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三百十四話

 どうやら体の模様が月のような三日月だから付けられた魔物名のようだ。この姿の時の俺は体に三日月の模様がある黒い兎に似た魔物だった。

 まあ、尻尾はカーラルジュによく似た尻尾をしてたんだけどさ。

 携帯ゲームの携帯獣に似たのがいた気がする。

 ただ……これでヴァイリオの願い通りの強さを得られたかというと怪しい。

 寄生した際に圧殺、マグマのような血液と高密度のエネルギーの本流に焼き焦がされないだけのタフさを俺はまだ持きれない。

 所詮は寄生虫か……。

 何にしてもやるしかない。せめて……ラルオンを抑え込み、ローティガを操っている部分に直接触れて破壊をするってな。

 クラッキングで操っている個所を破壊出来れば……それに高密度電磁パルスという固有能力も強力だろう。

 低出力でも持ち込んだ基盤が焼け焦げた。

 対策されているかわからないけど本気でぶち込めば効果はあるはず。

 エレクトロダイブって……うーん。なんだろ? どんな能力かを意識すると雷の中へと入ろうってイメージが浮かんでくる。

 そんな所に入れたっけ? とは思ったが、なるほど……改造されたローティガが雷を全身に放つ度に電気内を伝う事が出来る。

 で、攻撃手段は雷撃。プラズマゴーストは雷を使う魔物なんだな。やっぱり。本来は黒い兎みたいな魔物みたいだ。

 雷無効ってのは相手次第じゃ有利に働くし精神波耐性ってのもそういった攻撃をする魔物に相性が良い。

 真空生存……うん。どうやら息をしなくても活動できる。ただ代わりに何かを消耗しなくちゃいけない。

 魔力で電気を出すと息が出来る感じがした。

 後は機械操作系……何処まで出来るかその手の相手と戦ってからの判断だ。 


「ガアア! ガアアア!」


 ギュウウウ! っとさせないとばかりにローティガの体から抗体反応と筋肉の不自然な収縮が起こり、俺を圧殺せんとしてくる。

 ぐううう……まだ、負けるわけには行かない。

 けれど実力差は歴然、当初から厳しいと言っていた通り……このままでは圧殺される。

 だけど諦められない。ローティガとラルオンを助けるために……敵わないとしても引けない。


「ユキカズ!」


 俺に引っ付いているムーイがマグマのような血液と強靭な筋肉で圧殺しようとするのに反発するように広がってくれる。

 電気以外ではムーイの耐性にも協力してもらうしかない。


 ゼラチンマスターコア Lv40

 固有能力 ゼラチン寄生 宿主経験値&Lv強奪 魔力吸引 生命力吸収 粘液干渉 感覚・思考制御 自己再生 増殖促進 超強酸 酸性強化 司令指示加速 宿主改造 遠隔操作範囲拡大 強雷撃 魔法反射膜展開 古の魔法 衝撃耐性(特大) 自動回復(大) 魔力回復(小) 水耐性(大) 魔眼

 Lv60になった時……自己再生(強)


 分身のムーイを最大限有効活用するためには必要不可欠な要素だった。

 強靭なローティガの体内の奥深くに侵入するには。

 もっと、もっと先に……ローティガを操っている回路のある部分へと……。


「ッ! ガアアァアアアアアアアア!」


 ローティガの全身にナンバースキルの反応が迸る!


「それは……逆効果だ!」


 シュウウウ! っと異世界の戦士、神獣由来の力は俺へと吸い込まれて行くぞ。

 それは効果が無い!

 魔力が回復するのを感じる。

 このままいく!

