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二百二十一話




 とぼとぼと俺達は来た道を帰る。


「まー……なんて言うかよ。あれだけ酷い本性を見せつけられたってのにその相手を想ってるってのはどうなんだ?」

「そんな簡単に割り切れるもんじゃないって事だろ」


 ここでいきなり俺達に襲いかかって力の源を寄越せ、弱肉強食だ! とかなら獣のそれだが、エミロヴィアの反応は実に人に近い、故人を惜しんでいる。

 関係は既に破綻していたけれど、今までの事から割り切れない。

 俺が蘇生させる力を持っているけど、蘇生をしてくれという提案はしない。それだけ酷い事をフレーディンはしたというのは分かって居る。

 頭は吹っ飛んでるから蘇生できるか……? 力の源に記憶とか内包されていたらできてしまいそうな気もする。

 何にしてもエミロヴィアは色々な意味で優しい奴なんだろう。

 ムーイと同じくな。

 なんか見捨てる事ができないんだよ。俺はな。


「繊細とか吐き捨てるなよ。いきなり手の平返される奴だったらイヤだろ?」

「言わんとしてる事は分からなくもねえけどよ。雪一、責任はしっかりと取れよ」

「わかってるって」


 後でちゃんとしないとな。

 迷宮種ってのはこの世界じゃ災害だと認識されている化け物。

 放置しても良いわけじゃ無い。

 ムーイが特別温和で俺に協力してくれているだけなんだし。


「むー……」

「どうしたムーイ?」


 なんかムーイが唸ってる。


「わかんない。わかんないけどモヤモヤするんだぞ」

「まあ……あんまり後味良く無いし、辛気くさい事になってるからなームーイは嫌な奴を倒したって思えば良い」


 エミロヴィアにはもう聞こえないから配慮はしなくて良いだろう。


「ところでムーイ」

「なんだ?」

「どうして力の源を要らないって言うんだ?」


 これだけあればかなりのパワーアップになるだろう。

 今は俺が体の中に保管してザヴィンを動かすエネルギーにしてるけどな。

 結構な出力が出せるのが分かる。

 マンイータージャイアントグリズリーの体よりも凄い力がな。

 つーか……魔眼のチャージが貯まりそうなんでザヴィンに流しっぱなしだ。

 ザヴィンの体が膨れて居るのも間違い無く発生したエネルギーの所為だろう。

 ただ……なんだろうか。思ったよりも出力は出てないか?

