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二百三十二話


「うー……」


 で、ムーイが羨ましそうにエミロヴィアへと顔を向ける。


「お、オデが悪いんだな?」

「とんだ落とし穴だな。力があふれて雪一のキャパを超えたって事か」

「単純にカーラルジュ以外の力の源をムーイに渡してパワーアップはできると思うけど、俺が寄生したままじゃ無理だ」

「じゃあオレの力の源をエミロヴィアに貸す! だからユキカズ!」

「何言ってんだムーイ」


 やっとのこと返した心臓みたいなもんだぞ。

 そうホイホイ他人に渡して良いもんじゃないだろ。

 というか渡したらどんな不備が起こるか分かったもんじゃないだろ。

 本来は明け渡すとかそういった代物じゃない。

 命みたいなもんなんだから。


「や、やめてほしいんだな! オデ、貸されても困るんだな!」


 エミロヴィアだって困ってる。


「ちょっとおかしいぞムーイ。大丈夫か?」

「うう……ちょっとオレ、出かける!」


 ムーイは機嫌悪くズカズカと歩いて行ってしまった。


「あー……こりゃあ面倒なことになっちまったなー」

「オデの所為なんだな?」

「いんや、結果的に起こる出来事だったと思うぜ。ま、ちょっと早くなっちまったとは思うけどよ」

「ええっと……」

「キュ……」


 ラウはムーイの肩に乗ったままこっちを見つめていた。

 思い通りにいかずに機嫌が悪くなったというのは分かるけど、ムーイの珍しい態度に俺もどうしたら良いのかわからない。

 そもそもどうしてあんなに機嫌が悪くなったのか。

 エミロヴィアの事がそんなに気に食わないって事ではないのは俺だってわかる。

 あれだよな。エミロヴィアはできるのに自分にはできないって嫌だったんだろう。


「もっと俺が強くなってムーイに寄生しても大丈夫になるしかないよな」


 仲間外れの辛さだ。

 これは俺が弱い所為だ。となれば俺が強くなってムーイから流れる力に耐えきれればいい。

 これからの戦いで聖獣との戦いが控えている。

 迷宮種の力の源を集めて行けばムーイやエミロヴィアは強くなれるのだけど二人とも素直に力の源を受け取らないからなぁ……。

 俺が強くなって行かないと駄目なようだ。


「えー……そういう問題ではないかと」


 って言った所でなんかリイが頭を掻いた。

 どうしたら良いんだろ?

 なんて思ったらムーイがそのまま戻ってきたぞ。


「お?」

「ユキカズ、ケント、なんか村の入り口で人が来て大変だって言ってる」

「キュー」


 何かあったのか?

