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百九十三話

「カー……んむ」

「キュウー!」


 就寝を終えた健やかな寝起きの感覚に何度も瞬きしながら欠伸をしながら背伸びをする。


「ふわぁあああ……」


 何か寝起き一番にラウらしき声が聞こえたぞ。

 と、思いながら声の方を見るとラウが俺の頭に引っ付いた状態で俺が起きた事を喜ぶように笑顔を向けて居た。


「ラウ……おはよう」

「ンキュ!」


 ボリボリと体を搔きながらラウから視線を外して周囲を見渡す。

 するとオウルエンスの村の……大きな水晶があるターミナルポイント前に謎の祭壇というか屋根のついた建物だった。

 で……俺が丁度寝転がれる籠みたいな容器に柔らかい綿っぽい物を入れてそこに俺の現在の体毛に似た色合いの毛皮が敷かれていて、その中で寝かされていたようだ。


「おお……神獣様がお目覚めに成られた!」


 そして俺が起きた事で……なんか祭壇前で祈って居たオウルエンスの村人が声を出して手を合せる。

 ぞろぞろと増えてくる祈っている連中……本当、丁寧に扱ってくれるのはありがたいけど恥ずかしいな。


「おっす、おそよう」


 村の広場の方から健人が起き上がった俺に片手を上げて近づいて来る。


「おはよう」

「キュ!」


 頭に引っ付くラウを俺自身でも小さいと思う手で抱きかかえようとして……届かないので尻尾を巻き付けて腕の所まで降ろして抱きかかえる。


「なんだこの状態……幾ら祈られるったって、これはどうなんだ?」

「そうは言ってもお前、そこに寝かされてずーっとこの社を組み立てられている間も寝てたじゃねえか」


 ずっと寝てた? 俺そんなに寝てたのか? というかここまで色々と作るって凄いな。

 とりあえず立ち上がって今まで俺が寝ていた場所を確認する。

 ……俺が寝ていた敷物、良く確認するとカーラルジュの毛皮じゃねえか! ご丁寧に頭の皮まで剥がされてる。完全に仕留めた猛獣で作った敷物だ。

 カーラルジュもこうなったらおしまいだな。

 完全に仕留めたって確信が出来る物的証拠だぞ。


「寝てたって言ってもそんなに寝てないだろ」

「いーや? あれから一週間程ずーっと寝てたぞ? な? ラウ?」

「キュウアア!」

「……マジ?」

「マジ」


 一週間も俺寝てたのか!? 寝過ぎだろ! とんでもない寝坊をしちまったような気がする。


「ムーイはどうなった!?」

「どうもこうも起きないお前を随分と心配してたけど、マジで寝てるだけだから待つしか無かっただろ。一応目覚めさせるように色々とやったけどな。今は村の補修の手伝いをしてる。お前が起きたのを聞きつけて来るだろ」


 っと健人と話をしているとムーイが走ってやってきた。


「あ、ユキカズ起きた! 全然起きなくて心配したぞ!」

「心配ばかりしてるな」


 少なくとも俺の記憶だとムーイが立て続けに心配している姿が続いている。

 眠りってこう……シーンが飛ぶよな。


「何はともあれ眠気もスッキリだ」


 倦怠感も吹っ飛んで体に力が漲るような気もする。


「というかこんな吹きっ晒しな所に収めなくても良かったんじゃ無いのか?」

「そうは言ってもお前……寝相が随分とな」

「げ? そんな悪かったか?」

「そりゃあ。ゴロゴロ転がる程度なら良いけど日に数回腹の目を見開いて極太ビームをぶっ放すから大変だったぞ」


 ……腹の目ってのは俺の一番大きな本体の目の事を言っているのか?

 ちなみに今の体だと上に二つの普通の目が付いてて、その下に口がある。

 なんて言うか……フライアイボールとは円形体型だけど色々と違うんだよな。

 一頭身のマスコットみたいなのではないだろうか?

