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百六十二話


「ああ、前に解体して魔石を取った事あったよな? ビリジアンワイルドタイガーなら魔石を所持しているはずだから取ってくれ」

「あれからも取るんだな。わかったー」


 俺の指示を素直に聞いてムーイはビリジアンワイルドタイガーの魔石を取り出したので血が付いているけどそのまま頂いた。


「ありがとうな」


 ……うん。負荷からある程度回復出来た。

 これからこの状態で過ごさないといけないと思うと頭が痛いけど、やらないとムーイが死んでしまうからやるしかない。

 俺がムーイを生かし続けて力になるんだ。

 後悔をしないために……俺自身のエゴであるのは十分承知だ。


「当然だから気にしなくていいぞユキカズ。ユキカズが辛くないようにするには無茶しない方が良いよな?」

「無茶のし過ぎはいけないけど警戒し過ぎて雑魚ばかり相手をしていたら何時まで経ってもムーイの力の源を取り返せない。ある程度は無茶をしていくぞ」

「そっか、わかったぞユキカズ!」


 と言う訳でターミナルポイントに到着したので急いでステータス確認をした。



 パラサイト(兎束雪一) Lv33 EVO・P 18369

 所持スキル 属性熱線 魔眼 飛行 LGB 分析 分析力向上+ 変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化項目拡張 接続再生(弱) 毒液 迷宮種・ムーフリスの因子

 固有能力 寄生 同化&分離 宿主経験値強奪 魔力吸引 生命力吸収 肉体干渉

 Lv?になった時……

 進化条件 Lv23

 人間 ×不可 ▽所持スキル

 分析▽

 変身▽


 肉体

 体 パラサイト

 手 パラサイト

 宿主 迷宮種ムーフリス 瀕死



 おう……物の見事にムーイに寄生しているのがステータスに出ているなぁ。EVO・Pも随分と増えたもんだ。

 であると同時に進化してムーイに取りついただけだってのにLvが随分と高い。

 これは死にゆくムーイから得られた経験値がそれだけ高かったって事で片付けるとしよう。

 変化項目拡張に宿主ってのも追加されてる。おそらく宿主に干渉する能力なんだろうなー。

 接続再生ってのが新しく所持したスキルっぽいけど……なんだろう? それと毒液……ね。

 ますます邪悪な魔物化が進んでしまったような気がしてならない。

 あ、毒液に内包されているスキル内で強酸とかも使えるっぽい。習得したって事なんだろうけどさ。

 他にムーイの因子……か。まあ宿主にしているんだから当然か。

 あとは固有能力は……まあ、まさに寄生を意味するパラサイトって感じだ。

 寄生って能力で寄生してて同化……うん。ムーイの力の源、心臓部として俺は居るから文字通り同化してる。

 ムーイのステータスとか確認できないか?

 そう思って宿主の項目を確認すると……瀕死なのはわかってる。力の源を失ってんだから。

 ……今、俺がムーイだと思っているムーイは、俺の記憶の中にあるムーイで本当のムーイは死んでいる……なんて事ではないと思いたい。


 宿主 迷宮種ムーフリス Lv?

 所持スキル ミダスの手 ??? 剛力 頑丈 言語理解 ??? ??? ??? ??? ???……



 って所までしか確認できず他は???って感じでよくわからない。

 俺自身の能力の低さの所為って事なのかもしれない。 


「ムーイ。お前の所持スキルってミダスの手って言うのがあるんだな」

「ん? そうなのか?」


 ムーイが自身を知らないのかターミナルの力でもムーイが認識できるように出来ていないのかよくわからないな。

 ただ、ミダスの手ってなんか聞いた覚えのある気がする。

 もしかして俺にわかるように翻訳した物か?

