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二百四十五話

「被害が出てないか気になるぞ」

「オデも気になるんだな」


 聖獣への近道よりも近くの町の安否を優先すべきか。

 健人の提案はともかくみんながそれでいいのなら行っても良いか。


「きゅ……いっきゅ」


 ラウも何か変な発音だけど町で良いようだ。


「それじゃ右だな。行くぞー」


 って事でそのまま右の道を進んで数日程行った所で……人の往来が確認出来た。

 生憎と俺とムーイ達は結界の所為で町には登録するまで確認は出来ない。

 おそらく何かあるんだろうなーと目を凝らせば分かるのだけど、意識しないと気付くのは難しいな。

 なんて思いつつ、エミロヴィアに実験でフレーディンの力の源を反応させていたら町がぼんやりと確認出来た。


「ユキカズの兄貴、また何かしてるんだな。あそこに町があるんだな」


 ギク……フレーディンの力の源を反応させてますって言ったらエミロヴィアに怒られそう。

 怖がってるもんな。

 どうやらフレーディンは隠蔽状態のターミナルポイントを確認する能力があるようだ。

 結界にも入り込めたりしたのかな?

 便利な能力を持ってる事で……使い方を間違えてるだろアイツ。

 力を求めるより賢く立ち回れば良かったんだよ。

 何はともあれ目的地が分かってよかった。

 ノシノシと進んで行き、町の入り口で立ち止まり巨大化を解除して皆に降りて貰ったぞ。


「特に被害は無いみたいで良かったぜ。じゃあ早速行くぜー」

「ムーイとエミロヴィアは待っててくれ、ターミナルポイントでお前達が入れる様に認証を取ってくるから」

「わかったぞー」

「わかったんだな」

「ではお先に行きましょう」

「きゅん」


 ラウの発音が最近、言葉染みて来たな。

 なんて思いつつ俺達は町へと入る。

 俺の場合は町は見えずとも結界は通過出来るようになった。

 一度ターミナルポイントの水晶にアクセスした時に入り方を理解したからね。

 そうして町を確認。

 へー……ここが町か。いろんな種族の居る雑多な獣人の町って印象かな?

 いろんな種族が往来を歩いている。

 狼男とかもいるな。健人とは毛並みが違うけど。

 他にアヒルやニワトリみたいな獣人……鳥人とかリイやラウと同族のオウルエンスも居る。

 みんな俺が視界に入ると一礼するね。この辺りは村の時とあまり変わらない。


「ここの水晶は何処? 余剰エネルギーを振り込んで結界強化をしておくし、ムーイ達も入れる様にしないと」

「こっちだぜ」


 という訳で健人の案内で町の中央にある大きな水晶へと向かう。


「あ、ケントさんだ。こんにちはー」

「おう」


 往来にいる人に健人が挨拶をされている。本当にここが拠点だったんだな。


「ケントお帰りー帰ってきたんだね。どうだったー?」


 子供なんかも親しげに声を掛けて来て……俺を見てちょっと怖じ気づくような態度で見てくる。

 恐いのか? って恐いか、よく分からん生き物を連れてる訳で。

 ここは空気を読んで使役された魔物の振りでもすれば良いのか?

