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二百一話


 空から周囲を見渡す。

 トライデントロックバードという……10メートルクラスの大型の鳥型の魔物が視界に入り、あちらもこっちを認識して居る様だ。

 視界のアイコンは……危険と判断出来ずに%が徐々に上がってきてるな。

 ヴァイワイバーンよりは下位の魔物だったっけ?

 あんな魔物、兵役時代の座学じゃ知らないな。

 解析が済んだとして部位変化したら俺の体はどうなるんだ?


 ……まあ、解析している事が大事か。

 このまま上に飛んで来たら狙ってきそう。


「さて……特によく考えず下半身はフライアイボールにしてたけどもっとステータスの高い姿にすべきだよな」


 と、ここで空中戦に適した姿を考える。

 ……ムーイに色々と変身のために進化させて貰ったけどどれも空中に適した進化はないか。

 精々リトルフローデスアイボールとかその辺りだ。

 それもそこまで強力な魔物かというと微妙だし、ムーイの肩に止まっていた程度の小型な感じだったっけ。

 あ、なんか変身すると変化不可部位の影響かフローデスアイになるのが分かる。

 この辺りはボーナス的な認識で良いか。

 ただ……それでも雑魚魔物な訳で心許ない。

 俺の本体部分となっている聖魔獣ラビュリントスイーターの部分で勝負するのが良いか。

 分析の範囲だとトライデントロックバードはそこまで強力に感じない。


「ケェエエエエエエエ!」


 あ、こっちを認識したのか空高く旋回して突撃体勢でこっちに突っ込んで来る。

 俺は合わせてフローデスアイに下半身を変えたのち、腹の部分を目を見開いて溜まった力で熱線を放つ前に動きを鈍らせる為に魔眼を使う。


「ケェエエエ――!?」


 ビクン!? っと魔眼が掛かったらしくトライデントロックバードが頭をぐねぐね動かして大きく突進の軌道が逸れる。

 同時に鈍足の魔眼も掛かったようで動きが鈍重化した。

 よし! これなら溜まった力をぶちかませる!


「喰らえ!」


 ゴゴゴゴ……と、周囲の空気が振動する音が響きながら俺の腹の目から極太の熱線が放たれた。


「ケェ!? エエエエエ――あああああああああ」


 カッとバチバチと高密度で稲妻を宿した熱線がトライデントロックバードに命中して焼き焦がして行く。

 んー……なんか昔見たロボットアニメの大型ビーム砲をなぎ払い射撃して居る様な感覚な気がするけど……目が痛い!

 超痛い! 焼ける! 撃っている俺の目の方が焼ける! クソ痛い!

 いたたたたた!

