ケイと言う人
この物語は全て妄想です。モデルはありません。
百子も、最初はケイの都合のいい女になるだけのつもりだった。
自分でも、ケイに遊ばれてるぐらいわかっていた。自分に本気だと勘違いするほど、そこまでおめでたくは無いつもりだった。
ケイと肌を合わせるのは荒んだ生活の中の一筋の光、砂漠のオアシスのようなものだった。
しかも、会うたび毎回手を出されるいう訳でもなかったし。
仕事で他の美人女やかっこいい若手のタレントが一緒の時、ケイは百子に話かける事すらなかった。
ただの雑用係として扱った。
しかし、だんだんわかってきたのだが、どうやらケイは極度の人嫌いで、人と関わるのが本来は面倒臭いようなのだ。
つまり、【世間が人懐こくて、話しやすくて誰にも親切で、お行儀良くてまっすぐな人】と思われてるケイのイメージは必死にケイが作りたげてきたものなのだ。
ファンの心を掴むために。一般ファンが好むように。
その癖ケイは、素敵な自分のイメージを作りあげるのと、そんな風に世間から見られる事にほとほと疲れていた。
最も芸能人、タレント、大部分はそうなのでは無いか?
そして哀れなファン達は擬似恋愛や妄想をしながら好きなお贔屓さんを勝手に神格化して、その対価として莫大な金を払う。
それでいいのだ。
だから芸能人も周りが作り上げた気の毒な人間達であるには違いないのだが、普通であってはいけないのだ。彼等、彼女等は夢を売って生活しているのだから。
普通の女の子人間戻りたいんです!は有名なキャンディーズのセリフ←古い。
話はそれたが、ケイは素の自分を出せる相手という事で、どうやら百子に気を許し始めていた。
しかも、百子が美しい女ではないところが、ホッとするようだった。
そう、確かに世間様の事件を見ても、結婚詐欺に引っかかった、大金持ちのお爺様、叔父様達、全員が言ってるそう。
『あの女性なら自分を裏切らないと思った』と。
ケイも美しく無い百子には裏切られないと思って安心して付き合っていたに違いない。
どうやら世間への自分イメージを作り上げるのに疲れているらしいケイ。少し甘いんじゃ無いの?