20 よそ見
朝食を食べて稽古のために庭に行くと
「セネ おはよう」
「にゃ」
セネは手を振ってくれた
「今日は魔物退治に行くの?」
「違うにゃ 魔法にゃ 明日ダンジョンにゃん」
「セネは魔法が使えるの?」
「そうにゃ」
そう言って私に抱きついてきた
可愛い……我慢出来ずにセネの頭を撫でた
「真剣にやるにゃ」
「えっ 始まってたの ごめんなさい」
セネが私に抱きついたまま注意してきた
「何をするの」
「魔法にゃ 魔力の力と種類と流れを覚えるにゃん」
「はい……で 何の魔法なの?」
「にゃ? 聞いてないにゃ? 素早さ強化にゃん」
「そんな魔法もあるのね」
身体の中に何か力を感じるけど……外からも力が入って来てるのかな……
「わかったにゃん?」
「えっ わ わかりません」
「魔那を取り込み魔力で操るにゃん」
セネが私から離れて教えてくれた
取り込むって……さっきの感じね 集まって来てるみたいだけど……
「なっ」
私から離れたセネが……
今度はおじいさんに抱きついていた
「セ セネ 何してるのよ」
「にゃ? 教えてるにゃん」
「えっ あ そうよ おじいさんには魔王がいるでしょ」
「大丈夫にゃ 全て教えたにゃん」
「えっ 全て? 一瞬で?」
「そうにゃ 素早さ 力 守にゃん」
「今 一瞬で3種類も?」
「そうにゃ この勇者は化物にゃん」
そうなの……私も頑張らないと
「きゃっ」
セネが背中から抱きついてきた
「集中するにゃ 素早さの力を全身に広げるにゃん」
「はい」
今 感じてる 力を……全身に……
セネが私から離れた と思ったら私の背中を押してきた
「走るにゃん」
私は言われるまま走った 速く動けているかも
「止まるにゃ 剣にゃん」
「えっ 素振り?」
私は止まって 剣を振ってみた 確かに速く動ける
「ダメにゃ 魔力を使ったらダメにゃ 魔那を使うにゃん」
魔那……ち 違い?
「魔那と魔力の違いがわからないけど」
「にゃ ……か 感覚にゃん?」
セネが自信無さそうに教えてくれた……
感覚って言われても……
私とセネが首をかしげていたのを見ていた魔王がセネの横に来て何かを話し出した
そして
「ゴメンにゃ イリスには無理にゃん」
そんな 私には
「素質がないの?」
「魔那を操る練習が先だったにゃん」
よかった 素質がないわけではないのね
セネが正面に来て……抱きついてきた
か 可愛い
私は思わず抱きしめてしまった
「にゃ 違うにゃ 両手は横に伸ばすにゃん」
「はい ご ごめんなさい 手を横ね」
集中しないと 一生懸命教えてくれてるんだから
「右手に魔那を集めるにゃん」
「はい」
これは出来る
「集めた魔那を身体の中を通して左手に移動させるにゃん」
あっ 身体の中を流れる力が 左手のほうに
そして左手に力が集まってきた
「今度は逆にゃん」
右手に力が集まった
セネが私から離れて
「自分でやるにゃん」
今の感じを……左に……
よし左手に集まってきた 出来た
「逆にゃん」
今度は右手ね 出来る よし出来た
「逆にゃん」
左手……出来た
「右足にゃん」
えっ 足 右足 右足 どうやるの……
「きゃっ」
セネがまた抱きついてきた
「こうにゃん」
右足に流れていく
「ありがとう」
「左足は自分でやるにゃん」
「うん 左足ね」
左足 あっ 出来そう 出来た
「出来たよ セネ」
「毎日 練習するにゃ 素振りと一緒にゃん」
「はい ありがとう セネ」
その後 セネも加わり 4人で剣の稽古が始まった
私が魔王に セネがおじいさんに打ち込む
「えいっ えいっ えいっ えっ」
……
「セ セネ 何を」
「にゃ? 感じるにゃん」
「か 感じるって」
セネがおじいさんの背中に抱きついている……おじいさんは セネに抱きつかれたまま素振りを続けているのだ
「力の流れにゃん」
「そ そうよね 稽古よね……ま 魔王じゃダメなの?」
「ダメにゃ セネも むしんくうかん が使いたいにゃん」
「えっ 何それ」
「この勇者が使ってる剣の奥義にゃん」
「そうなの?」
奥義? ただの素振りじゃないの?
