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アーティストROKUTOと魔女セレナ  作者: アヤネ
第2章~四ノ原禄人という人物~
7/8

禄人のライブ

次の日、セレナはチケットに書かれたライブ会場へとやって来ていた。別に禄人の歌を聴きたいわけではない。なぜ、禄人がこのチケットを渡したのか知りたかったからだ。

今は会場時間の1時間前、にもかかわらず会場入り口には多くの人が並んでいた。セレナは列の最後へと並ぶ。すると、人ではない気配がやって来ているのに気付いた。

(これはこの国なら妖気かしら?なら、化け物、日本で言うなら妖怪が近づいていること?!しかも一体じゃない!)

禄人は霊力を多く持っている。だから、幽霊や妖怪を視ることがてきる。ということは、妖怪達の目的は禄人ということになるとセレナは考えていた。

セレナは妖怪が来る方向に構える。妖怪達が向こうから現れる。


ペンライトを持った妖怪達が・・・。


(・・・はあーーーーー!!)

セレナは開いた口が塞がらなかった。人ならざる存在がペンライトを持ってたり、さらには、"ROKOTO"と書かれたうちわを持っていたりと、常識ではあり得ない光景だった。

(え?何で妖怪が人間社会にいるわけ?!というか!なんで妖怪がライブに来てるの?!)

疑問が浮かび上がるなか、双子の妖怪がセレナに気付き、向かってきた。

「こんにちは!お姉さん!もしかして視えてる?」

子供の姿をした妖怪だった。片方が白い髪を持ち、もう片方は水色の髪をしている。

「あれ?でも不思議な気配だね?僕らのような気配も感じる」

首を傾げる双子。対してセレナは驚きの表情のままだった。

「・・・ねえ、どうしてあなた達は禄人のライブにきてるの?」

「「どうしてって、そりぁ、僕たち禄人が大好きだから!!」」

あまりにも単純な答え。だからこそ理解できなかった。その単純な理由でこのような行動をするのだろうか?

「僕は雪童の(せつ)

「同じく!雪童の(こう)!」

「「よろしくね!お姉さん!」」

笑って自己紹介する双子の雪童。対して、セレナは未だに状況が飲み込めずいたのだった。




 雪童と別れ、開場時間になるとセレナはチケットに書かれている席に座る。席はステージから5列目の真ん中。周りを見るとライブ限定と思われるうちわ、タオルを持っているもの、さらにはTシャツまで来ている人までいる。

(ガチファンってこういう人のことを言うのか・・・知識では知っているけど、いざ目にするとすごいわね・・・これ、場違いのような気がするな・・・)

ふと、天井を見るといろんな妖怪が柱に座っている。その妖怪たちも周りにいる人たちと同じものを持っている。

(あいつ・・・一体何者?)

いくら妖怪が視えているとしても、ここまで親しくしている人間はそんなにいない。その上、人間たちにも親しまれている者はセレナは見たことがない。

(そういえば、妖怪が視えているのに性格がひねくれてなかったわね・・・)

 人ならざる者を視覚できるということは普通ではない。人間は普通とは違う者を忌み嫌う。だから、虐め、迫害を受けやすい。

(あいつもそういう経験してるのかな?・・・)

いくら良い人でも普通じゃなければはじかれる。それが人間の所業だ。

 辺りが暗くなるとともに、ステージが明るくなる。そして音楽が流れる。テンポの早い音楽が始まると同時にステージの奥から禄人が現れる。すると、周りの観客の黄色い歓声が会場を覆いつくした。

「みんなー!!待たせたなー!!」

マイクを通した禄人の声が会場に響き、曲に合わせて歌い始める。その瞬間・・・空気が変わった。

禄人の歌が会場に響くと、人と妖怪が同じ場所で盛り上がる。セレナは目の前に広がる光景に徐々に心が膨れ上がる。

(すごい・・・あいつの歌で皆が1つになってる。まるで魔法みたい)

禄人の歌と会場の空気によって鳥肌が立ち、自然と笑みがこぼれる。

(あれ?私笑ってる?)

自分の顔に手を当てると、口が端に引き伸ばされていた。

(最後に笑ったのはいつだったけ?いや、魔女になって初めて笑ったかも)

セレナは今、心から楽しんでいた。狂喜ではない、純粋な嬉しさが胸のうちに混み上がる。

"俺にとって妖怪は人間と同じって思ってるからな・・・"

禄人が言っていた意味がようやく分かった。彼の前では人も化け物も関係なく、同じ気持ちを持つのだと。今ここにいるのは皆、禄人の歌が好きなのだと。気付いたときにはセレナも観客の1人として盛り上がっていた。

更新遅れました。生演奏っていいですよね!心が踊ります!

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