25 勝てないの?
朝食を食べるために食堂に行くと
「セネ おはよう」
「にゃん」
セネが1人で先に朝食を食べていた……魔王の朝食を セネって魔王を尊敬してるんだよね?
「今日はどうしたの?魔法 それとも討伐」
「護衛にゃん」
「えっ 私の?」
「違うにゃ タナトス様にゃん」
「魔王の護衛って 強い勇者が来るの?」
「違うにゃ 化け物にゃん」
「えっ 魔王よりも強いってこと?」
「最強にゃ 勝てないにゃん」
「お おじいさんのことじゃないよね?」
「違うにゃ ブフトにゃん」
「ブフト?聞いたことない名前ね」
「にゃ 知らないにゃ 剣の神にゃ 最強にゃん」
「えっ セネよりも それはないよね?」
「勝てないにゃん」
「えっ えっ 魔王の仲間 全員で戦うの?」
「無理にゃ 勝てないにゃん」
「そんなっ 逃げないと」
あれっ 朝から冗談を言ってるわけじゃ
セネは冗談を言わない いつもよりも真剣な表情である いや 少し緊張感のある顔
「逃げないにゃ タナトス様を1人にはしないにゃ 今度はセネも一緒にゃん」
「一緒って 勝てないんだよね セネも……違うよね 死んだりしないよね」
「死ぬにゃん」
「えっ え~と 何か方法は 来るの 本当に?」
「来るにゃん」
そんなっ……魔王の方を見ると……何か覚悟を決めているのか いつもの表情とは違う
「セネが死ぬなんて嫌 そうよ ここに来るなら ダンジョンに行きましょ とりあえず逃げるのよ ねぇ 諦めないでよ お願い」
「無駄にゃ どこにでも来るにゃん」
「諦めないの すぐに 今からダンジョンに入るわよ」
私は立ち上がり おじいさんさんと魔王を引っ張って立たせた 地下室への道を指差し 先頭を歩く
どういうことよ 朝から何なの 意味がわからないわよ 誰よ 剣の神って う~
セネも魔王もおじいさんも私についてくる そしてダンジョンに転移した
……やはりおじいさんは裸だ
緊張感無いの?裸になるのはしょうがないかも知れないけど……あ~ ダンジョンに入れば大丈夫よね ダンジョンはランダムなんだし……城は魔王の仲間が見てるだろうから 攻めて来たらわかるだろうし……ダンジョンを攻略してもすぐに入れば……
おじいさんが服と装備を着て 進みだした
最初に現れたのは
「馬鹿でしょ 魔王 あんた馬鹿でしょ こんな時に なんてダンジョンに」
私の前にドラゴンが現れた
絶対にA級ダンジョンよね 隠れるためにダンジョンに来たって わかってるのよね?
おじいさんとセネはドラゴンを斬りつけている
魔王は魔法の矢を一発放ち 私にも魔法を放てとジェスチャーしてきた
馬鹿なの まったく もし化け物がこのダンジョンに来たらどうするのよ 魔力の温存を考えてないの 馬鹿ばっかりなの?くそぉ~
「魔那達よ 私に力を貸して 敵を滅ぼせ 爆焔」
私の魔法が当たるとセネがドラゴンの首を飛ばした
うわ~ セネってドラゴンの首まで簡単に
って また急激に力が……う~ さすがドラゴンね
おじいさんはドラゴンが倒れるといつも通り進みだした
「セネ ドラゴンって危険じゃないの?ここって A級ダンジョンよね?」
「そうにゃ A級ダンジョンの当たりにゃん」
「ドラゴンって当たりなの?外れかと思ってたけど?」
「ドラゴンは弱いくせに経験値が多いいにゃ タナトス様は1人で簡単に勝てないけどにゃん」
「魔王が苦戦するって弱くないでしょ まったく それに それだと魔王が弱いみたいに聞こえるよ」
「にゃ タナトス様は成長期にゃ 仕方ないにゃ これから強くなるにゃん」
う~ 魔王が成長期って そんなことって セネには死んでほしくないけど……魔王が成長するのは…
「ドラゴンにゃ 3匹にゃ お得にゃん」
げっ 何がお得よ 3匹って
おじいさんとセネがドラゴンを斬りつけていく セネは注意を引き付けるためなのか ドラゴンの頭や背中を飛び回っている
倒さないってことは 魔法を放てってことよね
「魔那よ 集まれ 風の剣となって3匹のドラゴンを斬りつけよ」
セネが3匹のドラゴンの注意を引き付けているので 私の魔法は直撃出来た 2匹をおじいさんが 1匹をセネが雑作もなく切り裂いた
く~ さすが ドラゴン3匹の経験値ね って
「おじいさん なんで 手をつないでるの?」
いつの間に 私の横に来て手を……また 私に魔那操作を教えに……あれっ
セネを見ると真剣な顔……魔王の前に移動していた
えっ 何か まずい 状態なの もしかして……
「セネ どうしたの?」
セネは何も答えてくれない セネの額からは汗が
やばいのね……たしか 前回 A級ダンジョンから脱出出来る玉を手にいれていたから 今なら逃げれるんじゃないの?
おじいさんも魔王も進んで行く……不安だけが……
広い場所に……誰かいる……2人の人?
背の高い男と背の低い女がこちらを待ち構えているように見えるけど……
セネが私の前に来て
「あれはダメにゃ 下がるにゃん」
鑑定すると 男の名は……ブフト 女の名はネク
レベルが1000以上なんて……年齢が5000歳以上なんて……化け物……神なの?神様なの?
