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二百四十七話


「承知しました」

「わー! ユキカズ達がお泊まりに来たー!」

「わーい!」


 と、孤児達が喜んでくれている。

 歓迎されるのはむず痒いけど何か手伝いが出来るのは良いだろう。


「とまっきゅ」


 ラウもここで友達出来ると良いな。


「おー楽しそうな声がするねー」


 後方から声がするので振り返るとそこにはミノタウロスみたいな人種の人が居た。

 声からすると女性かな?


「ケントが帰ってきたのか」

「おっす! 帰ってきたぜ。今夜店に行くから楽しみにしてろよな」

「あいあい」


 健人とミノタウロスっぽい人が軽く挨拶をした所でカトレアさんが紹介してくれる。


「彼女はレルフィ。お向かいにある酒場を切り盛りしている方ですよ」

「よろしく」


 と、ここで俺達は再度自己紹介を行った。

 俺達の方は同じようなもんだな。


「カトレアと同じく俺が仲良くしたイイ女だぜ? この孤児院をカトレアと一緒に管理してんだ。昔はパーティーメンバーでカトレアと一緒に活動してたんだぜ」

「出稼ぎにね。今はケントのお陰で出稼ぎの回数は減っちまったけどね」


 ふむ……どうやら健人が色々と配慮してるお陰で生活が安定して冒険とかの回数が減った感じっぽい?

 なんだかんだ健人のお陰で助かってるって事かな?


「やー子育てってのは中々時間が取れなくなるもんだからねー」

「あ! 帰ってきたんだー!」

「おかえりー!」


 そう言ってレルフィの来た方の酒場らしき店の扉を開けて孤児? が数人駆けてくる。

 こっちにも居るのか。

 本当、騒がしい感じに沢山子供がいるな。

 休めるか少し不安になるぞ。


「きゃはは!」


 でだ。問題はここからなんだが。


「本当、ケントのお陰で助かってますよ」

「そうね」

「子供達も元気に育ってくれてるし」

「ケントー色々話をしてー神獣様とどうやって知り合ったのー?」

「コラコラ。今は話をしている最中でしょ」


 カトレアとレルフィが土産話をせがむ子供を注意している。

 それは良いんだ。


「お父さんを名前呼びしちゃダメでしょ」

「えー」

「みんながそう呼んでるから良いと思ったんだけどなー」


 子供達の中にレルフィによく似た子が混じっていて、孤児の中にもカトレアに似た子がいる。

 ただ、その子供達に……オオカミみたいな部位が見受けられるんだ。

 こう、ブルの尻尾みたいに手足がオオカミっぽかったり耳がそれっぽかったり。


「おやっきゅ?」


 ラウが察してムーイに抱きかかえられたまま指さして尋ねてくれる。


「あ、はい。この子は私とケントの子供ですよ?」

「そうそう」


 カトレアとレルフィはそれぞれ自分の子供を抱きかかえて紹介してくれる。

 ……ちょっと待って、他にも似たような子いるんだけど?

 少なくとも五人位いるぞ?


「健人、お前……」

「なんだよ?」

「子供がいるのかよ!」

「そりゃあイイ女にお願いしたら出来るもんは出来るだろ」


 何言ってんだ? って顔して何抜かしてやがるんだ。

 お願いって肉体関係ありかよ!


「ハーレムか? ここはお前のハーレム孤児院ってか?」

「なんだその言い方。俺とイイ女との子供以外もいるし、みんな面倒見てんだよ」


 心外な事を抜かすなよって顔してるけどどうなんだお前?


「イイ女がいたら頭下げてお願いするもんだろ?」


 何当たり前みたいな事を抜かしてるんだコラ!

 ブルの親じゃあるまいし!


「ユ、ユキカズ?」

「ユキカズの兄貴……落ち着いて欲しいんだな」

「俺は冷静だぞムーイ、エミロヴィア」


 まずは事態の把握をしなくちゃ行けないぞ。

 そう、冷静にだ。

 リイ? 教えてくれるよね?

