百五十六話
シザークラブ・アイ・ソルジャー(兎束雪一) Lv1 EVO・P 4369
所持スキル 属性熱線 魔眼 飛行 LGB 分析 分析力向上+ 変身 熱線威力アップ 飛行速度向上 配下視界共有 変化項目拡張
固有能力 甲羅 切断強化 噛みつき強化 横軸高速移動 鉄壁防御 水中呼吸 潜水 潜る
Lv5になった時……防御アップ
進化条件 Lv20
人間 ×不可 ▽所持スキル
分析▽
変身▽
肉体
体 シザークラブ・アイ
手 シザークラブ・アイ
足 シザークラブ・アイ
あ、ジャイアントクラブの分析で変化出来るパーツの方が守備力や総合的な性能が上がるっぽい。
消費EVO・Pが1000も使うけどどうしたもんか。
ただ、見た感じ防御能力はかなり高めだなぁ。
これがスラッシュウォークアイの進化先か……なんていうか甲殻とか昆虫系への進化で良いのかな?
まあバリエーションを持っていけば良いって思うことにして何が出来るか調査をしよう。
ハサミで……あ、思ったより器用に物は掴める。結構力が入れられるのでスラッシュウォークアイより力が出るのは間違いない。
リトルオクトクラーケンとは別ベクトルの掴み方と言うべきか。
でハサミで強く握れば切断と……噛みつきって……と思って色々と確認した所、まぶたな外殻部分で相手に噛みつく感じなようだ。
しかも口がまぶたの中に入ってて……目の下を通るという非常にコメントに困る体の形をしている。
自分が口に含んだものが目で見えるって感じだなぁ。少なくともこの姿では飯は食いたくない。
「ユキカズ、カチカチだなー」
「殴るなよ。たぶんお前が殴ったらあっさりと割れるぞ」
ジャイアントクラブを毎回割りまくっているムーイの腕力の前に俺の甲羅など卵の殻も同然だ。
耐えられないのが俺にはわかる。
「うん。殴らないー」
兵役時には筋肉の硬さ自慢とか体育会系な所でのやり取りを経験したし、ブルが筋肉を盛り上げている所で軽く突きあったりしたけど、ムーイでそれをしたら俺が死ぬ。
なので絶対に避けねばいけない。
鉄壁防御は……あー、なるほどハサミを盾にする感じで顔の前で交差させて防御態勢に入る感じね。
この体勢だと魔力が体を循環して魔眼から障壁が精製される。
防御系の魔眼な訳ね……進化することで障壁魔眼が強化されたっぽい。
「後はこっちも水中での活動が出来るようになったわけだけど……」
川に潜って色々と調査か?
釣りするより魚の入手とかは簡単そうだけど、あの川地味に深いし魔物が潜んでいるんだけど大丈夫だろうか?
ちなみにムーイは風呂位は平気だけど水に深く潜れない。深く潜ろうとすると体が水より軽いのか浮かんでしまうのだ。溺れないのは逆にすごいか。
どちらにしてもムーイは水中に入れないので川に潜る場合は空を飛ぶのと同じくムーイの力を頼らずに行かねばいけないって事だ。
まあ……意味もなく川に潜る必要はないんだけどさ。
水中での呼吸ができるってある意味便利なのか?
