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三百二十六話


「ギャウギャウ」


 待て待て、乗る前に竜騎兵が俺を執拗に指さしている。


「なあ、このドラゴン、竜騎兵って言うのか? ユキカズを指名してるぞ? 大丈夫なのか?」

「ギャウギャウ」


 ムーイの質問に一緒に乗るなら来いとコックピットを開いている。

 なんだろ? なんかこの雰囲気……。


「ああん? 時間がねえのに乗らずに戦えそうな雪一共を乗せてどうするんだよ」

「ギャウ」


 生憎、ドラゴンとか魔物の言語を俺は習得してないからな……乗り込んで確認しろって事か?


「まあ、乗せなきゃ健人たちを乗せたくないみたいだからやるしかないか。OS関連のエラーとか敵が仕掛けたプログラムのチェックもついでにしてやるよ。パラサイト管轄なのか? 機械系? どっちかわかんないけど」

「お、おう。なんていうかお前、便利だよな」

「言うなって、俺も行く所まで来たと自覚してる。ムーイ」

「わ、わかったぞ。所でユキカズ、ムーイ、何となくこの竜騎兵っての知ってる気がするぞ?」

「ムーイの知り合い?」

「違う。ユキカズが教えてくれたドラゴンだぞ」


 はい? っと言いながらズブンと竜騎兵に乗り込む。


 ご帰還を歓迎いたします。マスター。


 って文字がコックピット内で浮かび上がった。


「マスター?」


 生体反応及び様々な要素が大幅に変更が確認されていますがマスターの内部に開発名・因子適応者用・試作第一世代バイオモンスター・ホワイトパピー:グロウアップ……個体認識名バルト=ズィーベンフィアのコアログを確認、搭乗者登録の優先順位とバックアップ判断によるデータのサルベージ及び再起動を完了しました。

 私は開発名・因子適応者用・試作第一世代バイオモンスター・ホワイトパピー:グロウアップ……個体認識名バルト=ズィーベンフィアのボディ側です。


「……バルトのボディ側、ああ、国に没収されてしまったバルトの体の方だったのか!?」


 肯定。様々な状況及び推測による補完しか出来ていませんが、貴殿は搭乗登録者・兎束雪一が因子による大幅な変質をしながら意識を保った状態にあるのだと判断。

 更なる活動の為に状況説明を求めます。


「ユキカズ? どうなってるんだー?」


 迷宮階層主反応のある個体への返答。

 マスターへの行動確認。


 迷宮階層主ってムーイの事か? ……なんかムーイたち迷宮種のヒントがここで聞けたような気がするが、今は悠長に話している暇はないか。


「事態が事態だから後で詳しくは説明するとして臨界を迎えたが因子を作った奴に細工されて魔物化した。でお前も侵略者側に操られていたんだからわかるだろうがこの世界の危機に対して戦っている」


 状況承知、では配下として部隊に所属します。ユキカズ=トツカ伍長。


 ああ、懐かしい階級だな。そういえば一応最終階級は伍長って事になるのかな? コアのバルトが俺に何か仕込んでいてそこから拾ったのかな?

 もしかしたらあっちじゃ活躍を評価してもう少し階級が上がってるかもしれない。

 いや……戦死扱いで二階級アップか。

 となると曹長って所かなー? なんか戻った際の階級とかどうなるか気になる。


 状況把握認識完了。敵の手に落ちていた際の収集したデータから判断して、現在の脅威に対しての判断はスライム系に取り込まれた者たちを切り捨てによる殲滅を推奨。


「却下だ。出来る限り町に行かないようにバルトは俺の仲間……健人とラルオンのどちらか、もしくは二人を搭乗して戦ってくれ」


 命令、了解。ですがマスターは?


