二百三十三話
おー……なんともいろんな能力がてんこ盛りって感じだ。
実に魔法系って所だし、ゲイザーってこんな感じなんだな。
魔眼に関しては……石化魔眼とかが使えるし、いろんな魔眼が出せる様になったのが分かる。
どこまでこの手の魔眼はあるんだろうなぁ。
しかも目が更によくなったのか見える代物が更に増えた。風の流れとかも見える……ちょっとダブって見えるのは乱視か?
いや、どうやら未来視って奴っぽい。
数秒先の動きを予測しているようだ。
ただ、これを使っていると頭がバグりそう。
石化魔眼はどういう原理で石化させるんだ? もしかしてムーイの能力みたいに物質に影響をさせて石化させるのだろうか?
って思ったので余り物の食材に石化を施してみる。
するとエミロヴィアに出して貰った果物には掛かっていない。
後で魔物相手に使った所、カチンカチンに硬直しただけで石化とはなんか違う。
魔力を込めるとそこから石の魔法で包む事が出来る様だ。
ふむ……石化魔眼とはこう言った代物か。
それと死の魔眼なんてのもあるようだ。
成功率はそこまで高く無いようだけど視線が合った相手の身体機能に干渉して生命活動を止める的な麻痺系の魔眼の上位だな。
魅了の魔眼もある。
こっちは言うまでも無く洗脳能力に至る奴だな。
俺としてはあんまり使いたい能力では無い。
魔眼系は相当増えたみたいだ。これで戦闘でのサポートは更に出来る様になったのは言うまでも無い。
魔物の解析速度も上がった。で、魔力飛行はそのまま魔力で移動する能力で羽は不要で飛べる。
ま、今の俺は部位変化で羽も出している。羽で風を掴めば速度があがるからなー。
魔導の極みは……どうやら使える魔法の種類が増えたし威力が上がった感じか。
問題は俺ってあんまり魔法は覚えてない所なんだけど……どうやらマジックシードで覚えた時みたいに簡易セットが内包されている様でそこそこの魔法が詳しく学ばなくても使える。
フィリンが得意としていたバーストサンダーレインも使えるぞ。
魔導防御は魔力に応じて防御力が上がる。
魔力消費の軽減も地味に助かる。
最近はそこまで困って無いけど魔法の発動回数が増えるのは素直に戦力強化だ。
エネルギーバーストってなんだろ? あ、使うと周囲に衝撃波を出せる感じか。地面が近いと魔力で噴火させれるっぽい。
耐性系もあって……結構強力だな。ムーイに寄生した際の焼き付きにも耐性が発動出来たら良い。
んで空間跳躍。
こう、文字通りで空間を飛べるなら便利だよな。何処まで飛べるかにもよるけどさ。
行った事のある場所に飛べるとかなら元の世界に帰れるし、そうでなくても安全な場所にすぐいける事になる。
なので早速実験だ。
空間跳躍を意識すると移動先の方角が脳裏に浮かぶ。
……2メートル範囲内?