 と、思ったがローティガに埋め込まれた機械は即座に反応したのかナンバースキルを迂回させて筋肉や血管の凝固及び凍結をしてきた。

 嘘だろ、こんなことしたらローティガに大ダメージ……はないのか。 一部エネルギー化しやがった。


「ぐぬぬぬ……力が、足りない」


 ムーイが筋肉に抑え込まれてうめいた。


「諦めるな! まだ……この先に行かないと、いけないんだ!」


 ドクンドクンと、体内に入ることで何処に改造を施されたのか分かった。

 心臓部分だ。そこに埋め込まれた力を感じる。聖獣は人間や動物、魔物とは異なる構造をしている故に脳=意志が宿る場所でないようだ。

 でも届かない。力が……足りない。

 硬く、鋼鉄やオリハルコンを超えるほどに閉ざされた……ローティガを操っている機械部分への肉扉が立ちはだかっている。


『ユキカズ……いけ! この先へ!』


 ドクン! っと暴れるローティガに逆に肩を噛みつかれて振り回され叩きつけられ、電撃や炎でボロボロになっているはずのヴァイリオから大きな力が流し込まれる。

 強い思念が俺に向かって放たれていた。

 どうやって!? ヴァイリオとは今、リンクが……と思った所でムーイが体を伸ばしてバイパスをしているのだと感じた。

 だが、ムーイはともかくヴァイリオの中にあるエネルギーなんて流し込まれたら俺は耐え切れず弾けるぞ。

 と、思ったのだが流れてくるエネルギーが俺を焼き焦がす事は無い。

 更にヴァイリオは先ほどよりも強く、ローティガの振り払う力に抗い、しっかりと地面に足をつけていた。

 10%……14%……25%……。

 ピピ……っと視界に数字が浮かび、みるみる数字が増していく。

 おい! まさか……ヴァイリオ、お前!


『悪いね。ユキカズ、君が私に寄生した際に因子は貰っていたのだよ。いざとなったら申し訳ないが使わせて貰おうとね。なーに、これくらい無いと奴らと同じ土壌に立てないと最初から思っていた』

『そんなことより、やめろ! 今すぐその力を俺に……流し込むのを!』

『悪いがそんなことを言っている場合ではない。不満があるならそんな所で手間取らず、任務を遂行しろ! 我らが神の兵士よ!』


 くううう……ムーイにしろヴァイリオにしろ、もっと自分を大事にしろって言うんだ!


「うぐおおおおおおお! はあああああ!」


 増幅された力で俺は硬い扉を引き裂く勢いでこじ開けて突破し、ローティガの心臓部へと入り込んだ。

 どぷん! っと体内に入るとそこには機械とも生物とも言える金属質の触手を生やしたパラサイトによく似た存在が巣食っていた。

 心臓内は円形で全長3メートルくらいの空間か。

 随分と太い触手を伸ばしてローティガの体を貫いてやがる。


 マシンミュータント・対邪神の使徒・魔獣寄生型NO.2


 おうおう。もろそれらしい名前をしてるじゃないか。

 ヴァイリオたちは魔獣ってか?

 まあ、敵対者からすると聖獣も魔獣か。どういった基準かね。


「ギギ――」

「お前がローティガを操っている大本だな! 悪いが仕留めさせて貰うぞ!」

「ギギギギ! ギィイイイイ!」


 マグマのような血液の中でマシンミュータントが機械の触手を異物と判断した俺へと高速で伸ばしてくる。


「おっと!」


 サッと放たれた触手を避けるがものすごく早く、即座に俺を突き刺さんとしてくる。


「おらよ!」


 異世界の戦士の力なのかローティガから吸収している力か知らないが機械の性質を持っているようなので対策させて貰うぞ。


「はあああ!」


 バチバチバチ! っと高密度電磁パルスを放つ。

 するとビク! っと俺の攻撃を受けて金属質の触手が痙攣をして動きが鈍くなる。

 が、依然として戦闘継続は出来るようで俺をにらみつけて熱線を電撃を放つ。


「残念! 電撃は耐性があるんでね! ぐ……」


 バチバチと電撃が心臓内で放たれた。

 耐性持ちなので問題無いかと思ったがかなり痺れる。

 どうやら耐性貫通するほどの高密度の攻撃だったようだ。

 無効も限度はあるって事か、もしくは相当な出力でぶっ放しているのか?

 さらに熱線の魔眼まで所持しているようで目を見開いて俺を仕留めようとしている。


「おうおう。そんな凝視しても良いのか?」


 こっちも魔眼で対抗してやる。

 ヴァイリオから流し込まれるエネルギーでな。

 ボン! っと放たれた熱線が俺の放った熱線と交差して熱線が曲がって心臓の壁にぶつかる。

 やばいかと思ったけれど空いた壁は即座に塞がり何事もなかったかのように鼓動を繰り返す。

 あまり悠長に戦っていられる状況じゃない。


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