「俺にはちょっと手がある。少しだけ時間を稼ぐだけで充分だ」


 どうも手ごたえというか進化したからこそある力がこの時に対処できるんじゃないかと感じさせてくれるのだ。

 まだ俺は俺自身の体を完全に使いこなせていない。

 エミールに寄生するまで神迷コアとかの使い方を理解してなかったように。

 ただ、今は違う。魔眼や鑑定の力が前よりも高精度に使えるようになっているのもあって、俺自身の使い方がもうわかってきた。


 命令を受理、では二名の搭乗者の指示に従います。


「頼んだぞ。ムーイ、バルトと話が済んだから降りるぞ」

「わかったぞーバルト、小さいドラゴンだなームーイはムーイって言うんだ。よろしくなー」

「ギャウ」


 降りた所でボディ側のバルトがムーイに挨拶を返した。


「話を終えた。どうやらこいつ、俺が新兵の頃にダンジョンで見つけて徴収されてしまった古代種の竜騎兵のボディだったみたいなんだ」

「おいおい。そんな事あるのかよ」

「OH! そうだったのかYO」

「二人とも乗れるように指示出しておいたから、どっちか上手い方が操縦してくれ」


 って言った所で両者がにらみ合った。


「おめーさっきまで操られてただろ。俺が操縦する」

「NO! 操縦技術は負けないYO! 汚名返上の機会を頂戴YO!」


 健人とラルオンが醜い言い争いをしながらバルトのボディに乗り込んでいく。

 思わぬ再会に俺も驚きだ。人生何が起こるか分かんないもんだ。


『まったくその通りだな。まさかこのドラゴンがユキカズの配下だったとはな』

『本当に信じて良いのか? 散々やられたからあまりいい気持にはならん。怪しいもんだ。私をボコボコにして息の根を止めたことはまだ忘れてないぞ』

『操られていた仲間だから私は何も言えん』


 聖獣たちが各々脳内で喋ってくる。気になるのは分かるし抗議もしたいのだろうが程々にしてくれ。

 ペリングリに止めを刺したのはバルトか……そういやそうなるんだよな。ローティガにもやられたのはカウントしないのだろう。

 ラルオンとバルトにやられたって事になる訳で。


「そんでユキカズ、お前らはあいつをどうするんだ? 魔眼で足止めってか?」

「いいや。なんかできそうな気がする手をするから時間稼ぎをしておいてくれ。奥の手には少し時間がね。ムーイみたいに天才じゃないからさ」

「ユキカズはお菓子作りの天才」

「はいはい。今はそこじゃないから」

「ったく……しょうがねえな。期待してるからな!」

「任せてYO! ME達が時間を稼げば良いんだNE!」

「おめーは下がってろ!」


 と、健人とラルオンが喧嘩しながらバルトを操縦して津波のように押し寄せてくる肉塊へとブレスを吐いてひるませる。

 更に羽ばたいて風を起こしている。


「ムーイ、また寄生させて貰うぞ」

「やったー! 何時でも良いぞ」


 そこで俺はムーイに寄生させて貰う。俺の寄生を喜ぶのはやっぱりなんかおかしい気がするんだけどなー。


「むふふーユキカズが体に居るー」


 それで喜ぶのは間違いなくムーイだけだと思うぞ。

 すりすりとお腹を撫でないで? 俺、ムーイの何処で進化したのか怖くなるから。


「少し体をこっちが操るな」

「うん! 何をするんだ?」

「まずは折れた竜騎兵の剣を……」


 ササっと折れた剣を急いで拾ってムーイの能力で軟化させて形を整えて硬化させて応急修理を行う。


「健人とラルオン! 受け取れ!」


 竜騎兵用の短剣だけど無いよりマシだろう。

 バルトに装備させていたのは異世界の戦士仕様の武器で今はエネルギーが出せずに武器にならない。

 チャキッとバルトが短剣を受け取り、剣技を放つ。


「ギャウ!」


 アクセルエアが放たれ、肉塊が風で少しだけ押し戻される。


「うお!」


 だがそれでも押し寄せる肉塊は止まる気配がない。


「後は……」

「どうするんだー?」

「ちょっと待ってな……出来る気が、するんだ。新しい、ムーイやみんなが俺に授けてくれた力で……あの肉塊を倒し取り込まれている人たちを救う事が……」


 俺は幻神獣カーバンクルとしての内面、ステータス部分を大きく意識する。

 まるでチュートリアルのごとく、スキルが明滅している。

 ムーイの体を操りつつ両手を合わせ意識を集中……。

 ドクンドクンと様々なエネルギーが俺とムーイの中を大きく循環していく。

 うん。必要分の力は十分ある。


 幻神獣カーバンクル(兎束雪一) Lv1

 所持スキル 信愛 属性熱線 宝石魔眼 収束魔眼 魔力飛行 LDBBG 分析理解 分析力向上(極) フュージョン 進化補助 EX変身? 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化拡張 自己再生 分裂&合体 寄生&分離 収縮&膨張 因子吸収 毒使い 全属性耐性 ラーニング 輝石回路 魔導の極み 空間跳躍 ターミナルジャンプ 世界の断片 聖獣の加護 聖獣を内包せし者 迷宮種の力▽ 迷宮王の加護 機械仕掛けの神を討つ者

 不変部位 尻尾


 発動するはEX変身? 謎の疑問符がついているけれど、分からなくても良い。

 その中の変身項目が色々と出てくるのだけど今までとは異なる項目を意識する。するとピコンと視界に表示される。


 必要な因子を選択してください。


『』『』『』


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