 ミダス……ミダス……なんか聞いたような……。

 おそらくムーイの特徴として一番に来る能力なんだってのはわかる。

 ムーイの特徴は? マシュマロっぽい体つきで頑丈で怪力。スライムっぽい感じだけどもっとがっしりした感じだな。

 けどこれだけではなくもっと別の……そう、物を変化させる能力がムーイの特徴と言っても過言じゃない。

 これで俺が分かるようにターミナルがムーイの能力にミダスの手と名付けているとしたら。

 何処かのおとぎ話で物を変化させる手……ああ、黄金に変える手を貰ったって王様だったかの話を子供の頃に聞いたような気がする。

 この王様は黄金が好きだったから触った物が金になった訳だけど、食べ物も金に変わって食べれなくなるから最終的に手放したとかだったはず。

 この王様の名前がミダスって言うんじゃないか?

 で、ムーイは欲する知った物を変化させる能力なんだから……おそらくミダスの手と名付けられたんだろう。

 後は……うん。ムーイの体の性能を俺は全然引き出しきれていない。寄生虫が宿主が死にかけているので必死に生かそうと調整しているって感じだ。 

 現在、何が出来るかの確認をもう少ししてみよう。

 まずは変化項目拡張で宿主のムーイに俺がこれ以上何が出来るか。

 ムーイの体を意識して……手を試しに変化するように意識。スラッシュウォークアイにしてみる。

 あ、変化させるのは本来徐々に変えるんだけどムーイの体の場合はすぐに変化が起こるっぽい。

 ちょっと俺自身の能力とは違うのがわかるぞ。


「お! ユキカズ! オレの手が変わったぞー!」


 ムーイも体の変化を察したのか声を上げる。

 確認するとムーイの手が俺のスラッシュウォークアイのカマみたいな手に変わっていた。


「俺の能力でムーイの体を弄れるみたいだから少しやってみた。悪い」

「ううん。オレ、やり方わかってなかった。こうやるのかー」


 サッとムーイは……俺が弄った訳でも無いのに手を元に戻したり、ハンマーに変えたりし始める。

 ……おい。デフォルトでムーイの奴出来るのかよ。

 そりゃあ出来るよな。腕とか伸びたりしてたし。

 むしろムーイ自身が自分の体の事をよくわかってなかったって事で良いのかもしれない。

 ただ、もともとは力の源がこの辺りの調整をしてくれたのか、肉体操作の信号が俺に流れ込んでくる。

 結果、俺もムーイの体の変化させる方法が伝わってくるわけで。


「スラッシュウォークアイの手の切れ味はどんなもんなんだろうな?」

「力入れて大丈夫なのか?」

「実験なんだ。やってみてくれ」

「わかったー」


 って事でムーイは手をスラッシュウォークアイに変えて近くの草むらに振りかぶる。

 スパっ! っとあっさりと草を切ることができた。

 続いて木に向けて切りつけるとこれもあっさり切れる。

 俺よりも力が強いし頑丈なムーイの体だからな……ただ、何度も使っていると形状を再度意識しないといけなくなる。

 武器を持って使う方が有意義な時があるかもしれないけど手立てがあるって事は覚えて置こう。


「この調子なら……ムーイの皮膚をシザークラブに……」


 バッとムーイの体が硬質化してカニの甲羅の鎧と化した。


「おー! ユキカズ! なんかすごいぞー!」


 ムーイの体は俺の干渉を柔軟に対応してくれるようだ。

 タダでさえ頑丈なムーイの体にカニの甲羅の鎧が必要かは……より強固になるんだと思いたい。


「出来る事の確認はある程度出来たぞ。後は……進化か」

「ユキカズ、また姿変わるのか?」

「どう進化するかにもよる」


 現状、ムーイに寄生している俺が下手な進化をした際、ムーイを生かし続けられるかわからない。

 進化は基本的にパワーアップする訳だからLvが1になってもムーイの生命維持は……出来るだろうけど……下手に分離をしたらムーイの生命維持ができない。

 進化してパラサイトのLv1に戻ったらムーイの生命維持は出来る自信がないなぁ。

 できれば寄生系統の上位種への進化が出来たら望ましいのか?


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イラストの説明
― 新着の感想 ―
[一言] なんとなく、ヤドンとくっついてるシェルダーっぽい気がしてきた 進化次第でヤドランかヤドキングかガラル仕様になる感じ、パルシェンになったらアウト 元はコイルみたいだったのに
[一言] ミダスとかいうアポロンが珍しく人に過ちを気付かせる珍しい神話
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