 単純な計算だとムーイを超えそうな気がする。

 で、この力の源をムーイに使って貰えばムーイの強化になる。


「ラウを人質にした奴が持ってた力なんて要らない。汚れる!」

「汚れるって……」


 妙な潔癖精神をムーイは覚えてしまったようだ。

 そりゃあイヤかも知れないけどさー。


「それを言ったらカーラルジュを取り込んでる俺はどうなんだよ」


 手段を選ばずに苗床にして取り込んだ俺は汚物となってしまうぞ。

 カーラルジュも卑怯な事ばかり考えてる奴だった訳だし。


「ユキカズはユキカズだから良いの!」

「なんだよそれ」

「汚い所はお前に全部持って貰えば良いって事だろうよ」


 健人がなんかぶちかましてる。

 うるさいなー。


「今は俺が預かってるけどこの先強くなるのに必要なんだからな」

「うー……」


 納得しないか、ムーイも頑固な所があるんだな。

 いずれはムーイに受け取って貰う事になるだろうと思いつつ、俺達は村へと戻ったのだった。




 村に戻り、俺達は迷宮種を倒した事を村の代表達に話をしておいた。

 手土産にザヴィンの体も確認したな。

 ズルッと繋げていた触手を引き抜いて、ザヴィンを死体に戻す。

 マンイータージャイアントグリズリーは頭の意識部分を破壊してるだけで体は生きてるから待機状態にさせれるけどザヴィンの場合は心臓は俺が所持している状態。

 移植したら蘇生して暴れかねないし、頭を破壊したとしても迷宮種だからどうなるか未知数だ。


 ……俺自身の洗脳能力を上げた方がこういう時に便利なのかね。

 ザヴィンを意のままに分離してても操るって感じで。

 ただそれだけは踏み越えてはいけない気がする。例え、マンイータージャイアントグリズリーみたいにしたとしても。

 いまさらだけど境界線は引いているつもりだ。


「さて……と」


 報告を終えてザヴィンの死体を村へと運び込んでおく。

 村の者たちも俺が操作する事ができるのでザヴィンをバラすか各々悩んでいる様子だ。

 正直俺も困ってる。今後俺はザヴィンの死体を操作して戦う事になりそうだからってのが大きい。


「んじゃよ雪一。練習って事でそいつをいじり回すのか? いや、進化の苗床だな?」

「健人、お前はもっと言葉を選ぼうな?」


 カーラルジュの時とは違うだろ。

 そういや……進化はしてないな。

 確認したらLvは……進化する程は上がってない。

 フレーデインを倒した時に経験値はそこそこ入ったけどな。

 そもそもの話として、進化する度に迷宮種を取り込むのか?



 聖魔獣ラビュリントスイーター(幼体)(兎束雪一) Lv18 EVO・P 133698

 所持スキル 属性熱線 魔眼 収束魔眼 飛行 LDBBG 分析 分析力向上+++ W変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化拡張 再生(大) 寄生&分離 因子採取 毒使い 迷宮種・ムーフリスの因子 迷宮種・カーラルジュの因子 迷宮種・エミロヴィアの因子 迷宮種・ザヴィンの因子 世界の断片 神迷コア カーラルジュの呪い

 不変部位 上半身 聖魔幼獣の尻尾


 フローデスアイボール Lv38

 固有能力 熱線 魔眼 飛行 毒噛みつき 嗅覚向上 マジックターゲット 風読み

 Lv××になった時……


 進化条件 ▽


 人間 ×不可 ▽所持スキル


 分析▽


 変身▽


 部位▽



 そういえばフローデスアイ姿をセットしてたんだった。

 フレーディンに姿を変えられそうになった所で戻した姿がこれか。

 マスコット姿のバランスはフライアイ系が良かったからなぁ。

 上半身が可愛くても下半身がタコとかだったら気色悪いもんな。

 常時そんな姿で居るのはよくない。異形の化け物であっても限度はある。


 それにしても……因子が増えてる。

 この因子って何なんだろう? 何かに使えるのか?

 というか……フローデスアイから先に進化させるとして……フローデットリーアイは既に解析済みなんで進化はしなくて良いな。

 GLブレッシングフローアイも解析してるはずなんだけど……変化項目にない?


 妙だな?

 というか本体と変身時のLv差が開いてしまった。

 これはどういうことかと考えると聖魔獣ラビュリントスイーターのLvアップ必要経験値が高いんだろうって事くらいは分かる。

 そもそもの話として聖魔獣ラビュリントスイーターってどうやって進化するんだ?


 まあ……解析した魔物に化けていけば良いんで気にしなくても良いんだけどな。

 不変部位が邪魔と言えば邪魔だな。

 カーラルジュめ、こんな所でも俺を邪魔しやがって。

 因子が増えた所を確認するに寄生すると増えるっぽい。


「はいはい」


 選んだ進化故に覚悟はしてたけどイヤだなぁ。

 できればザヴィンの体をパラサイトの進化の苗床にする方法は最後にしたい。


「ユキカズ、そんなにイヤならオレに寄生するかー?」


 だからどうしてムーイはそんなに寄生を提案してくるんだよ。

 まあ、戦いの申し子として一番強くなれる方法って感じ取ってるのかもしれないけどさ。

 そりゃあ今持ってる力の源を一箇所に集約できるもんな。

 失ったと思われたカーラルジュの力の源も俺の中で機能してて迷宮種に寄生すると発動するならムーイにも発動するだろうし、フレーディンの所持して居た力の源とかも同様にあるわけだし。

 そういやザヴィンの力の源とかってどんな能力があるんだろう?


 ……俺だけだと分からないな。

 相手の能力を使うことができるみたいだけど……俺の場合は完全に取り込んだカーラルジュの力を一部再現できるに過ぎないか。

 うーん……フローデスアイから先の進化はあるけどLv50を超えさせてゲイザーに進化させるか。

 特殊進化だけど魔眼のバリエーションが豊富なのが分かる。

 戦闘貢献で考えたらこれが無難だな。


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