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二百七十話


「お望みとあらば近接で戦う奴が居る時は魔眼と魔法で援護してやろうか? もちろん近接も出来るけどな」

「どんだけ万能なんだよお前」

「頼りになるわね」

「そりゃあムーイのアシストはあるからな」


 ムーイ曰く、俺の戦い方を学びたいのと俺に好き勝手体を使って欲しいと言う事で自身から動かないようにしているそうだ。

 ただ、ある程度アシストはしてくれる。

 近接戦闘時に俺だと反応が遅れる所をムーイが手伝って先に動いてくれる形だ。

 ある意味魔獣兵に乗っている時と似た動き……バルトのしてくれたアシストをムーイが意識的にしてくれている。

 拳で相手に殴り掛かる場合、自動である程度は補正をしてくれるのはありがたい。

 魔眼を展開しながら魔法を唱え、体を操作してーってだけでも中々忙しい。


「えへへー」


 ちなみに俺が寄生してる方のムーイは意識的に喋らないようにするらしい。

 ただ……脳内会話に近いものには答えてくれる。

 口での会話には参加しないつもりらしい。

 ムーイ曰く、俺の体って認識にしたいんだと。

 ……体の半分を相手に与えるってどんな気分なんだろ? ムーイにしか分からない感覚で察する事が難しいなぁ。

 本人は満足してるので良いのかな?


「そんでムーイ、これが俺だったらの戦い方なんだが参考になるか?」

「参考になるように頑張るぞー」

「これがユキカズの兄貴の戦い方なんだな。オデの時はオデの力がしっかりと出せる様にしてくれてたんだな」

「まあ、エミールの場合は近接の補助を俺なりにしてただけだな。後は魔眼は標準でな」


 ムーイの場合は俺の変身に露骨に合わせてくれるんだよなー……こう、体の一部って認識で。

 そういう意味だとムーイとエミールは寄生で出来る事が色々と異なるし、ムーイの方が出来る事は多いか。


「ムーイが雪一の戦いを参考にしてものを投げつけるのか?」

「きゅ? お義母さん投げるの下手っきゅ」


 ここでラウが会話に混ざってくる。


「そうなの?」

「うん。みんなと玉投げした時、お義母さんは変な所に投げてまともに遊べないっきゅ。放るくらいは出来るけど投げたら下手っきゅ」

「うー……」


 ラウの言葉にムーイが唸ってる。

 え? 本当に苦手な訳?


「じゃあ……」


 俺が手頃な所に石を置いて円を描いて戻る。


「ムーイ、あそこにある的に当てて見てくれ」

「……わかったぞ」


 ムーイが石を拾って的に向かって……。


「うー……うー……えい!」


 なんか唸りながら思いっきり腕を振りかぶって投げると何故かムーイの投げた石は明後日の方向へガサって音がして茂み落ちて行く。「……」

 ムーイが何事も無く石を拾って何度も投げるがどれも変な方向へと飛んで行って的には全く飛んで行く気配が無い。

 チラッと何度も俺の方を見るなよ。恥ずかしいのは分かるから笑ったりしないぞ。


「うー……上手く行かないー」


 ふむ……何でも出来るムーイが出来ない事があるって事?

 でも俺が寄生してると特に問題無く当てれてなかった?


「意外な弱点だな。ムーイは投擲が苦手なのか」


 健人がそんなムーイを特に疑問に思うこと無く言う。


「うー……」


 で、ムーイが俺をまた見てる。

 そもそも初めて会ったとき、室内で逃げようとした俺に鍋を投げて当ててたはずだけど?

 なんで下手になってんの? しかもムーイが疲れたような顔をしてる。

 体力のお化けのムーイがこんな顔するんだな。


「そう言えば……ムーイのスキルにトラウマ暴投ってのがあった気がする。ただ暗転してて機能してないように見えたが……」


 確かあったはずだ。

 俺が寄生してるときは暗転してて……もしかして今のムーイだと発動してるの?