 という訳で喧嘩っぽい雰囲気は置いていく形で俺たちは緊急事態らしい話を聞きに行く。

 ザワザワと村の入り口で村人たちが集まっているようだった。


「一体どうした?」

「ああ、神獣様方、ちょうどよかったです。聖獣様への街道の隣町が……壊滅していたのを旅の者が報告してくれたんです」

「なんだって!?」

「また迷宮種か?」

「分かりません。跡形もなく消し飛ばされていたとの話で、その爪痕は首都の方へと続いていたと……」


 次から次へと問題が発生する。


「また迷宮種か」

「……」

「オデ……」


 ムーイとエミロヴィアが各々言葉に詰まる。


「様子を見に行く! そんなことをする奴を見過ごすなんてできないぞ!」


 で、ムーイが拳を握って言い切る。

 ああ、お前は良い人に育ってくれたもんな。


「ユキカズも行くよな」

「もちろん」


 本音で言えばもう少し強くなってから行きたかったけどゲイザーまであと少し、道中で進化出来るだろう。


「しょうがねえ。行くしかねえか」

「キュー」

「ええ」


 喧嘩になりそうな雰囲気はどこへやらと行った様子で俺たちは調査の為に出発することになったのだった。





 のしのしと巨大化したエミロヴィアにみんなして乗って移動して行く。

 大きなカエルの背中に乗っての移動。

 ピョンピョン跳ねている訳では無いぞ。

 巨大化の代償はどうやらエネルギー消費が大きいようだけど少なくとも俺が寄生していてエネルギー供給しているのでそこまで大きな問題にはなっていない。

 道中で出てくる魔物も速攻で仕留められる相手ならばみんなを乗せたまま攻撃が可能だ。

 ま、健人やリイは身のこなしが良いしムーイは言うまでも無い。


「乗り心地はクマの方が良いな」

「ご、ごめんなさいなんだな」

「エミロヴィア、健人の戯れ言は気にしなくて良いぞ」


 乗せているのに文句を言うとはこれ如何に。

 で、道中でターミナルポイントを発見したので昼食となってみんなで食事を取る事になった。

 今回は村で作って貰ったサンドイッチに近い食べ物をみんなで食べる。

 ムーイはスイートレッドベリィ味の飴玉とチョコレートを食べて貰った。


「……」


 ただ、ムーイは何やら考えて居るのか何時ものテンションは無く黙々と食べて居る。

 エミロヴィアは虫を集めようとしている所で俺を呼び止める。


「兄貴、オデお腹すいてないから大丈夫なんだな」

「だからって食わないのは体に良くないぞ」

「本当にお腹すいてないんだな。むしろ……その……なんて言ったら良いんだな?」


 エミロヴィアは健人に助けを求めるように顔を向けてもじもじしてる。

 健人は知らねえって感じで肩を上げてるぞ。

 まあ、健人が気を利かせるのはリイとかだからエミロヴィアは論外だろう。


「漲っててこれ以上食べるとお腹パンパンになっちゃうんだな」

「そうか?」


 確かにエミロヴィアの健康状態は良いと思うが……妙に艶があるし。

 ……俺が寄生する際の刺激でエミロヴィアの体が活性化してるのかね。

 昆虫に擬態する影響でエミロヴィアの体には色々と刺激しているのは否定しきれない。

 ……栄養が足りないとかの場合は俺から回せば良いか。

 後は……道中で戦闘した影響でLvが上昇した。

 ターミナルポイントで確認を行う。



 聖魔獣ラビュリントスイーター(幼体)(兎束雪一) Lv20 EVO・P 93682

 所持スキル 属性熱線 魔眼 収束魔眼 飛行 LDBBG 分析 分析力向上+++ W変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化拡張 再生(大) 寄生&分離 因子採取 毒使い 迷宮種・ムーフリスの因子 迷宮種・カーラルジュの因子 迷宮種・エミロヴィアの因子 迷宮種・ザヴィンの因子 世界の断片 神迷コア カーラルジュの呪い

 不変部位 上半身 聖魔幼獣の尻尾


 フローデスアイボール Lv50

 固有能力 熱線 魔眼 飛行 毒噛みつき 嗅覚向上 マジックターゲット 風読み

 Lv××になった時……


 進化条件 Lv


 人間 ×不可 ▽所持スキル


 分析▽


 変身▽


 部位▽


 やっとLv50達成だ。

 ここでゲイザーの項目を確認してみる。


 ◆ゲイザー 進化条件達成

 フライアイ系の特殊個体。視線を合わせる限り相手の魔法を封じる視線を所持する魔法殺しの目を持つ。短距離空間移動能力と無数の魔眼の使い手。魔力で浮遊するため、羽は退化している。

 進化条件……Lv50 年齢10歳以上 卓越した魔眼


 よし、魔物化してからの計算じゃなく俺の年齢計算で条件を満たせた。

 卓越した魔眼に関しちゃ色々と使えるのが大きいな。ギリギリ満たしたのか△っぽい。

 それでも良いんだよ。

 進化出来れば十分だ。

 どうにか貯めたLvで早速進化を選択する。その為にフローデスアイボールで上げて居たんで選ぶものは他に無い。

 ちなみにEVO・Pが前より減っているのはエミロヴィア用に昆虫系の変化を多く取得した影響だ。

 昆虫の羽も出せる様になったぞ。甲殻もな。

 って謎の脳内補足をしつつ俺の進化は完了した。


 ゲイザー Lv1

 固有能力 強化熱線 卓越した魔眼 魔力飛行 マジックターゲット 強化噛みつき 魔導の極み 魔導防御 魔力消費軽減 闇魔法強化 エネルギーバースト 空間跳躍 魔法耐性強化 全属性耐性

 Lv20になった時 刻印付与 


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