次の出会い
この物語は全て創作です。モデルはありません。
男と女は不思議だ。
百子は自分の知名度が上がって仕事があちこちから舞い込むようになると、だんだんケイが邪魔になった。
そうなるとよくしたもので、今度はケイが百子を離さない。何とか引き止めようとする。
今まで一度も誘ったことの無い自分のマンションに泊まりに来いと言う。
勿論、ケイの部屋で過ごしたい気持ちは百子にもあった....が、もう潮時だと感じていた。
ちょっと前の百子だったらケイの部屋に誘われたら夢見心地で、その日だけの女だと分かっていてもケイに付いて行ったろう。
百子は優しくケイをなだめた。
『モテモテで引っ張りだこのケイのマンションに出入りするとこなんて今、写真に撮られたらケイの人気に触るわ。ほら今までは私の正体も不明だったからただの追っ掛け扱いだったでしょ?
でも私と度々噂になると今度はケイのエッセイまで本当にケイが書いたのか、私が代筆したんじゃないか疑われるわ。そしたらお互い良くないじゃない?
ほとぼり冷めるまでラインで我慢しようよね?私ケイの為ならいつだって飛んで来るって!ね?』
そうやってケイをなだめすかし、ケイが別な芸能事務所の1番人気の若手グループのおこぼれのグラドルと噂になったのをいい事にケイから逃げ出した。
ケイから連絡があると、今、あのグラドルさんと忙しいんでしょ?この時期、私達が会うのはまずいって!とか何とか言って逃げ回った。
ケイは腐っても鯛だったのでさすがにそれ以上は追っ掛けて来なかった。それにそのグラドルがうるさい奴らしく捕まったらしい。しかもすぐ騒ぐ性格らしく、結婚がどうとか二股がどうとかよく女性誌に騒がれている。
バカな男....
百子は引っ越しした新しいアパートで、ゆっくりと水割りを飲みながら、自分が踏み台にした男を嘲笑った。
まだ、こんなアパートだけど、そのうち必ず都内のマンションに住んでやる....
百子はそれでも賃貸としては高級なその部屋で、メラメラと次の対策を練った。
そんな時、先輩ライターの戸川から久しぶりに食事でもしようと連絡があった。
『百りん。すっかり有名になっちゃって、しかも綺麗になっちゃって。ね、私にだけ教えて。少しお直ししたんでしょ?』
家族の愛にくるまれて、仕事も持っている幸せな戸川は、自分の容姿を治すなんて冗談にも考えられないらしい。
『えへ!バレちゃいましたね!いや、最近こんな私にもインタビューとか来るんですよ?あんまり名前売れてないし、少し顔いじっても大丈夫かなって』
と、百子は嫌味のない程度に話し、有名な整形外科の名前をあげた。
『いや、自然で、全然いいよ?素敵素敵。ね、それよりあなた、前私が言ってた韓国のグループ覚えてる?WO3なんだけど?』
『まだ23才〜25才で、全然子供なんどけどね?みんな可愛いのよぉ〜。で、記事書いた時のコネなんだけど、遊んでくれるって言うのよ!』
戸川はどうやら、そのグループに日本で遊べる女の子達の斡旋を頼まれたらしいのだが、面倒臭くて嫌だと言う。
『あんまりおばかだと困るんだけど、適当な容姿で口の硬い、年頃の女の子いない?御礼は弾むってよ?』
百子は当てがあった。昔バイトしていたスナックに女子大生の美人がいた。あの子に頼むか....
それが、飛ぶ鳥落とす勢いで日本に送り込まれて来た、若者に人気グループWO3のジュンと百子の出会いだった。
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用済みになったケイを捨て、次に進む百子。今度は何が待ってるかな?