発動させるとブゥンって音と共に瞬間移動した。
「ユキカズが一瞬で移動したぞ!」
「キュー」
「兄貴、凄い早いんだな! 早い……んだな?」
「お? 何やってんだ?」
「ゲイザーの空間跳躍を試してる」
「ああ、アレか。そういやゲイザーに進化とか言ってたな」
健人はどうやらゲイザーに出会った事があるっぽい。
何度かヒュンヒュンと瞬間移動をする。
どうやら移動の度にそこそこ魔力を使用するっぽい。
それと5回毎に再発動に時間が必要なようだ。
「うーん……戦闘には使えるけど拠点帰還は難しいか。一瞬で背後に回り込むとかには使えそうだな」
魔眼で視線を合わせるって意味でも使いやすくはある。
「後は検証として……」
近くにある岩に手が重なる範囲で空間跳躍をしようとしたのだけど弾かれて失敗してしまった。
「どうやら重なる場所には跳躍出来ないみたいだな」
「結構危ねえ実験してんな。一部がそげ落ちたらどうするんだお前」
「この程度なら治せば良いだけだろ」
「かー化け物ってのは痛いのを平気でやるもんだ」
「うるせー」
検証は大事だっての。
「じゃあユキカズの兄貴、オデがお腹を膨らませるから食べずにお腹の中に飛べるんだな?」
「そこも気になるか」
エミロヴィアが何度も頷いて居る。
それから空気を吸ってお腹を膨らませていたので空間跳躍を行ってみる。
のだけど……弾かれるな。
いや、無理矢理押し込めばいけそうな手応えはあったけど……やめておこう。
「出来ないっぽい」
「そうなんだな……ちょっと残念なんだな」
「なんで気になるんだ?」
「だってユキカズの兄貴を食べなくても寄生して貰えると思ったんだな。オデ、ユキカズの兄貴を食べたい訳じゃ無いんだな」
エミロヴィアはこの辺り良心的だよなー。
気にしなくても良いのにな。
「むー……」
で、ムーイはそんなエミロヴィアを羨ましそうに見てる。
「キュー」
ラウは目をキラキラさせている。
これは間違い無く僕も空間跳躍で移動してみたいって顔だ。
「ラウを持って空間跳躍して大丈夫だと思うか?」
「あー確かにヤバそうだな。こう、飛んだ瞬間分子に分解されて飛んだ先で合体してましたみたいな奴。ハエ男みてえに」
恐い話を健人がしやがるな。
「異世界召喚がまかり通るんだからその程度は問題無いと思うけどな」
「後はお前だけ飛ぶとかもあり得るぞ」
そっちもあり得るなー……一応検証は必要か。
エミロヴィアが出したスイートレッドベリィを持って空間跳躍をやってみる。
ヒュンっと特に問題無く使えた。
「大丈夫そうだ」
「そりゃ良かったな」
「きゅー!」
僕も僕もー! って両手を挙げてる。
はいはい。わかったよ。
ラウを持ってヒュンヒュンと何度も空間跳躍を行う。
ただー……うん。何度も使うと分かるけど魔力をそこそこ使用するな。
「キュー!」
ラウが大喜びで声を上げている。嬉しいようで何よりだが……普通に空を飛んで見せるだけでも嬉しそうだな。
「結構便利そうだぞ。オレも出来るのかー?」
「ちょっと待ってな。ヨイ……ショ」
ムーイに引っ付いて空間跳躍……重い!
シュン! っと飛ぶ事は出来たけど一回でクールタイムが必要になってしまった。
「おー! 凄い」
「けど連続跳躍は無理。どうやら飛ぶ動作みたいに重量制限があるっぽい」
「そうなのかーでも面白かったぞー」
リイとラウは軽いからどうにか出来るけどムーイとエミロヴィアは難しいだろうな。
「ブリンクとかテレポートって感じだな」
「あー……そうだな。連続使用はブリンクって認識で良いな」
ともかく、パワーアップだ。
そんで進化は70からね。随分と遠くなったもんだ。
Lv20になった時に習得する刻印付与がどんなものかを楽しみにするとして……よし。
「んじゃ進化と検証は完了したんでムーイ」
「なんだー?」
「ほれ、寄生の練習するぞ。ゲイザーになったしな」
「!?」
ムーイが耳が跳ね、驚きの表情で俺を見てる。
そりゃあ検証は必要だしどうにかしてやりたいだろ。
エミロヴィアは空気を読んで居るのか植物を生成して傷薬を作っているようだ。
「でもユキカズ耐えきれないんじゃないのか?」
「進化したから実験だ。そもそも耐えきれないのは事実だけどだからってやらないのもおかしいだろ。訓練と検証は大事だ。ムーイも俺にエネルギーを送りすぎないように調整してみてくれ」
俺とムーイがエネルギー循環した際に出力が大きすぎて俺が焼けてしまうのなら大丈夫な様に練習するのも手だろう。
一応俺は兵役経験者なんだぞ? 訓練は何より大事なのを知っている。
「だから、ほら開けろ」
寄生の練習をムーイと一緒に行う。
「ムーイも力の源に意識を集中して俺に送りすぎないようにしてみてくれ、それと出やすいように開けっぱなしで繋げるぞ」
「う、うん」
不機嫌でプリプリしながら散歩されてしまったからな。
ムーイは若干嬉しそうに頷いた。





