世界の終焉
「アーリー、これでよかったのか?」
「わからない。ただ選択は間違っていなかった…とは思う」
ヒカルの問いにアーリーは答えた。秘密をはっけんしてからというもの、ヒカルの仲間たちは、世界に追われた。逃げても、逃げても、しつこくまとわりついてくる。しかし、それからも逃げようとするためには、手段は一つしかなかった。
「なぜ俺とお前だけなんだろうな…。俺はアリーヤも皆んなと一緒がよかった」
「…それ以上は言うな。言っても、虚しくなるだけだ。俺たちは世界を知るべきではなかった。今は、もう終焉だ。全ての人類は死ぬ。俺たちの手によって。実際には手を下していなくても、実質俺たちが殺しているようなもんだ」
「そして、最後に俺たちも消える」
「俺たちの存在も物理的にあってないようなものだからな」
ヒカル達が見つけてしまった秘密。それは、この世界は現実であって、現実でなかったのだ。この世界は…ヒカル達が現実だと思って生活していた空間はいわゆる仮想空間だったのだ。人類は地球を食い物にして、発展をしてきた。しかし、それも限界に達した。
そんな時に、時の偉大な学者は言った。
「人類そのものを仮想空間に移住させればいいのではないか」
最初はその意見に誰しも笑った。しかし、その学者は本気だった。ついに完成させたのだ。精神的には、残るが、物理的にはほとんど肉体は残らない。
その学者は、脳のみでも十分だと判断したのだ。もしも、その中で、ある夫婦ができたとして、子供を作ったとしたら、外部…つまり、本当のリアル世界にある、二人の脳の細胞を使い、二人の遺伝子の一致した子供を作る。そうして、子孫を物理的には一応残してはいるのだ。
しかし、何世代も経つうちに、機密に指定された。理由は、秩序の維持のため。後世その学者は危惧した。そのうち大きな大戦が仮想世界で起きるかもしれないと。その時は、情報を搭載した時だとも言った。
皮肉にも、その学者の意見は、正しかった。
ヒカル達は秘密を知った。秘密を知り、追われてからは、戦った。その途中で、大切な仲間を失った。
その会もあり、残った、ヒカルとアーリーはこの世界のトップを殺した。そして、すべてを終わらせるべく、コンピュータのシャットダウンに入った。ヒカルも、アーリーも死ぬ。しかし、二人は後悔などしていない。
また、皆んなに会えると思えば死ぬことは大した苦痛ではない。
「ありがとう…俺の我儘に付き合ってくれて」
ヒカルは泣いていた。
「いつからだよ。お前の我儘に付き合ってるのはさ。楽しかったぜ。こんな終わり方もいいんじゃないか?だって、ある種最強のことをして、終われるんだ。もうこれ以上はないだろう」
「そうだな。時間だな。そろそろ…」
「ああ」
「また会えるといいな」
アーリーは涙を流した。その涙は友と別れることに対する寂しさを具現化した涙だった。
「このボタンを押したら、俺たちも死ぬ。覚悟はいいな。押すぞ…」
ヒカルはボタンにゆっくりと手を近づけた。しかし、震えて押すことができない。そこに暖かい手がヒカルの手に被さった。アーリーの手だ。ヒカルはハッとしてアーリーを見た。アーリーは涙を流していた。しかし、悲壮感などなく凛々しい顔で、ヒカルの方を向いていた。
ヒカルもその表情をみて、震えが止まった。
そして、二人でボタンを押した。二人は、ボタンを押すと、ゆっくりと、光になって消えていった。
その仮想空間のメインサーバーのあった空間では、巨大な警告音のみが寂しく鳴り響いていた。
はい…ごめんなさい。本当は、もっとはよ続ける予定だったんですが(プロットでもそのようにできていた)あまりにも、PV数も少なくダメだと思ったり、でも、エタるのも、嫌なので急遽ほんとうにラストに持ってくる予定だったシーンをある程度、解説を挟みながらの最終話という形にさせていただきます。正直、この作品の登場人物の設定とかを見返してみると、作り込みが甘かった。もしかしたらまた、しっかりと作り直しした上で投稿するかもしれません。
伏線も殆ど回収できていないはずですが、そこは許していただければ幸いです。




