンミュータント・機械仕掛けの天使は爆散して倒されたのだった。


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