「この勇者の戦闘空間認識力と同じにゃれば 剣も魔法も最強になるにゃん」
最強にって……それよりも……
「だ 抱きつかないとダメなの?」
「これが一番にゃん」
勇者様が若くなったら毎日……そうしよう
そうだ
「セネ おじいさんの呪いを……勇者様が若くなるポーションって持ってない?」
「エリクサーにゃ?」
「光るポーションってエリクサーだったの」
エリクサーって 物凄く貴重な薬よね 全ての病気や怪我を治せるという あの薬を何本も飲んでいたの……
「少ししかないにゃ 132本しかないにゃん」
「えっ そんなに……」
貴重な薬……頂戴って言っていいのかな……どうしよう
「勇者様を若くしたいんだけど……ダメかな……」
「ダメにゃん」
「あっ そうだよね」
「実験中にゃん」
「えっ」
何 予想外の答え 実験?
「30日で死ぬかの実験にゃん」
「ええっ 勇者様が……勇者様に何したのよ」
「何もしてないにゃ 人族の寿命は100年と30日にゃん」
えっ そうだとすると……おじいさんに戻ってから
「助けて お願い 1本だけでも勇者様に」
「ダメにゃ 実験中にゃん」
「助けてくれないの」
「30日目に血を吐いたら飲ませるにゃん」
「その前だとダメなの?」
「ダンジョンに入るとなぜ歳をとるのかの実験にゃ わからないと無駄になるにゃん」
「でも」
「失敗して死んだらゴメンにゃん」
なっ 失敗って ……間に合わないってこと?血を吐かないで ポックリってこと 寝たまま起きないってこと……
う~実験を中止しないと……貴重なエリクサーを無駄にはしたくないのはわかるけど……死んじゃたら……私の勇者様が……魔王と2人の生活に……そもそも私は生かしてもらえるの……私がエリクサーを手に入れる方法は……ダンジョンしかないのかな……強くなるしか……
……
昼食を食べて休憩が終わると外に移動した
魔法の練習かな?
しかし私は魔王と剣の稽古らしい
おじいさんとセネは……また いや
「セネ 何してるの」
「感じてるにゃん」
う~ん 訓練だと思うけど……むかつく
おじいさんとセネが正面から抱き合っている……剣も振らずに……本当に訓練なの?
おじいさんとセネの方ばかり見ていると魔王が何かを言ってきた
たぶん 集中しろとでも言ってると思うけど……気になるのよ
あれは訓練 訓練よ 自分にいい聞かせる
集中 集中
「えいっ えいっ えいっ えいっ えいっ」
しばらく 見えないほうを向いて 集中していたけど……ちらりと見ると
おじいさんと知らない女性が正面から抱きしめ合っていた
「なっ 何してるのよ って 誰よ」
魔王がまた何かを……集中しろって 注意しているのだろうけど けど……
集中 集中よ
後でセネに聞かないと
くそぉ~
「えいっ えいっ えいっ なっ」
巨大な竜巻が……
おじいさん達のほうを見ると 女性が右手を前にして立っていて……その女性をおじいさんが後ろから抱きしめ……そのおじいさんをセネが後ろから抱きしめていた
どういう状況よ 本当に訓練なの
魔王を見ると 魔王もおじいさん達のほうを見ていて そちらに歩きだした
お 魔王も気になったか よし
私もおじいさん達のほうに移動した
魔王が両手を広げておじいさんに抱きつこうとしたら おじいさんが拒否した
なっ
魔王は悔しがっているようだが……
「セネ 何してるの」
「ドナが上位の回復魔法を教えに来たにゃ すぐに覚えたから ドナが勇者から魔力操作を習ってたにゃん」
「そ そうなの で 魔王は」
「タナトス様も教えてほしいと言ったけど なぜか拒否してるみたいにゃん」
こ このエロじじいめ 綺麗なエルフのドナさんと可愛いセネをあれだけ抱きしめて
むっ
「セネ ドナさんが 物凄く喜んでいるみたいだけど」
「勇者から魔力操作を習ったら何倍も魔那を操れて凄い魔法が放てたにゃん」
「あっ さっきの巨大な竜巻ね で 今はなぜ ドナさんとセネは抱きついているのかな」
怒った口調でセネに言ったけど
当たり前のように言われた
「身体の中の魔力操作にゃ こうすればよくわかるにゃん」
「そ そうよね……」
セネが私にしてくれていたけど……う~ 納得いかない
魔王が私の前に来て 剣の稽古が再開された
魔王の顔が恐くなっているけど……
おやつ休憩になった時 おじいさんのほうを見ると
別の綺麗な女性と背の低い女性と獣人の女性が抱きついていた
はあ エロじじいが 魔王の部下は男性もいるでしょ
「セネ なんで 女性だけなの」
「勇者が女好きだからにゃん」
「エロじじい~ぃい」
私が一生懸命稽古している横でハーレムですか まったく あっ
「じじいの 勇者様の言葉がわかる人がいるの?」
「いないにゃ 言わなくてもわかるにゃん」
「そ そうかもね」
……
夕食はおじいさんと距離をあけて座った




