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二百三十七話


「神獣の申し子様、助かりました」

「っきゅー!」


 二人を降ろして攻撃に備える。

 殺意が本気でヤバいな。


「やべースキル使ってきやがるな! 何なんだよ」

「わからねえよ」

「なんだったんだ今のー?」


 ムーイが聞いてくるので答えるしか無いか。


「カーラルジュと戦った時に俺がお前に施した危険な力、分かるよな? 異世界の戦士が使う強力なスキルって奴」

「うん。ユキカズが前に話してた奴……そう言えば映像で見せてくれた奴にそっくりだったぞ」

「オデ、知らないんだな」


 蚊帳の外のエミロヴィアは反応に困ってるか。

 見せる事は出来るけど今すぐ教えるのは難しいな。


「昔、俺が人間だった頃の話だ。エミロヴィアにも今度教えてやるよ」

「わかったんだな」


 って今はとりあえず相手の名前を確認だ。

 相手は山の中腹辺り、距離にして2キロは離れてるな。

 目が良いじゃないか。何処のスナイパーだよ。しかも髙圧縮した水を飛ばせる距離じゃない。

 魔法なのか迷宮種の力なのか、それとも異世界の戦士の力なのか分からないけど凄いもんだと感心はしてやる。

 名前は迷宮種デリルイン……聞き覚えがある名前だぞ? 確かソルインの近くにあるダンジョンの名前がそんな名前だった気がする。

 ソルイン地方のダンジョンってそんな名前が多かったんだよな。

 ……何処かに迷宮種ソルインってのも居そうだな。

 とにかく今は戦いに集中しなきゃいけない。


「こりゃあ村をぶっ壊した奴の可能性も出てきやがったな」

「一気に仕留めるしか無い」


 話し合いとか出来るとしてもこんな事をしでかした奴を許すわけには行かない。


「ムーイとエミロヴィア、話し合いとか考えるかも知れないけど村をメチャクチャにした奴かも知れない狙撃手に同情するなよ」


 俺が面倒を見ている二人の迷宮種は善良なんで話し合いとか考えて居るかも知れないので先に注意しておこう。

 それが二人の良い所なんだけどさ。

 この辺りの判断、ブルは早くて間違えなかったのは素直に凄いよなー。

 ブルって相手が善か悪かの判断が的確で凄く頼りになった。

 オークで豚で文字通り鼻が良かったのかな?