 虎っぽい狐のような卵形生物だから……猫口で媚びを売るポーズで鳴けば良いか。


「にゃああん」


 僕悪い魔物じゃ無いにゃーん。って感じで。


「……何やってるの?」


 あ、どうやらネタを外してしまったようだ。子供が首を傾げている。


「何やってんだ雪一」

「空気を読んで無害な魔物の振りをしようとしたんだが」

「ケントよりも神聖な力を持った方だよね。よろしくお願いします!」


 って元気に答えられてしまった。


「良いか? 俺より凄いとは言うんじゃねえ。俺がコイツを連れてる。OK?」


 健人、子供相手に大人げない。


「えー? まあいいや。ようこそー」

「あいあい」


 とりあえずフレンドリーには接してくれるようで良かった。


「なんか町の前に変わった魔物がいるって噂が来てるよ」

「そっちも連れだ。耳が長い方は面白い奴だぞー」


 耳が長い……ムーイだな。ウサギ重視な外見してるもんな。今のムーイ。

 エミロヴィアは論外と? アイツの良い所は善良な所だぞ? 子供とも親しくなれるはず。

 まあ……ムーイってお菓子を何処でも出せるから子供受けは絶対良いよな。

 ラウの接し方を考えて子供好きに育ってくれたし。


「んじゃ俺達は用事があるからまたなー」

「はーい」


 って感じに町の人たちと健人は親しげに会話しながら俺をターミナルポイントへと案内した。

 ターミナルポイントにアクセスしてエネルギーを振り込むと同時に登録をして弾かれないように設定した。

 これで二人とも入れるだろう。


「よーし登録完了っと」


 って弄ってると町長らしき人が俺に近づいて祈ってくる。虎っぽい獣人だ。

 カーラルジュやビリジアンワイルドタイガーとかと戦った経験もあって、ちょっと意識してしまうなぁ。

 ……今の俺って卵体型だけどちょっと虎っぽいから人の事言えないんだけどさ。

 うん。なんて言うか本当、どこも熱烈歓迎で有り難いけどむず痒いなぁ。


「ようこそ我等が町へと来て下さいました強力な神獣の力を宿すお方、ケント様のお導きで来訪して下さったのでしょうか?」

「まあ……そうなります。少し厄介になりますのでどうかしばらくよろしくお願いします。仲間に迷宮種を連れていますが町には絶対に危害を加えませんのでどうかご容赦を」

「承知しました神獣の申し子様」


 そんな訳で……若干遠慮がちに町でも受け入られた。

 町故に人も多いけど健人達の話の通り、人種の往来が激しいようだ。


「こう、難しいと思うけどあんまり俺に遠慮しないで。それとどうも妙な奴等が村を壊滅させたりしているようだからここも注意して欲しい」

「それはどのような……?」


 俺は町長に立ち寄ったオウルエンスの発祥の村だった場所の状況を説明した。

 そして迷宮種デリルインとマシンミュータント・コントロールフォートレスに関しても。


「なるほど、それは確かに異常事態。旅人の往来でも奇妙な話が報告されておりますので間違いは無いです」

「奇妙?」

「はい……色々と情報が錯綜しておりまして……真偽は不確かな状況でございますが聖獣様の調査に動いて居ると言う話もございます」


 聖獣が今回の事件を起こした奴等の討伐に動いて居るのか?

 ただ、町長が仕入れた情報ではそれ以上の真偽は確かめようが無いようだ。


「神獣の申し子様が現われたのは此度の問題の解決の為かとお思いしたのですが……」

「俺は別件でここに来ただけなんで……」


 これは返答に困るな。

 聖獣が問題に当たっていてそれが対処出来ないから神獣として俺が派遣されたと勘違いされるのは事情が違うだろう。


「何にしてもまだ調査中と言う事にして置いて欲しい」

「承知しました。こちらも警戒致しましょう」


 出来れば何事も無い方が良いに決まっている。

 通報はされているのならば良いのか? 迷宮種を操り、異世界の戦士の力を使う連中に聖獣が勝てるのだろうか。

 よく分からない。

 とにかくムーイ達と合流してから――。


「んじゃムーイ達を拾ったら早速家に行こうぜー」


 健人が空気を読まずにぶっ放してる。

 もう少ししっかりと考えろよ。とは言いたいけれど家の様子も気になるんだろう。


「健人の家では無いでしょうに」

「家みたいなもんだよ。ラウにも良い場所だと思うしリイもゆっくりすれば良いぜ」

「キュ?」

「物は言いようですね。神獣の申し子様のお手を煩わせる事にならなければ良いですが……ムーイさんは歓迎されて楽しいかも知れないです」


 リイは健人の家がどんな知っているようだ。

 ともかくムーイ達と合流して町に入った俺達は健人の案内で家とやらへと向かう。

 町の……入り口に程近い教会みたいな建物とお向かいに酒場のような建物が見える。

 どっちだ? と思ったら教会みたいな方の敷地へと健人が入って行った。


「ただいまー」


 すると教会みたいな建物の方にいる人種が違う子供達が健人の声に気付いて駆け寄ってきたのだ。


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