 と顔を向けると何故か冷や汗を流しているリイが口を開く。


「ケントは押しが強いですからね。気に入った女性との関係もありまして……ここが拠点で色々と活動しているんですよ。他にも子供は各地にいるそうです。神獣の加護を授かっていますし、各地で色々と功績を挙げてますからね」


 そうかそうか……まあ、俺を召喚した方の異世界でもいきずりの冒険者との子供とかそう言った経歴の話は兵士仲間にも居た訳だけど、ここに実例があるとはな。


「健人」

「さっきからなんだよ? 妙に殺気だってやがるな」

「お前、この世界に永住しろ」

「あ? 何言ってんだコラ!」

「世帯持ってる癖にあっちの世界に帰りたいとかどういう了見だコラって言ってるんだよ!」


 聖獣の試練を乗り越えて元の異世界に帰る手立てが出来たらここにいる子供達やカトレアさん達をどうするつもりだったんだよ!


「うるせえな。あっちにも世話になってる村があるんだよ! 厳選した各地のイイ女に来て貰ってる村がな!」


 おい! あっちにもあるのかよ!

 しかも厳選したイイ女とか抜かしやがった。

 コイツ、実は藤平が夢見たハーレム村持ちだったのか。

 ふてえやろうだ!


『ははは。知った瞬間その反応は実に笑えるねー』


 おい! 何笑ってんだ。こんな所で語りかけてくるんじゃない!

 こんなハーレム野郎を放置して良いのかよ!

 答えろよ! 


「あっちの世界の被害者女性達の為にこの世界の彼女達の為にも残れ」

「勝手に決めんじゃねえよ、何が被害者女性だ。お願いして来て貰ったに決まってんだろ」

「ユキカズなんで怒ってるんだ?」


 ムーイが小首を傾げて来た。


「そりゃあ怒るだろ。無責任に種ばらまきした挙げ句やり逃げしようってんだから」

「やり逃げなんてしねえよ!」

「ほう……じゃあどうするつもりなんだ?」

「そりゃあ夢のイイ女達との合同村生活をしてえ。神様って奴に俺の知るみんなであっちの世界に連れてってくれってお願いするんだよ」


 決まってるじゃねえかって顔して抜かすのがそれか……。

 つまりここの孤児と子供とカトレアさん達を含めてあっちの異世界に連れて行きたいと。

 責任は取ってるのか?


「ケントはそんな事言ってますけどね。その時に決めようかとは思ってますよ」

「そうそう。別にケントが居なくてもみんなで世話してるからね」

「子供はすぐに大きくなりますので、むしろ子供達があっという間に巣立ってしまって寂しいくらいですよ」


 カトレアさん達が朗らかに答えてるけど、流して良い話なのか?


「てっきりイイ女ってのと仲良くしてるだけの軽い関係だと思ったらとんでもない事を黙ってやがって」

「別に黙ってねえだろ」


 言ってもねえけどな。


「というかこんな軽薄な男を相手にしちゃダメだろ」


 カトレアさん達に注意する。

 イイ女って事だから善良なんだろうけどそこを性欲に支配された狼男が食い散らかしてしまったって事だな。


「雪一てめえ、さっきから言いたい事言いやがって」

「まあ、確かにケントはしょうがない所はありますけど色々と頼りになりますよ」


 朗らかに聞き流さないで欲しい。


「神獣の申し子様、正直な話になりますがケントは神獣様の加護を授かってますから女性側は困らないんですよ。優秀な子孫を育める面もありますので」


 いや、そんな話をしてもな。

 そう言えば閉鎖された村とかだとみんな血縁関係みたいなもんで血筋的な問題があるので旅人とかを歓迎して血を迎え入れるって話があっちの異世界でもあるって話を兵士内で聞いた覚えがある。

 生々しい話だけど健人は異世界の戦士枠でこっちの世界じゃ信仰対象の加護がある。

 そう言った点では女性も損がそこまで無いって事?


「少々生々しい話となりますが神獣の申し子様も同様に道行く女性に声を掛ければケントよりも遙かに容易く相手をして下さると思います」

「リイ、何言ってんだ! まさかリイ、お前雪一の方が好みとか言ってるのか?」


 健人、お前は黙ってろ!


「そういう事を言ってる訳じゃないです。客観的事実を私は神獣の申し子様に言ってるだけですよ」


 説明して貰えると助かるけどこれって大問題だよな。


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