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二百八十話

 色々と固有能力が増えたもんだ。ただ……魔眼ってのは元々所持して居るので実質死にスキルで耐性面が優秀か。

 魔法反射膜は文字通りある程度、魔法に属する攻撃を反射出来るっぽい。

 まあ、ムーイのミダスの手やエミールのいばらの魔女は管轄外だろうけど。

 古の魔法はゲイザーの魔導の極みよりは性能の低い魔法スキルだ。

 ゲイザーが攻撃に対してゼラチンマスターコアは防御面で優れる感じっぽいね。

 ちなみにメタモルスライムという進化もあったのだけどこれは項目自体が暗転していたのが印象的だった。

 進化する必要が無いとか表示されて居た……俺の元々所持する神獣の力が大きいのかも知れない。

 思えばコピー系は不要な能力を元々所持している。見て覚え凌駕する神獣の力か……。

 なんて思いながら……俺達は足早に町へと帰還した。


「ただいまーっと」

「あ、神獣の申し子様とケントさん。急いで庁舎に来てください!」


 町に帰ると同時に門番をしている人が俺達に声を掛けてきた。


「ん? どうした?」

「半日ほど前に緊急の伝令の方が来まして……その、聖獣様が鎮座していた町が陥落し町からの避難民がこちらに避難すると共に……追手も迫っていると」

「何!?」


 俺と健人は見合う。

 時間が迫ってるってもうかよ。


「お、オデ達はどうしたら良いんだな?」

「そうだぞ。みんなを守るために町から出て待ってるのか?」

「リイ、レルフィは孤児院に行って確認を頼む。当然ラウもな」

「ムーイは孤児院の方へ行ってくれ、エミールは避難民の手当が必要かも知れないから薬の確保、食料をとりあえずで良いから作ってくれ、俺は飛び上がって周辺の安全を確認してから庁舎に行く!」


 健人も俺と同じ考えか、まずは大事な孤児院のみんなの保護を優先、次に俺は町の状況確認と把握。

 で、健人は代表として先に町長に話を聞いて貰ってから改めて合流。

 ムーイと分離した方が小回りと速度が出る。

 なので寄生解除して飛び上がる。

 ムーイの半分は本体の方に戻って貰った。


「ええ、わかりました。ラウさん、さすがに今回は一緒に来て貰いますよ」

「きゅー……」

「わかった。ユキカズ。ラウ、ムーイが一緒に居るから大丈夫だぞ。さあ行くぞー」

「大変な事態になってそうね。戦えそうな連中に声を掛けつつ行くわ」


 駄々を捏ねるラウはリイとムーイに任せて、健人とは別に町での戦力調整をレルフィさんが行う。


「任せて欲しいんだな」


 みんなが指示通りに動いたのを確認してから俺は改めて高く飛び上がって周辺を確認する。

 目視で確認……町の近隣は特に問題ない。

 避難民が来るであろう方角を凝視……目を見開いて確認すると、確かに遠くに人影が何人も列をなして避難しようと移動している姿が見えた。

 アレか……追手が迫っているらしいがあの方角、アナグマっぽい人たちの村の方角だ。

 嫌な予感がしてきた。

 そのまま急降下して庁舎へと俺は向かったのだった。




 ん?

 なんか……ターミナルポイントのある広場が赤いぞ。

 見ると血まみれの大きな白いライオンに似た大型の魔物が横たわっている。

 結界内にいるって事は許可された魔物なのだと思うけど……。

 なんだろう。気配が敵として認識してない。

 何らかの力を感じるのだけど非常に弱っているようだ。


「神獣の申し子様!」


 俺が降りてくると同時に町長が健人と一緒に出迎えてくる。


「そんで、避難民ってのが来てるのは見えたか?」

「ああ、ぞろぞろとこっちにやってくる」


 俺の答えに健人が舌打ちする。


「町が陥落したんだったか」

「どうも聖獣様に挑んだ者が悪しき者たちだったそうで、甚大な被害が出ているとの話です」

「件の聖獣ってのはどうなってるんだ?」

「それが……重傷を負いつつ特攻をしようしたのを民を守る為にやむなく離脱したとの話です」

「話でしか分からねえが相手が相手ならさっさとやられりゃ良いんじゃねえの? 確か死んでも復活するんだろ?」

「そうもいかない事情があるようでして……目撃者の話によると相手の一派に他の聖獣様が居たとの話です」

「なんだそりゃ? もっと詳しく聞かなきゃいけ無さそうじゃねえか」


 何にしても妙な事態が発生してるって事で良さそうだ。


「そんで、ターミナルポイント前で転がってる大きな魔物が聖獣か?」

「はい。我らが地域の守護を担う聖獣ヴァイリオ様です。神獣の申し子様の留守の間に足を引きずりながらやってきました。そして今は出来る限り傷の治療に専念して頂いています」

「避難してる連中は……」

「陥落した町からの難民でございます。悪しき者たちの手から命からがら逃げてきたとの話でして」

「良く逃げ切れたな」

「どうも悪しき者たちは遊んでいるとの証言があり、追っては来ますが積極的ではないと」


 いたぶってるとかそういった感じか?

 俺の脳裏に異世界の戦士を利用したあいつを思い出される。

 何処にでもああいった連中がいるって事か?

 いや、この世界の者たちは結構善良だって健人が言ってなかったか?


「俺たちみたいな異世界人か?」

「いえ……証言によるとケント様や神獣の申し子様のような我らが神獣様や神様の加護を受けた者ではない。けれど近い力を使う者であると」


 ……一体何なんだその連中は。


「それと、様々な力を振るっている姿から迷宮種ではないかとの意見も出ています。何より……聖獣様に重傷を負わせたのは、他の聖獣様であるとの証言もあります」


 デリルインが思い出される。

 ああいった奴が聖獣に挑んだとかが無難か?

 だけど他の聖獣が襲ってきた?


「情報が錯綜してるじゃねえか」


 そうだな。これは件の聖獣に話を聞いた方がよさそうだ。


「とりあえず聖獣って奴と話をするか。じゃないとよくわからん」

「俺もそう思って声を掛けたんだが、意識が無いのか応じやしないんだよ」


 相当ヤバくないか?

 瀕死の重傷って事じゃないか。


「急いで手当をしなきゃ危険だな。こういう時はエミールに治療薬を作って貰ってくれ、俺も手当てに行くか……」


 健人がチラチラと避難民のいる方角に目を向ける。

 アナグマっぽい人種の村には健人の愛人と子供がいる。

 気になっているんだろう。


「とりあえず避難民の誘導と追っ手の撃破をするか、足の速い俺が足止めに先に行く。ムーイは……連れて行きたいがこの事態じゃ足に問題がある、健人。一緒に追いかけてこい」

「あいよ。空を飛べるお前にはここは任せるしかねえか」

「ああ」

「絶対に良い女を守れよ。あいつ、不器用だから絶対に逃げねえからよ。俺も全力で追いかけるからな」


 ……どこまでも徹底してるな。


「んじゃ……先に行ってるぞ」

「任せたぞ。こっちも急いでいくぜ」


 健人が準備体操を軽くすると凄い速度で走って孤児院の方へと向かって行く。

 いざって時は頼りになりそうなのは間違いないんだけどな……。


「神獣の申し子様、どうか我らと聖獣様をお救い下さい」


 俺と聖獣って俺の方が格上なのかね? 町長の言葉に疑問は浮かぶけど気にしない事にした。

 さて……急いで向かうか。

 という訳で一路俺はアナグマっぽい住民の村へと羽を広げて飛んで行った。


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