 二人ともきっとブルみたいな良い人になってくれるはず。


「カーラルジュみたいだと思えば良いのかー?」

「わかったんだな。頑張るんだな」


 素直に頷いてくれて助かった。

 それだけで二人とも有能だと思う。

 面倒な奴だとグチグチと何でなのかを聞いてくるからね。


「んじゃ……ここまでこっちをしっかり凝視してる野郎には……相応の報いを与えないとな」


 グググと、俺は腹の目を開眼させ、ついでにエミロヴィアには悪いけど背中に少し切れ込みを入れて羽を伸ばしてそこからも魔眼を開く。

 お相手の好物と思わしき昆虫類の羽でな。

 そういう蛾とかいるよな。

 アレな感じにさ。

 思えば魔眼ってこういう時こそ輝く。


「一気に……喰らえ!」


 チャージされたエネルギーで一斉射撃をぶっ放す。

 極太の熱線を迷宮種デリルインに向かって大雑把にぶっ放してやる。

 すると山の合間に土煙があがった。

 これで仕留められた訳では無いが土煙で狙いを定められなくなっただろう。

 すぐに煙は晴れるだろうが、更に魔眼の準備だ。

 カッと幻影と麻痺、ついでに石化と死の魔眼を同時展開でぶっ放してくれる。


「おー……カエルが異形の化け物に変身だ。どこぞのボスみたいだぜ。マジで寄生って恐いぜ」

「言ってろ。エミロヴィア、悪いな」

「大丈夫なんだな」

「ムーイ、俺とエミロヴィアの後ろに付いてきてくれ。相手の水の刃は俺達が受け止めつつ行く。攻撃の要はお前だから」

「わかったぞ。この状況だとエミロヴィアにユキカズが寄生して貰った方が安全だもんな」


 切断された箇所の腕をムーイが振っている。

 ムーイって柔らかいけど本気になると凄く固くもなるんだ。

 けどそれを一刀両断した訳だから相手の攻撃力は規格外。

 むしろエミロヴィアはそんな攻撃を受け止めようとしたんだから危ないにも程がある。


「健人も当たらないようにしろよ。リイはラウを守って」

「抜かせ! 俺を甘く見るんじゃねえよ」

「はい。何があってもラウを守って見せます」

「んじゃ一気に行くぜ」

「おう!」

「あそこなんだな……植物さん! お願いするんだなー!」


 エミロヴィアが足踏みすると狙った所へ向かって地面から植物が生えて伸びていく。

 おー……俺の寄生状態のエミロヴィアの植物操作も中々強力だな。

 魔眼の効果は弱まるけど足止めと視界を遮るのには効果的か。

 っと、俺が寄生したエミロヴィアと健人、ムーイは山にいる迷宮種デリルインへと向かって駆出した。




 高圧縮された水の刃はエミロヴィアで耐えて毒ガス散布は風の魔法で吹き飛ばし、ナンバースキルらしき攻撃はできる限り注意して避ける。

 特にナンバースキルが来た時はエミロヴィアが大量に植物を盾として出すので到達が少し遅れる。

 お陰で対処はそこまで難しく無い。

 そう思ったらザーッとスコールが降り注ぐ。

 なんだ? と思ったら周囲の植物からもうもうと煙が立ち上り始め黒く焼け始めた。


「アシッドレインじゃねえか。面倒な事をしやがる」


 強酸の雨を降らしてくるのか。

 健人の毛皮も煙があがってる。

 結構酸性度高いな。ちなみに俺は酸耐性は高い。寄生能力持ちだからだろうな。

 ムーイは……焼けるその場で再生させているのか問題無いと言った様子で健人に耳で傘をして後ろに付いてきてる。

 エミロヴィアの水耐性、凄く有利に働いていて助かる。


「ん……届いたんだな」


 直後、雨が僅かな間止んだ。

 どうやらエミロヴィアの感覚だと伸びた植物が迷宮種デリルインへと届いて攻撃を開始したようだ。

 今のうちに一気に近づく。

 しかし2キロは地味に距離があるな。

 巨大化で近づくのが良いか?

 いや、さすがに格好の的だ。

 高圧縮の水の刃だけならそれでも良かったが毒ガス……はエミロヴィアも耐性ある、けどナンバースキルは難しい。

 あんなの命中したら致命傷だ。


「一気に跳ねる!」


 エミロヴィアはカエルな訳でジャンプは得意だろう。

 そのまま跳躍して距離をドンドン詰めて行く。

 もちろん定期的に狙撃されるけれどその都度目を凝らして避けてエミロヴィアが植物操作をして時間稼ぎを行った。

 が……妙な霧が立ちこめて来たな。


「これは……」


 エミロヴィアが操作した植物から何かスパイシーな香りが以上に立ちこめる。


「なんだ? く……鼻が辛い! カエル! 何しやがる!」


 健人が鼻を押さえて呻く。


「何をしたんだー?」

「オデ、分かるんだな。この霧、異常に眠くなるんだな。だから眠くならなくなる植物さんにお願いしたんだな」

「そうなのか」

「なんだな。きっと毒の一種を煙に混ぜてるんだな」


 厄介な攻撃をしてくるなー。

 ただ、あの迷宮種の特徴というか能力がよく分からん。

 ムーイが手をかざした物を思った物に変える能力を持つ怪力のマシュマロみたいな生き物で、エミロヴィアは植物を操るカエル。

 カーラルジュが姿を消して襲いかかる虎のような化け物。フレーディンは話を聞く限り会話が出来る猫系獣人の迷宮種……能力特定が出来てないけど戦闘に役に立たない代物。村の結界を通過する事が出来たようだから潜入系で相手の驚きが食事だった。

 水系の能力か? それとも毒系?

 どうにもピンとこない。

 そう思いながら近づくと迷宮種デリルインの姿が見えた。


「何だ? あれ? 貝……? 箱?」


 距離を詰めて見えてきたのは妙な刺々しい家みたいなのを背負った……軟体生物。

 ナメクジともアメフラシとも違う、けどそれに近い生き物だ。

 背中の貝が物騒なイモガイと形容するのが正しいかも知れない。

 その背中の貝部分なんだが石弓とか火炎放射器みたいな道具が顔を覗かせている。

 全長3メートルクラスのミニチュアというのは大きい要塞のような代物だ。


「キュルルルルルルゥウウウ!」


 っと甲高い声を上げて迷宮種デリルインはナメクジの角みたいな目で近づいて来たこちらへと顔を向けて声を上げた。


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― 新着の感想 ―
[一言] エミロヴィアは両生類っぽので酸や毒に弱そうと思っていましたが、耐性あるのですね。さすが迷宮種。
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