で……潜るともう一つあるのだけどこれは地面が柔らかいと地面に潜ることができるみたいだなぁ。
ハサミを地面に入れて動かしたらズブッ……と驚くくらい簡単に入れる。
潜伏して危険な相手をやり過ごすときとかに使ったら良さそうな固有能力だ。
それと砂地に紛れ込んでいる品とかを掘り出すのに便利そう。
って所か。
「ユキカズー乗ってみて良いかー? 今度はオレがユキカズの背に乗ってみたいー」
そこそこ大きくなったのでムーイが俺の甲羅に乗ってみたいと言ってきた。
まあ、どれくらいの重さまで俺の体が持てるのかは確かに気になる。
「ムーイを乗せて歩けるか? ゆっくりと体重掛けて乗れよ」
「うん」
そんな訳でムーイは俺の背に乗る。
うぐ……かなり重たい。
こう……デブとかそういう次元じゃなく密度の高い体してるって感じでムーイが重たい。
それでも歩けないって程じゃないのが今までの進化系の差か。
横移動で動かすとムーイを乗せたままそこそこの速度で歩く事が出来る。
「わーユキカズもっと早くならないのかー?」
「無茶言うな。俺はお前ほど力が出ないの。早くしてほしかったらしっかりとLv上げして進化していかないとな」
「そうだなーユキカズのLv上げると出来るようになるんだよな。ムーイ楽しみ。ムーイを担ぐユキカズー」
なんか期待されている。
って感じで変身からの進化を二つすることができたのだった。
「なあユキカズーリトルオクトクラーケンでカニに変化するとどうなるんだー?」
「ああ、その組み合わせも一考か」
俺はアイ・リトルオクトクラーケンに変身して、体と手をシザークラブに変えてみた。
すると体の方は甲殻なスキンが生えて、手もこう……タコの赤い部分に装甲が引っ付く感じになった。
どうやらハサミにはなってくれないようだ。変化項目拡張・手に期待だな。
「おーなんかちょっと硬くなる?」
「そうだな……微妙ではあるけど防御は上がるから良いかもな」
なんていうかタコ星人が甲殻の鎧を着た感じというのがしっくりきそう。
まあ、これも悪くないかもしれない。
そこそこ良い所がある感じで。
さて……進化は終わって後はターミナルで地図の確認っと。
ムーイの証言から川の先からムーイはこっちに来たそうで、そっち方面にはここから出るというか迷宮の脱出口とか階段とかそういった所は無かったって話だ。
なので川の先に関する調査はしない事にして行ける範囲を確認している訳だけど……いい加減、遠征すべきかな。
一日で回れる範囲の探索は終わりつつある。
脱出を視野に入れている訳だからそのまま拠点を破棄して移動をするのが正しいか?
なんだかんだ住みやすい環境にどんどん拠点が改造されていく。
うーん……ソードファルコンとか飛ぶ速度の速い魔物の分析を進めた方が良いか、今回の進化でわかった事はただLvを上げているだけだと俺の進化先が増えないって事で単純に強くなれない可能性が高い。
ムーイのおかげで地上の敵は負けなしだったから後回しにしていた。周囲の偵察は俺の方が得意だからな。
「じゃあ、帰るか」
「おー!」
「ムーイ。明日は好きに行動しててくれ」
「ユキカズはどうするんだー?」
「ちょっと空から周囲の調査と魔物を倒さず分析をしてくる」
「えー……ユキカズそのままどっか行っちゃったりしない?」
ムーイが凄く心配そうというか置いてかれそうなブルみたいな顔で聞いてくる。
その顔には申し訳ない気持ちが湧いてくる。
けど、心を痛める必要はない。
「安心しろ偵察をするってだけで絶対に戻ってくるから」
「うん。絶対だからなー」
って約束をしながら俺達は拠点へと戻った。
「今日は何を作るんだー?」
拠点に戻りムーイが期待に目を輝かせて俺に尋ねて来た。
「ムーイが水をダンジョンパームミルクに変えてくれるからなー……明日は別行動をするのを我慢して貰うために何か作ってやるのが良いよな」
冷凍光線とかも熱線で放てるから凍らせることもそこまで難しくない。
魔法で冷やすとか前からできたけど、魔力の消費を抑えて出来るようになった。
「んじゃアイスとプリンでも作ってアレンジプリンアラモードでも作るか」
「アレンジプリンアラモード!? どんなお菓子なんだー!?」
「まあ見てろって、あ、途中で菓子作りの素材に使える菓子を作るから試食はしっかりして再現できるようにしてくれよ」
「おー!」
一度材料を教えればムーイはある程度再現できるのは非常に素晴らしい。
味が劣化すると言っても組み合わせればそこまで気にはならないんだしな。