 と、悶絶しながら熱線を途中で中断して腹の目を閉じる。

 うう……所持スキルにある再生が効果を発揮しているのかじわりじわりと傷が修復する嫌な感覚が目の内側から感じる。

 で、件のトライデントロックバードは俺の熱線を喰らってそのまま墜落して行く。


「どうだ!」


 さすがにコレで倒せるとは思わないが……二射目を放つにはエネルギーが溜まって無いから近づいて空中戦をするのが良いな。


「ゼェ……ゼェ……」


 思わぬ攻撃を受けたとばかりにトライデントロックバードは大きく羽ばたいて体勢を立て直す。

全身の羽毛が焼け焦げてかなりボロボロだ。


「遅い!」


 バァ! っと俺は翼を広げてトライデントロックバードの懐に突撃して尻尾で叩きつけてから巻き付け、そのまま地面に錐揉み落下を行う。

 場所はムーイ達から少し離れた所、地面に叩きつければムーイ達も追撃がしやすくなる。


「ケエエエ!」


 風切り音が響いてトライデントロックバードが風の魔法で俺を斬りつけようとしてきたけれど、俺の毛皮が風の魔法を弾いた。

 どうやら体は大きいけど強さはそこまでない魔物だったみたいだ。


「これで! 終わりだ!」


 ドスン! っとそのまま俺はトライデントロックバードを地面に叩き付ける。

 まだ戦えるようだったらムーイ達に追撃をして貰えば良いと、ムーイ達に視線を向けつつ様子を伺っていると……スッと俺の体に経験値が流れ込んで来る感覚が来た。

 どうやら倒す事が出来たっぽいな。


「高く飛び上がったかと思ったらいきなり降ってきやがったな」

「ユキカズ、空で戦ってるの見えたぞー」

「なぎ払っていましたね」

「ッキュー!」


 ムーイ達が駆け寄ってきて、倒したトライデントロックバードを見て各々感想を述べる。

 熱線でなぎ払った跡が……ちょっと草原を焼き焦がしてしまった。


「トライデントロックバードか……仕留めるのに手こずる魔物だってのにあっさりやりやがったな」

「そこまで強力か? 熱線と叩きつけで仕留められたぞ。魔眼もあっさり掛かったし」

「少なくとも竜騎兵とかが必要な魔物なんだがな……」


 ボリボリと健人が倒したトライデントロックバードを見ながら頭を搔いている。

 手応え的にはカーラルジュほどじゃないけど、そこそこ強い魔物って事なのか?

 どうにもまだ俺がどれくらいの力が得られたのか判断出来ないな。

 指標としては今まで戦った事のある魔物なんかで計るのが一番楽か?

 ちょっと前の場所で戦った方がわかりやすかったかな……。

 で、解析だけど僅かな交戦で78%まで解析が進んだ。

 うん。感覚的には雑魚って所だな。

 って判断してるところで敵影が視界に表示される。


「クリムレッドオルトロスの群れが近づいてきてるな」


 オルトロス……大遠征で事件に巻き込まれた際の事を思い出すなぁ。

 大型の双頭犬が俺の倒したトライデントロックバードを目指して駆けて来る。


「ん? ああ、なんか匂うな。この獲物の肉目当てに来たか。大型魔物がこの辺りまで来るか? ちょっとおかしいな? リイ、ラウをちゃんと抱きかかえて俺達から離れるんじゃねえぞ」

「ええ。こっちだって命を賭けてこの子を守って逃げ切って見せるわ」


 リイも武芸の心得があるようでラウを抱えて守りに入る。


「敵が来るんだなー! オレもやるぞー!」


 ムーイも拳を握りつつ、竜騎兵用の剣を掲げて言い放つ。

 まだ目の奥がじんじん痛むけど……何処まで戦えるか試さなきゃな。

 と、俺は幻影魔眼を展開してこっちに来るオルトロス共を睨む。


「ヴウウウウウ……ううう!?」

「ガアアア!」

「ガウ! ガアアアア!」


 お? 魔眼の効きが異様に良いな。オルトロス共が目を回して味方に噛みつき始めたぞ。

 共倒れをし始めた。


「おーし! 行くぞー!」


 ダッとムーイが力強く地面を蹴って突進しながら竜騎兵用の剣を振り下ろす。

 ズバァ! っと血しぶきを上げて先頭にいたクリムレッドオルトロスの片方の頭が切り飛ばされて鮮血が飛び散る。


「おおおおおおお!」


 流れるように剣で力任せに横に切り片足を切り落とし、千切っては投げとばかりにムーイは接近戦をする。


「おーすげーすげー、鬼神の如くとはこのことだなー。俺もやらせて貰うか」


 健人も槍を持って素早く突進して的確にクリムレッドオルトロスの心臓を突き刺した。

 無駄のない攻撃だ。


「俺もやるぞ!」


 今度は防御低下の魔眼を展開しながら猛毒溶解液を生成してクリムレッドオルトロスに吹き付ける。


「ギャン!? ギャアアアア!?」


 俺の毒液を吹き付けられてクリムレッドオルトロスが悶絶し始める。

 まだまだ! っと俺は続けざまに隙を見せるクリムレッドオルトロスに蹴りを加える。

 ゴキッと嫌な手応えがして首をへし折る事が出来た。

 これは……もしや? なんとなくだけどムーイほどじゃないけど聖魔獣ラビュリントスイーターって相当強いんじゃなかろうか?

 だってクリムレッドオルトロスってウォーターグリーンオルトロスの亜種な魔物だぞ?

 それをあっさりとナンバースキル無しで倒せるって中々なもんだぞ。

 倒す毎にかなりの経験値が体に流れ込んでいる。

 って……。


「リイ! ラウが経験値汚染されてないか注意して!」

「そこは安心を!」

「キュウウウウ!」


 リイがその場から大分離れてクリムレッドオルトロスを倒した際に溢れる経験値をラウへ流れすぎない様に調整してくれているようだ。

 良かった。


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