 振り返ってターミナルポイントに鎮座してある大きな水晶を鏡代わりに確認する。

 卵形体型で尖った耳が生えていて、手がオマケみたいにちょこんと生えている。

 足は……うん、大きめだけど下に冗談みたいに生えてるみたいな感じであって……構造は分からないけど一頭身のマスコットと形容するのが一番近いだろう。

 携帯獣とか、ピンクの悪魔とかのそれをもう少し卵体系にした感じで。

 目は二つ上にあってその下動物っぽいかわいい系の口、お腹周りには動物っぽい白い部分で……腹の目の部分を開く。

 普通に開けるな……こっちの目を開くと不気味さが増す。

 尻尾はカーラルジュみたいな感じのキツネっぽい尻尾で二本。ふわふわで大きい。

 羽……と思って意識すると手じゃなく背中に羽が生えて浮かび上がる。

 ……うんやっぱり、どこのマスコットだろうか? 俺。

 背は……健人の身長を人間だと仮定するとオーク姿のブルより少し低いくらいか?


「極太ビーム……」


 必殺のチャージ熱線か? と、思った所で何か……体の奥から力が溢れて来るような感覚がする。


「う……」


 バチバチと体から魔力が溢れ出してくる。

 お、抑えていられない!


「ターミナルに流し込めよ。そっちに力が流れるようにして無駄撃ちしないようにするのに苦労したんだからな」


 言われてターミナルポイントの……なんか用意された穴みたいな所に意識すると俺の体から溢れたエネルギーが流し込まれ、大きな水晶が赤く大きく輝き始めた。

 ガキン! って音がして村の周囲を展開する防壁が光る。


「ふう……」


 と、体から溢れる謎のエネルギーが放出されて熱が引いていく感覚を覚える。


「控えめに言ってなんだこれ」

「わかんない」

「俺達が知るかよ。お前の体だろ」


 本当、一体どうなってんだ俺の体?

 とりあえず確認するか。



 聖魔獣ラビュリントスイーター(幼体)(兎束雪一) Lv3 EVO・P 73698

 所持スキル 属性熱線 魔眼 収束魔眼 飛行 LDBBG 分析 分析力向上+++ W変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化拡張 再生(大) 寄生&分離 因子採取 毒使い 迷宮種・ムーフリスの因子 迷宮種・カーラルジュの因子 世界の断片 神迷コア カーラルジュの呪い

 不変部位 上半身 聖魔幼獣の尻尾



 なんか色々と所持スキル部分が変化してる……のと同時にもう一つ変化の項目がある?

 色々と据え置きだったりするのがあるけどLDBBG……神獣として誰かを選ぶことが出来るスキルが正体を現した感じで進化したんだったな。

 変身……一度進化した姿に戻れるスキルがWって付いてる。

 で……毒液が毒使いに変化してて寄生&分離が所持スキルに移動してる。

 カーラルジュの因子とムーイが所持してた世界の断片……それと謎の神迷コアってスキルが増えてる。

 ついでにカーラルジュの呪いってのがスキルにある……なんか文字が赤いぞ。それに釣られて不変部位が赤くなってる。



 肉体

 フライアイボール・ソルジャー Lv1

 Lv××になった時……

 進化条件 Lv10

 人間 ×不可 ▽所持スキル

 分析▽

 変身▽

 部位▽



 ……これって初期の俺の体だよな?

 単純なゲーム的な能力値を確認するとギガパラサイトだった時よりも高まっているんだが……。

 こう……ちょっとよく分からん所が変化項目で今まで進化した事のある姿への変化を意識する。

 アイ・リトルオクトクラーケン辺りが良いか。

 変化がわかりやすいだろう。

 そう思って変化すると……ズモモっと下半身がアイ・リトルオクトクラーケンへと変化したぞ。

 足というか手が大量のタコっぽい姿にな。ただ、頭というか上半身と尻尾の部分が変化出来ない。

 カーラルジュの呪いか? それとも別枠になった体の所為か?



 アイ・リトルオクトクラーケン・ソルジャー Lv1

 固有能力 吸盤 鑑定精度向上 水中呼吸 擬態 墨吐き 潜水 念動力(弱)

 Lv××になった時……

 進化条件 Lv23

 人間 ×不可 ▽所持スキル

 分析▽

 変身▽

 部位▽



「うお……化け物」

「わかってるけど傷つくな、コラ」


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― 新着の感想 ―
[良い点] 何気に菓子職人。 [気になる点] 主人公のアイデンティティは姿より、菓子職人だよね? [一言] 目玉の魔物になった時点で、戸惑ってしまったが。 ムーイとの出会いの辺りでテンションが再UPし…
[一言] ワドルドゥかな?
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