セネが怯えるなんて……
魔王とブフトが何か話しているみたいだけど……
えっ いつの間にか おじいさんとネクが何か話している
え~と どういう状態なの?戦わないで話し合いになったの?セネ以外は剣を抜いてないし
このまま話し合いで終わればいいんだけど……
おじいさんがネクからアイテムを貰っている あれはエリクサー それも何個も どういうこと?
……
なんだろ おじいさんから黒いオーラ?ネクから白いオーラ?そしてネクの白いオーラが2人を包んだ
ネクが何かを叫んだ 悲鳴?これは……悲鳴なの?
おじいさんとネクを包んでいたオーラが消え 2人を黒いオーラが包んだ ネクが更に大きな声で叫び 消えていった そして大量のアイテムが出てきた
どういうこと?消滅してアイテムボックスのアイテムや装備が?
仲間が消えたのに気付いたブフトがおじいさんに近付き話を始めた
おじいさんとブフトがしばらく話した後 ブフトが部屋の中央に移動した そしてブフトと魔王が剣を構えた
セネが私の横に来て
「逃げるにゃん」
「えっ 逃げるって 魔王からは」
「大丈夫にゃ タナトス様が死んだら転移するにゃん」
そう言って セネが私に指輪を渡してきた
「魔王が負けるの?」
「そうにゃ 化け物にゃ むしんくうかんを使える 最強にゃん」
そんな……
「セネも逃げるんでしょ」
「ダメにゃ タナトス様を見捨てられないにゃん」
「でも 勝てないんでしょ」
「関係ないにゃ 今度は一緒に戦うにゃん」
今度は……
セネが私をおじいさんの方に押してから魔王の横に移動した おじいさんは……剣を構えていない……見捨てるの?……敵わないの?
戦いが始まったのか……いきなり 魔王の両手 両足から血が噴き出した それでも魔王は前に出て剣を振った
セネは……セネは 右の壁から音が……そこにはセネが横の壁を蹴って 速い 速すぎて……
魔王は何度も斬りつけられているみたいだけど……剣を振り立ち向かっている
ブフトの後ろにセネが……セネの剣が折れた
その直後 ブフトの首から血が……
えっ
突然 魔王の回りに人が 9人 現れた
あっ エルフのドナさんに グニさんもいる あの獅子王も 魔王の10臣
魔王と獅子王が前衛で 他の8人が後衛……セネは
えっ セネがおじいさんに抱きついていた
「セ セネ どうなってるの?」
「あれは 偽者にゃ 弱いにゃん」
「そうなの?でっ セネは何をしてるの?」
「力を借りてるにゃ あいつはセネが倒すにゃん」
「力?」
「強化魔法をかけてもらってるにゃん」
「そうなんだ……」
「剣を貸してほしいにゃん」
「えっ 私の剣でいいの?」
「それがいいにゃん」
「うん 気をつけてね ダメだと思ったら 勇者様の後ろに逃げるのよ 絶対に」
「倒すから問題ないにゃん」
セネが前に出ていく 身体に風を纏い 剣を振ると 風の刃が発生してブフトに飛んでいく
それを合図に魔王と獅子王が剣で 後衛の8人が魔法で一斉に攻撃を開始した
セネの動きは速すぎて見えない 速すぎて どこにいるのかも 魔王と獅子王は何度も斬りつけられているが すぐに傷口が塞がっているようだ
時々 ブフトの後ろや横にセネが見える
見えたと思ったら ブフトの身体から血が噴き出す
このままなら勝てるかも……そう思い始めた時 獅子王が倒れた そして魔王に いや セネが魔王の前に現れ剣を受け止めた そしてセネとブフトが正面から斬りあう 8人の後衛の援護があるが……セネの身体から血が セネが……
その時 ブフトに雷が落ち ブフトを土壁が包んだ
お おじいさん
おじいさんが前に出ていった
土壁はすぐに破壊されブフトがおじいさんに剣を向けた おじいさんはセネに触れ そして後ろに引っ張り 後ろに軽く投げた
セネに下がれと言っているようだ セネ そして魔王 10臣も下がり おじいさんとブフトが剣を構えた 剣と剣がぶつかり火花する 互角?でも 安心して見ていられるような……いつもの稽古のように 私には速すぎてよくわからない 音と光だけ それで 斬りあっているのがわかるけど……
結果はいつもと同じだった ブフトが方膝をつき おじいさんがブフトの首元で剣を止めている
そして何か会話を始めたようだ
ブフトは剣を鞘に戻し おじいさんも剣を鞘に戻した 戦いは終わったみたいだ
魔王達の方を見ると獅子王も起き上がっていた 全員無事みたいだ
魔王とセネもおじいさんとブフトのところに移動して話を始めたようだ
……
……
……
なんだか 魔王とブフト……仲良さそう あれか 昨日の敵は今日の友 それとも昔は友達 仲間だったのかな?
話が終わったのかと思ったら
「ざしゅっ」
セネがブフトの首に斬りつけた
ブフトの首から血が溢れているが 後ろに避けて 致命傷は避けているみたいだが セネが更に追撃し 剣を抜かずに素手で?ブフトの首を斬り落とした
えっ えっ 仲直りしたんじゃ いつもいきなり魔王が終わった後 襲うけど……どうなってるの? それにセネって素手でも首を飛ばせるって……皆無事だったけど……で ブフトっていう人は偽者だったの?
魔王は呆れた顔をしているが セネの顔は笑顔
セネがブフトの装備を取り そしてブフトの身体を燃やしアイテムボックスの中身を取り出した
セネは笑っていたが……魔王は悲しい顔をしているように見えた