「物を投げようとするとユキカズに鍋を投げて当てちゃった時の事を思い出して手が震えるんだぞ……」


 おいおい。ムーイのトラウマって俺に鍋を当てて首を折った時のあれか。

 それが原因で投げるのが下手になったのかよ。どんだけ気にしてんだ……。

 もう気にするなって言っても治らないんだろうなぁ。

 トラウマを乗り越えろなんて言うほど俺は傲慢では無い。


「おいおい。大丈夫なのか?」

「苦手ならしょうがないでしょ。無理に乗り越えるもんでもない。下手に刺激して悪化したら堪ったもんじゃないし」

「そうだけどよ」

「投げる動作にだけ問題があるなら弓矢とか射撃は問題無いだろ」

「試してみないとわかんねえがな」


 結果として分かったのは射撃はある程度当てることは出来るけど若干発動しているようで……ゲーム的に言うなら遠距離攻撃に20%のマイナス補正って感じみたい。

 但し、俺が触っていると投げることも狙うことも出来る。

 俺に当ててしまうのがトラウマらしい。

 これは可愛いと思うべきなのだろうか……まあ、適材適所で活躍して貰えば良いさ。


「ムーイの姉貴にも苦手なものがあるんだな」

「うん」


 で、エミールはムーイの事を姉貴と呼ぶことでムーイはしっくりきたようだ。

 みんなが仲は悪くないと言うのは本当のようでムーイとエミールは問題無く会話をするようになった。

 俺の思い込みだったんだなー……。

 そんな感じで色々とムーイに寄生した状態を改めて確認しながら進んで行くと……ダンジョン内でターミナルポイントを発見した。

 なので確認をしながら休憩を取る事にした。

 あ、もちろん村や町とは異なり結界のようなものはない。

 あっちの方の異世界のターミナルは結界と隠蔽効果があるので便利なんだけどね。

 ……何か設置したら出来るのかな? 村みたいな感じに。

 出来そうな気もするなぁ。


「ここにターミナルポイントがあるんだけど、結界とか隠蔽とかの施設とか無いかな? 文字通りゲームのセーブポイントみたいにさ」

「なんか不自然に開けた場所だとは思ったけどやっぱりそう言った場所なのかよ。雪一はよく分かるな」

「そこは魔物化してすぐに分かったんだよなー……アクセスするとステータスの確認出来るし」

「神獣の申し子様の特技って事ね」

「村や町にある結界は聖獣様や神様が用意して下さるものですから、神獣の申し子様も設置する力を持っていらっしゃるかも知れないですね」


 ああ、そう言った事を聖獣ってやってるの?

 となると俺も何らかのスキルで出来るのかもしれないなー。


「今の俺に出来そうなスキルは無いけどね。何はともあれここで少し休憩してステータスを確認しよう」

「あいよ。んじゃみんな休憩な」


 って事で改めてステータスを確認。

 出発前に少し見てたんだけどね。

 さてさて改めて確認っと。


 聖魔獣ラビュリントスイーター(幼体)(兎束雪一) Lv29 EVO・P 122460

 所持スキル 属性熱線 魔眼 収束魔眼 飛行 LDBBG 分析 分析力向上+++ W変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化拡張 再生(大) 寄生&分離 因子採取 毒使い 迷宮種・ムーフリスの因子 迷宮種・カーラルジュの因子 迷宮種・エミロヴィアの因子 迷宮種・ザヴィンの因子 世界の断片 神迷コア カーラルジュの呪い(小)

 不変部位 聖魔幼獣の尻尾


 ゲイザー Lv21

 固有能力 強化熱線 卓越した魔眼 魔力飛行 マジックターゲット 強化噛みつき 魔導の極み 魔導防御 魔力消費軽減 闇魔法強化 エネルギーバースト 空間跳躍 魔法耐性強化 全属性耐性 刻印付与

 Lv30になった時 空間跳躍2


 宿主 迷宮種ムーフリス Lv?

 所持スキル ミダスの手 スイートグロウ 剛力 頑丈 言語理解 衝撃吸収 天賦の才 世界の断片× 模倣変化 トラウマ暴投× 自己再生 分裂&合体 暴食 膨張&圧縮 全属性耐性 ラーニング 愛の力 共生強化 聴覚強化 ???…


 ……? あれ? なんか劇的に経験値が入ってないか?

 前に確認したときより遙かに経験値が入ってゲイザーが一気に急上昇してる。

 ……ラビュリントスイーターもかなり経験値が入ってるしどうなっているんだ?

 考えられるのは寄生してるからムーイの経験値をそのまま貰ってる。

 だけどエミールに寄生している時はこんな事は無かったよな?


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